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シーン3 ⚠少し生死に関わる、人によっては閲覧注意かもです!⚠

失礼しま〜す

あれ?先生いない

まあいいや

保健室は自由に使っていいって許可もらったし♪

何をしたらそんな許可が下りるんだ…

消毒…絆創膏…包帯…

少し染みるよ〜

蒼氷

っ…

え、近っ…

いや、そりゃそうだよね…

透真くん、顔赤くない?

あ、さてはドキドキしてるね?

授業サボれた上にこんなに可愛い白菊さんと一緒にいられて、さらに先生がいないという好都合…って思ってるね?

まあ、保健室って色々あるからね〜

私のこと口説いても無駄だからね〜

あ、だからって押し倒さないでね?

蒼氷

そんなこと思ってないし、保健室で何が色々あるんだよ

蒼氷

そして僕は君のことは口説かないし、押し倒したりもしない

蒼氷

君の中で僕は何なの?

まあ、男はみんな獣だからね〜

女の子なんてちょっと馬鹿な方がいいってね

私は天才だから諦めてね

蒼氷

天才は自分のこと天才だと言わないと思うんだけどどうかな?

それじゃあ透真くんは私のこと馬鹿だっていうんだ?

蒼氷

そこまでは言ってないけど

…透真くんって頭良さそうだよね

蒼氷

え?

意外な言葉。

白菊さんはどこか寂しそうな顔をしている。

な〜んて、ふふっ

手当て終わったよ

蒼氷

あ…

あの寂しそうな顔は何だったのだろう。

無理に聞くのも良くないか。

じゃあ、教室戻ろっか

数日後

僕は先生に頼まれて教材を運んで、帰るのが遅くなってしまった。

バッグの中から家の鍵を探していた時───

──────!?

???

──────────!!

──────!!

家の中から言い争う声が聞こえた。

1つは白菊さんの声。

もう1つの声は…白菊さんに似た声。

パリーン

何かの割れる音。

大きな足音。

蒼氷

…っ

????

どうしてお前はいつもこうなんだ!

????

役立たず!

?????

どうしてこんな子が…

蒼氷

はぁ…はぁ…はぁ…

過去の出来事のフラッシュバック。

やめて、もう何も言わないで。

わかってるから、期待に応えられない子だって。

だから…!!

ガラッ

扉の開く音で、僕は記憶の檻から開放された。

中から女の人が出てくる。

その姿はまるで白菊さんのお母さんのよう。

でも、白菊さんは両親を亡くしてるはず…

…透真くん

続けて白菊さんが出てくる。

今の、聞こえちゃったかな?

…今出ていったのはね

出した紅茶を飲んで落ち着いたのか、少しずつ話してくれた。

蒼氷

白菊さん、無理のない程度でいいからね

うん、ありがとう

 

 

 

今出ていったのは、私のお母さん

ごめんね、私、嘘吐いてたんだ

今は家を出たんだけど、家にいたときはね、毎日殴られてた

お父さんが亡くなったのは本当で、お父さんが生きていた時はまだ殴られる頻度も少なかったんだけど

亡くなった途端、急に殴られるようになって

暴言も絶えなくてね

どうしてお前は産まれてきたんだ

どうしてもっと有能じゃなかったんだ

時にはお母さん、自分で、どうしてこんな子産んじゃったのかしら、産まれてこなければ良かったのに、って言ってて

本当だよって思った

私ね、思うんだ

人生が楽しい子は、親に感謝してるんだろうけど

辛い子は親を恨んでる

どうして産んだんだって

私にとって、自分を産んでもらったことってさ

親からの要らない命の押し売りだって思ってる

親の欲を満たすものだと思ってる

産まれて来なければ良かったのにって

私たちには拒否権なんてないし

どうして産まれてきたんだって言われたときも

あんたが産んだんでしょう?

私だって、産まれたくて産まれてきたんじゃない

…なんかごめんね

あの日、君を屋上で見た日

私もあそこから飛ぼうと思ってたの

いくら親から逃げたとしても

つけられた傷が治ることはない

私が白菊藍として生きる限り

私を蝕んでくる

体の傷は大体のものはいつか治るけど

心の傷は治らないし、誰からも見えない

…君はわかってくれるかな

君を見た時、私と同じ顔をしてた

この世界に未練がないように、やりたいことは全部やって

行きたいところにも行って

覚悟が見えて

それでいて苦しそうだった

ごめんね、私、止めちゃったよね

蒼氷

…大丈夫だよ

蒼氷

白菊さんは悪くない

僕の見ていた、あの白菊さんの笑顔は

白菊さんの精いっぱいの笑顔で

白菊さんはきっと、傷つく辛さを知っているから

他人を傷つけないように配慮している

優しい子

白菊さんの手が、僕の背中に回る。

…ごめんね

蒼氷

…白菊さん…

僕より小さな体

だけど受けた傷は僕の何十倍

彼女が救われる日は来るだろうか。

僕では彼女を救えない。

彼女の隣に相応しくない。

…透真くん、話し方は冷たいのに、体はちゃんと温かいんだね

蒼氷

何?僕にだって心はあるんだけど

そうなんだ、意外

蒼氷

…もう家に帰るね

ああ〜、嘘だよ、冗談!

少し元気は出たようだ。

…僕は彼女と一緒に飛ぶつもりはない。

僕には、幸せになる価値がない。

彼女とは違う世界に生きているから。

藍を抱く青い鳥は自由な空へ羽ばたく。

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