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映画館にて

1 - 映画館にて

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2020年03月04日

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男は休みの日に 映画館でとある映画を見ていた

ふぁぁぁ

いつの間にか寝ていたのか

…ってもうエンドロールじゃん!

まぁ途中で寝るくらいだし

つまんなかったな

そう口にしかけた時

パリン!という音がして 映画館の照明が落ちてきた

女性の悲鳴、逃げ出す観客達

突然の出来事なので 何が起こったのか 男にもさっぱりわからなかったが

とにかく逃げなければと思い 慌てながらも席を立ち、 後ろを振り返った

そこには怪我をした女の子と 黒服の男がいた

女の子はまるで死んでるかのように ぴくりとも動かず

黒服の男は彼女の目を 死人にやるのと同じように伏せている

それを見ているうちに 男の頭に照明が落ちてきて

気を失った

いってぇ

ここは…病院?

確か、映画館で照明が落ちてきて…

気絶してたのか…

まだ少し痛むが 身体は起こせるので 病院の廊下に出ることにした

ドアを開けようとすると 右腕に激痛が走った

くっ…こっちも怪我してたのか

仕方なく、反対の手でドアを開ける

廊下を出ると目の前に 募金を募るポスターが貼ってあった

「あなたに救える命がある」

ははっ

こんなのどうせ

誰一人見ちゃいないよ

そう男が笑うと 左の方から大声がした

黒服の男

誰か!誰か来てください!

黒服の男

助けてください!

黒服の男

お願いします!誰か!

あの男は…

映画館にいた…

あ、あの女の子も

そこには床に倒れている少女と 彼女を抱えながら叫んでいる 黒服の男がいた

ここは病院だろ?

なんで誰も反応しないんだ…?

看護師も他の患者も 誰一人として彼らに目を向けない

それはまるで 彼の声が聞こえていないかのようだった

俺にしか聞こえてないのか…?

なんて、そんな馬鹿げたことないか

そのうち誰か来るだろ

黒服の男

誰か!

黒服の男

誰か来てください!

黒服の男

それから1週間ほどして 男は退院した

しばらくして、ある事に気がついた

映画館の件から 黒服の男と少女をよく見かけた

彼らを見かけたときは いつも誰かの努力を踏みにじったり 嘲笑ったりした時だった

元はと言えば ほとんど寝ていた映画を つまらないと言ったり

募金を募るポスターに 誰も見ていないだろと言ったり

そのせいなのかと 気づきはしたが

だからってなんなんだ

そんなの誰だって
一度はやったことあるだろ

それに実際、

今日も世界は平和だ

黒服の男

…呆れた

うおっ!

黒服の男

散々他人の努力を踏みにじり、嘲笑い
挙句の果てには
「今日も世界は平和だ」と?

お前どうやって俺ん家に入ったんだよ!

黒服の男

本当に愚かだな

おい!聞いてんのか!

黒服の男

ふぅ…仕方ない

黒服の男

リセットだ

はぁ?

激しい揺れが起こり 窓には変わり果てた街の 異様な風景が写っていた

空が…赤い…?

うわっ!

い、隕石…?

黒服の男

じゃあね、また会おう

黒服の男は気味の悪い笑顔をしながら そう言い、消えた

少女

あの女の子だ!

彼女は目を瞑ったまま 男に手を振っていた

お願いだ!許してくれ!

なんでもする!なんでもするから!

少女

お願いだ!返事をしてくれ!

少女

少女

あなたは…

少女

あなたは私を見捨てた

ちがう!ちがうんだ!

少女

だから、あなたも私に見捨てられる

そんなぁ…うぅ…

少女

大丈夫

え?

少女

リセットだから

よく見ると彼女の振る手には 大きな目がついており

その目だけはカッと開いていた

その様子がスクリーンに映し出され

エンドロールが流れる

ふぁぁぁ

この映画

つまんないな

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