長尾謙杜
はぁ、
長尾謙杜
みっちーに言った方がええんかな、
俺の悲劇の初恋ストーリー
これは俺の初恋の話。
中1の春。
長尾謙杜さん。
長尾謙杜
はい。
長澤玲果さん。
長澤玲果
はい。
はじめ玲果は決して 可愛い方ではないと思っていた。
というかメガネとマスクを つけていて全く顔が見えず、
自分の容姿に 自信がないんだと思ってた。
でも髪の毛だけはCMに出ている モデルさん並みにさらさらだった。
先生
生徒退場。
先生
生徒の皆さんは
退場してください。
退場してください。
長尾謙杜
みっち~!
道枝駿佑
お~どうした?
長尾謙杜
今日昼ごはん
一緒に食べへん?
一緒に食べへん?
道枝駿佑
あぁ、今日他の友達と
約束してもうた、
約束してもうた、
道枝駿佑
また明日でもええ?
長尾謙杜
そっかそっか、
長尾謙杜
全然ええで!
道枝駿佑
ごめんな、
長尾謙杜
大丈夫やって!
長尾謙杜
元気だして!
この日は入学式だったから 昼ごはんを食べて帰るだけだった。
みっちーは他の友達と 食べるらしいし、
噴水広場で食べよ。
噴水綺麗やな~ 何て思って昼飯を食べてたら。
長澤玲果
沈むように溶けて行くように~
奥の方で歌ってる 女の人がいたんだ。
歌声はガラスみたいに 透き通っていて、
顔はすごく整っていて、 いわゆる美人さんだった。
そこでふと気付いたんだ、 靴が緑色。
俺と同い年。
でも入学式には いなかった気がする。
長澤玲果
騒がしい日々に
笑えなくなっていた~
笑えなくなっていた~
長澤玲果
僕の目に写る君は綺麗だ~
本当に誰だか分からなかった。
でも確かな事は1つ。
歌声が今にも消えそうなくらい 透き通っているということだけ 分かった。