TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

あおい

ごめんね。

あおい

莉絢の言ってくれたこと、私には難しかったみたい

あおい

居なくなれなかったら、また連絡するから。

あおい

またね

ria.

碧?

ria.

ねぇ、今どこ?

今とは便利となったスマートフォンの電源を切る。

そして、なんでも溶かしてくれそうな真っ黒い海へ歩いていく

スマートフォンを置いて、制服姿で。

消伊 碧

もう私消えるのかなぁ、

ぽつりと遺言のような言葉を口にする。

遺書も遺物も、なにも置いてきてないのに

ただ今していることを悔いている自分がいる。

消えるのを願った。

家に引きこもって13日。

親友が居たけれど、もう要らない

「自分が一番辛い。」

そう思っている。あの子は周りなんて見えていない

自分が好かれる為に、親友という立場を傍に置いただけ。

ホント一番辛いのは誰だよ。

明石 磊

なーにしてんの?

PM.23:30

明らかに私と同い年あたりの彼。

そんな人がこんな時間に海にいる。

消伊 碧

貴方こそ、何されてるんですか

聞くか聞かないか迷った。

でも、いかにも聞いて欲しそうな性格をしていた。

明石 磊

おれ?

自分を指差して、こてんと首を傾げる。

消伊 碧

貴方以外、誰もいないですよ

明石 磊

確かに

自分の言ったことがそんなに可笑しかったのか、

くくっ、と無邪気に笑う。

明石 磊

おれはね、ちょっと家出

家出、それが当たり前かのように言う。

明石 磊

君は?

自分を指差した後、私を指差す。

消伊 碧

私はー、、、

少し言い淀む。

消えたいだなんて、簡単に人に言えない。

消伊 碧

なんとなくここに居るだけです

余り、違和感のないように声に出す

その声は、気を抜くと裏返りそうだったけれど。

消伊 碧

貴方はなんで家出をしたんですか

少し話してからここを立ち去って貰おう

そう考える。

明石 磊

『貴方』じゃなくて、『らい』って呼んでよ

消伊 碧

らいさん、?

『らい』

聞き覚えなんてない

この近くの人ではないのだろうか。

明石 磊

そう!

明石 磊

石が三つで磊!

自分が名前で呼ばれたことが嬉しかったのか、

私が聞いた質問など、覚えていなかった

明石 磊

君はなんて言うの?

他人に名前なんて教えて良いのだろうか

考えていると、おれも言ったからさ!とお願いをしてくる。

それに根負けしたように名前を教える

消伊 碧

碧です

明石 磊

あおい?

明石 磊

可愛い名前だねっ

ふふっ、可愛く笑う。

さっきとは違って落ち着いた女の子のようだった

消伊 碧

なんで家出をしたんですか

もう一度聞く

聞こうと思った事は野暮でもちゃんと聞く。

明石 磊

あれね、嘘

引っかかったぁ、無邪気にネタバラシをしてくる。

消伊 碧

どういうことでしょうか

まだ分かりきっていない私が聞く

明石 磊

おれは家出してないよ

明石 磊

まぁ、親は亡くなっていないけど

なにかの複雑な感情が混じったように、口に出す

消伊 碧

同じ、

気づいたら、口に出ていた

あっ、と口を覆うと磊は笑った

明石 磊

じゃあ、同じ境遇だったんだね

にっこり、と効果音が出そうなほど笑う

明石 磊

ねぇ、碧?

笑っていたはずなのに、次は心配そうな顔になる

表情の変化が凄い子だな、と思った

明石 磊

碧はどうして消えたいの?

これが聞きたかった、みたいな雰囲気が磊を漂わせる

消伊 碧

なんで知ってるの

明石 磊

碧がそうやって呟いてたから

あぁ、あのときか、

消伊 碧

親が居なくなって、

消伊 碧

親友も要らなくなって、嫌いになって

消伊 碧

全部から解き放たれたいって思ったの

思っていたことがスッと、声に成る

磊はうんうん、と聞いていてくれた。

明石 磊

じゃあ、満足するまでおれがついてる

明石 磊

それでも満足しなかったら、消えていいよ

そう言った磊の声は暖かかった

暖かくて、柔らかくて、心地良かった

消伊 碧

、うん

涙が溢れ始めていた

その涙は止まることを知らないようにずっと流れていた

知らなかった他人の君を

いつの間にか、惹かれていた

惚れていた

もう人から離れなくていいんだって思った

ずっと、ずっと愛せると思った

loading

この作品はいかがでしたか?

500

コメント

5

ユーザー

いやシチュがエモすぎる。( 磊くんよ、私の彼氏にならないか っ ??((

ユーザー

よかった碧ちゃん、、!! 書き方がエモくて最高です(?)

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚