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役割はシンプルだった。
ただひたすら、北のゲートを死守すればいい。
敵の数は不明。
種族も不明。
本当は、無茶以外の何でもない。
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ゲートとは名ばかりの、街道に繋がる柵の切れ目にたどり着く。
僅かな間を置いて闇の中から現れたのは、翼のないワイバーン。
いや、翼だけじゃない。
肉や鱗などの討伐の証となる部位が欠損した、ワイバーンのようなもの。
これは、畑を荒らす類の魔物ではない。
おそらくこいつらは、躯から作られたアンデッド。
地を這うように迫る身体からは、死臭が漂っている。
ワイバーンゾンビ
思考は単純。
様々な部位が欠落しているおかげで、普通のワイバーンよりも弱い。
突撃に合わせてカウンターを仕掛ければ、容易に弱点の頭部を穿つことができる。
ただ、数の多さが厄介だった。
2振りで一体。
一体倒す度に、新たな1体が出現する。
防衛線はギリギリで構築できたが、油断すれば抜けられる。
ルティの到着が、唯一の希望だった。
メルティ
一瞬、夜の帳がかき消された。
眩い光の直撃を受けた魔物が、力を失って消失していく。
メルティ
メルティ
背後から、落ち着いた声が聞こえた。
意外なことに、こちらの支援に来たのはメルティだった。
メルティは、リョウの支援に行くと思っていた。
だからこの状況は少し想定外で
想定外が起きた理由として考えられるのは、ルティの身に何かあったということ。
メルティ
メルティ
メルティの言葉に、不安は一瞬で霧散する。
リョウと一緒にいるのなら、危険は少ないだろう。
メルティ
メルティ
クスリとメルティは笑い
反応に困っている間に、次の敵が接近する。
メルティ
メルティ
メルティの放つ光が、不用意に近づいた魔物を消し去った。
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メルティの介入で戦況は優勢になった。押し切られる可能性は低い。
それでも、敵の突撃は終わらない。
それは妙な光景だった。
敵の目的がはっきりしない。
アンデッドが食事などするはずもなく
そもそも、北と南のゲートを律儀に攻める理由がない。
本気で攻めるつもりなら、柵を破壊してしまった方が早い。
クリス
クリス
背後から、声が聞こえた。
音源は村の中心。
いまの声で、すべてがハッキリした。
ワイバーンゾンビは陽動。
敵の本当の目的は、本命が村の中に侵入すること。
メルティ
メルティ
メルティに任せ、村の中心に急ぐ。
???
???
声が、聞こえる。
不思議なことにその声は、よく響いた。
???
???
???
それは間違いなく、魔王と名乗った。