past

長瀬の問いかけに山岸は真面目な顔で

皆が顔を見合せた。

皆が各々携帯を見ると

やはり、山岸の言う通りで過去にいる

樹奈が不安そうに呟くと栄子は

能戸が溜息を吐いた。

長瀬が窓を指差し、山岸は軽く下を向いた。

ふと、咲が視線を向けた先に男性が立っている。 一番奥の方にいて、手招きをしている

立ち上がりその場から離れ、 廊下に向かう。

不審そうに近寄る咲に男性は両手を上げた。

明るく彼の顔が照らされた時に咲は目を見開いた。

死んだはずの…親友でもあり幼馴染でもあった"和也"

咲はポカンと半開きで口を開けた。

余計に咲は分からなくなった。 タイムスリップもすれば しまいに超能力。

しかし、山岸の娘は生きていたのに和也は何故死んだままなのだろう？

新しい世界観にきょとんとしたまま とりあえず頷いた。

山岸の娘のことを伝えると

和也は真顔で首を横に振り

その言葉に咲は下を向いたが、 ふと、今ここがα線だと言うことを忘れていた。

何となくだが理解出来た。

和也の言葉に半信半疑に目を細めた

彼は不思議な人物だった。 超能力とか超常現象とかを調べるのが 大好きで、死後の世界にも興味があるとよく言っていた。

ただ皮肉にもそれが原因で…。

咲は流すように首を横に振り

和也は嬉しそうに微笑む。

置かれてあるアルコール消毒を 手に持つと

誰の持ち主であるか。 名前と顔も自分の視界に映る。

また、最後に触れた人物 大きさや重さも色々表示される。

β線で襲撃された事の一連の流れを話すと

和也の天然ぶりに思わず笑ってしまった。だが、この感覚も、どこか懐かしく思えた。

背中を向ける和也に咲は

和也は横顔で笑って見せては

そう言って姿を消した。

咲はホールに戻ると、 皆浮かばれない表情をしていた。

皆の溜息が広まった。

安岡の発言に気づいていなかった部分を皆が気づいた。

また、時間が戻るのだろうか？

そうなると…、明日失敗したら、 死んでしまう…のか？

そう名乗り出たのは樹奈だった。

中野の言葉に樹奈は目を見開いた。

樹奈は表情を青ざめながら呟いた。

確かに皆も、樹奈に彼氏がいるというのは今初めて知った。

その言葉に周りがざわついた。

三浦が半笑いで呆れたように言ったが 咲は察した。 和也が言っていたように他にもいる。

咲が手を挙げると、更に周りが ザワつく。

先程有った事実を信じて貰えないとは思ったが、説明すると…

三浦が咲に問いかける。 咲は心の中で和也を呼んだ。 すると、脳内に和也の声が響く。

和也の言葉を説明すると、中野は目を閉じ脳内に三浦を思い浮かべた

皆は同時に首を縦に振った。

佐々木の言葉に三浦は表情を青ざめた

超能力が有る事が目の前で事実になったとはいえ、本題は残ったままだ。

北島が呟いた。皆は不安でいっぱいになったが

山岸が周りに問うと、各々自分の手を眺めている。

そして、後に分かることになる。

皆、ここにいる人達全員 超能力を持っている。