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村の中心には、クリスと修道服の女の姿があった。
クリスの背後でミーアが倒れている。
意識がないらしく、動いていない。
ナタカ
ナタカ
ナタカ
修道服の女、ナタカが術式を描く。
ナタカ
ナタカ
ナタカ
ナタカ
ナタカ
この呪文には覚えがあった。
地下のクエストで、禁呪使いが使っていたものだ。
クリス
クリス
クリスが斬りかかる。
ナタカは悠々と刃を躱し、詠唱を続ける。
ナタカ
ナタカ
ナタカ
術式が完成する。
それと同時に、ナタカはクリスを蹴り飛ばした。
壁に叩きつけられ、クリスは動かなくなる。
ナタカ
ナタカ
膨大な魔力が、蠢くのを感じる。
この場所に潜む何かが、動き出そうとしていた。
ナタカ
ナタカ
ナタカ
術式の意味はおそらく、アンデッドの生成。
過去に千の戦死者が出たこの土地なら、強力なアンデッドが生まれる可能性がある。
戦わない理由はない。
ナタカ
ナタカ
ナタカ
妙な物言いに違和感を覚えるが、気にする余裕はない。
一見すると隙だらけに見えるが、先にクリスをあしらった動きは本物だった。
剣技単体では、有効打にはならないと考えるべきだろう。
踏み込み、逆袈裟に切り上げる。
ナタカはそれを悠々と、身体を反らせ横に避ける。
昇った刃を翻して肩口を狙うが
その一撃はバックステップで回避される。
踏み込みからの刺突。
それは再びの、横方向の回避でいなされるが
CAST A SPELL
間髪を入れず、魔法を割り込ませる。
紫電が闇を裂き、ナタカを撃つ。
初級の魔法。
ダメージはないに等しいが、僅かな隙を生じさせることはできる。
想定外の一撃だったらしく、ナタカは驚きを顕にした。
そこに生まれたほんの一瞬の隙に、渾身の力で、その細い首に剣身を叩きつける。
必殺の一撃は、その刃は
突如として生まれた黒い霧を二分した。
ナタカ
ナタカ
黒い霧は再び集い、それは修道服の女の姿になる。
状況は、最悪だった。
魔王を名乗るだけあって、ナタカの強さは本物。
こちらは全力だが、どう見ても向こうには、余裕がある。
ナタカ
ナタカ
また、言われた。
本気を、出していないつもりはない。
ただ……この言葉が意味するところに
ひとつだけ、思い当たるものがある……
ルティ
不意に、ルティの声が響いた。
巨大な火球がナタカを飲み込み、火柱を作る。
ルティ
増援の到着。
だがそれは、ルティひとり。
リョウの姿はなかった。
ナタカ
魔力の暴風が吹き、火柱が吹き飛ばされる。
ナタカは無傷。
実力の差が、ありすぎる。
ナタカ
ナタカがその掌を、ルティに向けた。
そこに、高密度の魔力が圧縮されていくのが理解できた。
ナタカ
世界が止まって見えた。
選択肢は、限られていた。
欲しかったのは、力だった。
大切なものを守るために
ためらう理由は
存在しなかった。