間宮
あれ、光ちゃん
間宮
もう検査終わったの?
光
間宮さん・・・
光
はい、
今日はこれで帰ります
今日はこれで帰ります
光
間宮さんは?
間宮
俺の退院は
2ヶ月後くらいかなー
2ヶ月後くらいかなー
光
え?
間宮
水曜に手術するんだ
間宮
そんで
癌も取り除いてもらう
癌も取り除いてもらう
光
手術・・・受けるんですね
間宮
まあね
間宮
後遺症とか残るかも
しれないし
不安はあるけど
しれないし
不安はあるけど
間宮
それでも、俺は
生きたいからさ
生きたいからさ
間宮
夢もあるんだ
光
ああ、野球でしたっけ?
間宮
うん
間宮
治ったら
また球場に戻って
友達と野球やる
また球場に戻って
友達と野球やる
間宮
そんで、あの時倒れて
出来なかった試合の
続きさせてもらうんだ
出来なかった試合の
続きさせてもらうんだ
間宮
そのためには、辛くても
生きるしかない
生きるしかない
光
・・・いいですね
間宮
手術は怖いけど・・・
間宮
受けたくても受けられない
人だっているから
人だっているから
光
・・・
間宮
あ、光ちゃんにしていい
話じゃなかったかな
話じゃなかったかな
光
いえ、全然・・・
間宮
友達も応援してくれてるし
間宮
ほら、見てよこの動画
間宮
早く戻って来いって笑
光
・・・素敵ですね
間宮
待ってくれてる
こいつらのためにも
こいつらのためにも
間宮
俺は絶対、完治する
光
あの・・・
光
間宮さんは、どうして
病気のことを友達に
話したんですか
病気のことを友達に
話したんですか
光
・・・怖くなかったんですか
間宮
・・・怖かったよ
間宮
ちょっとだけね
間宮
癌でもうすぐ死ぬ奴の
友達なんて面倒だって
思われたらどうしよう
とか思ったし
友達なんて面倒だって
思われたらどうしよう
とか思ったし
光
じゃあ、どうして・・・
間宮
──俺らしくいたかった
間宮
病気のこと隠しながら
生活するなんて、
そんなの辛くない?
生活するなんて、
そんなの辛くない?
間宮
色んな人に嘘ついて、
自分にも嘘をつく
ことになる
自分にも嘘をつく
ことになる
間宮
俺には無理
間宮
そんなの
ホントの俺じゃない
ホントの俺じゃない
光
・・・分かりますよ?
光
でも、話したら
今までみたいに楽しく
過ごせなくなるんじゃ
ないかって
今までみたいに楽しく
過ごせなくなるんじゃ
ないかって
光
みんな私を、
「可哀想な人」とか
思うんじゃないかって
「可哀想な人」とか
思うんじゃないかって
光
怖いんです・・・
間宮
光ちゃんの友達や
彼氏さんに会ったこと
ないから
彼氏さんに会ったこと
ないから
間宮
俺は何も言えないけどさ・・・
間宮
君の友達や恋人は
間宮
そんなことで
離れていく人なの?
離れていく人なの?
光
・・・
間宮
その程度の関係なの?
光
・・・
間宮
今まで一緒に
過ごしてきて、
思い出も
いっぱいあるのに
過ごしてきて、
思い出も
いっぱいあるのに
間宮
君が病気だって
分かった途端
分かった途端
間宮
君を可哀想な人扱い
するような人なの?
するような人なの?
間宮
それを恐れて
本音を言えずに
隠し通さなきゃ
いけない?
本音を言えずに
隠し通さなきゃ
いけない?
間宮
そんなの
友達って言える?
友達って言える?
光
・・・それは
間宮
俺は絶対嫌だよ
間宮
もし自分が、友達に
何にも話して
もらえなかったら
何にも話して
もらえなかったら
間宮
こんなに重大なこと
隠されたら
隠されたら
間宮
友達に対しても
失礼だと思う
失礼だと思う
間宮
もし大事な友達が
何も言わずに一人で
苦しみながら
死んでいったら・・・
何も言わずに一人で
苦しみながら
死んでいったら・・・
間宮
たまったもんじゃないよ
間宮
「心配」と「迷惑」は
全くの別物だよ
全くの別物だよ
光
・・・
間宮
俺の知る限りでは、
間宮
君は強くて優しい
素敵な女の子だよ
素敵な女の子だよ
間宮
だったら君の友達だって
間宮
間違いなく強くて優しい
人なんじゃない?
人なんじゃない?
間宮
きっと君の背負ってる
ものに気づいても
ものに気づいても
間宮
離れていったりしない
間宮
一緒に背負いたいって
思ってくれるはずだよ
思ってくれるはずだよ
光
一緒に・・・背負う
間宮
信じてみなよ
間宮
君が持ってるものには
それだけの価値がある
それだけの価値がある
『いつでも戻って来てよ』 『光の居場所は残ってるから』
『あんたの居場所はここだから』
『何かあったら頼ればいい』
『杏香さんでも、美桜さんでも』 『──俺でも』
光
信じるだけの価値がある
光
か・・・
医師
間宮晴人
医師
午後11時36分
医師
死亡確認
黒沢先生
・・・
光
間宮さんが、、?
黒沢先生
昨夜、突然急変して
黒沢先生
そのまま・・・
光
死んだの・・・?
黒沢先生
・・・
光
水曜日に手術するって
光
夢があるって
光
友達が待ってるって・・・!
光
昨日、言ってたのに・・・
黒沢先生
・・・
光
絶対生きるって・・・
黒沢先生
・・・彼の場合、検査での
数値は安定していた
数値は安定していた
黒沢先生
体の変化に気づくのは
困難だった・・・
困難だった・・・
黒沢先生
彼のように、ある日突然
命を落とすことは
命を落とすことは
黒沢先生
珍しくない
黒沢先生
・・・仕方のないことだ
光
人が死ぬのって・・・
光
こんなに呆気ないんだ・・・
光
尊い命が失われたのに
光
それでも世界は
変わらないんだ・・・
変わらないんだ・・・
光
私が、いなくなっても・・・
黒沢先生
──お前はまだ生きてる
光
・・・!
黒沢先生
ここに生きてるだろう
黒沢先生
彼が死んでも生きたかった
明日を、お前はまだ
生きてるんだよ
明日を、お前はまだ
生きてるんだよ
黒沢先生
──手離すな
光
・・・
杏香
光・・・?
美桜
え、なんで泣いて・・・?
光
・・・許して
美桜
え・・・?
光
もしも、、、私がどんなに
最低なこと言っても
最低なこと言っても
光
親友でいてくれる・・・?
杏香
・・・?
美桜
・・・
『信じてみなよ』
杏香
親友だろ、うちらは
光
──死ぬの・・・
光
私、もうすぐ死ぬの・・・