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冒険者ギルドの隣にひっそりと立つ食事処〈文目の詩〉。
ここには少し、変わったサービスがある。
スタッフ
スタッフ
目利きのスタッフによるクエストの斡旋。
今日はいつもと違う、流れるような長髪の、青いメイド服の少女がホールに出ていた。
スタッフ
スタッフ
ルティとは違う、落ち着いた語り。
ここのスタッフの鑑定眼は確かで、適したクエストを受けられるという事もあり
普段なら、店はそれなりに賑わっている。
そう、普段なら。
今はとある理由から、空席が目立っていた。
スタッフ
ふと、視線を感じる。
スタッフ
そして、青いスタッフの少女から、声をかけられた。
スタッフ
答えに悩む質問になるが、イエスかノーでいえば、イエスになるだろう。
スタッフ
スタッフ
スタッフ
スタッフ
微笑み混じりの誘い。
ルティ
ルティ
そして間髪入れずに、ルティの声が背後から響いた。
スタッフ
スタッフ
スタッフ
ルティ
ルティ
ルティのテンションは、いつもより高い。
ルティ
ルティ
言われて気付く。
いつのまにか、頬が緩んでいたらしい。
元気なルティが見れて安心できたことが理由な気が、しなくもない。
ルティ
ルティ
少し拗ね気味に、少ししおらしく、ルティは言う。
ルティ
ルティ
気を取り直して。
というより、少し強引に、ルティは話の流れを変えた。
ルティ
ルティ
溝掃除。つまりは、下水道の魔物を狩るということ。
普通なら、雑魚ばかりの簡単なクエスト。
それがA級というのは、訳ありを意味している。
ルティ
ルティ
ルティ
ルティ
下水というのは、街の至る所に繋がっている。
そこに強力な魔物がいるという状況は、あまり良いものではない。
ルティ
ルティ
噂は耳にしていた。
事実であれば、大きな不祥事という事になるが
ルティ
ルティに問われ、素直に肯定を返す。
ルティ
ルティ
ルティ
ルティ
ルティ
話を聞く限り、軽い内容のクエスト、というわけではないらしい。
ルティ
ルティが本気で困っているのなら、断る理由はないだろう。
ルティ
ルティ
微笑んで、クエストスクロールにサインを求められる。
それはいつもの受託手続きであり、もう、慣れたものだった。
ルティ
ルティ
ルティ
サインしたスクロールをもって、ルティはバックヤードに向かう。
スタッフ
スタッフ
青いスタッフの少女、カディがぽつりと、小さな声でそう呟くのが聞こえた。
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準備と言っても、必要なのは松明くらいで
準備が整っている以上、踏み込まない理由はない。
ただ一つ想定外なのが、ルティがついてきたということ。
ルティ
ルティ
上で待っているように言ってはみたが
クエストの備考欄に『案内人を同行させること』という一文が書かれていたため、強引に押し切られた……。
ルティ
大丈夫と、肯定を返す。
ルティ
ゆっくり、地下水道へと続く階段を下りる。
ルティ
ルティ
境界となる扉の先には、大きな通路が続いていた。
そして、通路の真ん中に何かがいる。
魔物
手足のあるヒト型。
身の丈はヒト族よりひと回り大きい。
そして、そのシルエットは嫌に丸みがあり、不格好なキグルミのように見えた。
これが噂の、強力な魔物らしい。
ルティ
ルティが口に指を当て、沈黙を促す。
魔物はただそこに佇み、動く気配がない。
ルティ
ルティは小石をひとつ掴むと、遠くに放り投げた。
石が床を跳ねる音が、あたりに響く。
魔物
その音に反応して、魔物は頭を巡らせ
石が転がった場所へと、ゆっくりと移動していく。
道が開いた。
音に反応する類の魔物、ということらしい。
ルティ
ルティは、先を指さしている。
前に進む、ということだろう。
そして、ボディランゲージを駆使した探索が始まった。
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言葉を発する事ができないのは、意外と辛い。
探索を始めて早々に、ひと悶着あった。
先に進もうとするルティの肩を掴み、静止する。
ルティ
それが原因で、揉めた……。
ルティは地図を手に、ナビゲートしてくれるが、とにかく前に出ようとする。
警戒を要するのなら、手が空いている者が先導したほうがいい。
地図を持ち、ここの構造を知っているルティが前に立ったほうが迷いはしないが
それはあくまでも平時の話だ。
どちらが前に出るかで揉めて、注意が散漫になり
魔物に気付かれた……。
魔物
魔物は意図不明の叫び声を上げ、突っ込んできた。
ヒト型のそれの頭部には、口があった。
そしてその形は、ヒトのそれだった。
CAST A SPELL
牽制のライトニングボルトを放つ。
魔物は怯む。しかし、逃走はしなかった。
ルティ
ルティ
〈鑑定〉で見た情報を、ルティが告げる。
フレッシュゴーレムは、死肉を素材にして生成されたゴーレム。
ゴーレムという名だが、その性質はアンデッドに近い。
命令と本能に従う肉塊。
襲撃してくる以上、破壊する以外の選択肢はない。
鞘を払い、剣を構える。
敵の動きは単調。であれば、シンプルに一撃で、頭を狙う。
踏み込み、開いた口を通して上顎に突きを放つ。
ペキリという音。
骨の割れる感触の後に、スッと刃が飲み込まれる。
腐っていたおかげで、防御が下がっていたのだろう。
刃は頭を貫通し、それは一度大きく体を震わせて倒れ、動作を停止した。
ルティ
口元を手で押さえながら、ルティは小さくそう告げた。
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先導し、地下水路を歩く。
腰に1本のロープを巻き、その先を、ルティが手にしている。
猿回しの猿のように見えるかもしれないが、安全のためには仕方がない。
これまでにやり過ごしたフレッシュゴーレムは6体。
確かに、数が多い。
この地下水路のどこかに、原因となる何かがあるのは間違いないだろう。
ルティ
ルティ
ルティ
探索の途中で、休息をとる。
普段と違うことをやると、疲労の蓄積が早い。
そのため、適度な休憩が大切になる。
ルティ
ふと、ルティに声をかけられる。
ルティ
ルティ
ルティ
不意に語られる言葉。
ルティ
ルティ
ルティ
こことは、違う世界の話。
感覚で分かる。
それは、本当の話だろう。
ルティ
ルティ
ルティ
そこでルティは、間を取った。
小さく息を吐き、意を決すると
ルティ
そう告げた。
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