三月
…おり、いおり、一織!?
一織
すみませっ、あっ、兄さん!?
三月
どうしたよ、ぼーっとしちゃって。最近ぼんやりしてるだろ。どうした。なんか悩み事か?
何気なく聞くと一織はぎゅっと目を瞑った。
三月
どうした?どっか痛いか?あっ、気持ち悪い?
一織
い、や。違…くて
「あの時の事を…たまに思い出してしまうんです」
聞かなきゃ良かったかもしれない…
大丈夫だぞ、なんて気安く言えない。
大丈夫なんて身を伴わらければ、気休めにもならないんだから。
「そっか」と言って背中をさすることしか出来ない自分が惨めに見える。
一織があまり気にしなければ良いけど…コイツに至って気にしないは多分無理だ。
ごめんな。なんにも出来ない兄ちゃんで
中学生だった一織に、後ろから呼ばれたような気がした