六ペンスで買った月

いつもの様に描き終えた絵を彼に見せ、 偶には良いかとそのまま彼と酒を酌み交わしていると、ふと彼が口を開いた。

私は芸術家、芸術家が自由に焦がれてしまうのは道理の通った仕方のないことだ。

私の最初の記憶には、自由への賛美と淀んだ血がこびりついている。

過去、自由と平等を謳った赤き知り合い達は流血を伴って権利を勝ち取った。

そして今、私は自由を謳歌し、その自由の裏に沢山の血を溜め込んでいる。

私にとって、自由とは今も昔も血塗られたものなのだ。

あぁそうだ。 生きる権利は、自由は勝ち取るものだ。 やはりと言うべきか、彼は良くわかっている。