美桜
光・・・あれから1週間も
連絡ないね
連絡ないね
杏香
教室でも話さないしね
美桜
光がもうすぐ死ぬって
美桜
・・・信じられる?
杏香
・・・
美桜
ずっと一人で
抱え込んでたんだね
抱え込んでたんだね
美桜
多分、これからも
杏香
・・・もう関わんない方が
いいのかな
いいのかな
美桜
・・・は?
杏香
だって光が
そう言ったじゃん
そう言ったじゃん
杏香
もう2人とは距離を
置きたいって
置きたいって
杏香
だったら・・・
美桜
そんな・・・光をまた
一人にするの?
一人にするの?
杏香
じゃあ他に何ができるの
杏香
医者でもない私たちが
光にしてあげられる
ことなんて・・・
光にしてあげられる
ことなんて・・・
美桜
でもだからって、
もう関わらないとか・・・
もう関わらないとか・・・
美桜
私は、力になりたいよ
杏香
そりゃ私だってそうだよ
杏香
でも治らないんだよ?
杏香
光にはもう、逃げ道が
ないの
ないの
美桜
だけど傍にいることは
杏香
光は
杏香
苦しくなるって言った
杏香
これ以上うちらと
過ごしたら、絶対に
惨めになるって
過ごしたら、絶対に
惨めになるって
杏香
だって光にとっては
うちらは嫉妬の対象
なんだよ
うちらは嫉妬の対象
なんだよ
杏香
普通に学校行けて、
運動ができて、
みんなと遊べて・・・
運動ができて、
みんなと遊べて・・・
杏香
そんな普通のことが
光には出来なくなる
光には出来なくなる
杏香
──未来の話をすることも
美桜
・・・
杏香
最近の光が、時々
無性に悲しい目を
してるの、
気付いてたでしょ
無性に悲しい目を
してるの、
気付いてたでしょ
杏香
それは、うちらが
当たり前のことみたいに
未来の話をしたから!
当たり前のことみたいに
未来の話をしたから!
杏香
来年の夏とか、約束とか
杏香
そんな不確かなことを
平然と・・・!
平然と・・・!
杏香
うちらが、ただ
傍にいるだけでも、
光を傷付けることになる
傍にいるだけでも、
光を傷付けることになる
杏香
そして光も、いつか
うちらを傷つけるかも
って恐れてる
うちらを傷つけるかも
って恐れてる
杏香
病気の苦しみは、
本人にしか分からない
本人にしか分からない
杏香
周りが想像するより
はるかに過酷・・・
はるかに過酷・・・
杏香
光にしてあげられる
ことって、
ことって、
杏香
うちらが想像してるより
ずっと・・・
ずっと・・・
杏香
何もないんだよ
杏香
だからあの時、
言ったんだよ
言ったんだよ
杏香
もう忘れてほしいって
美桜
そんなの本心のはずない!
美桜
杏香だって、何年も
光を見てきて、
分かってるんでしょ?
光を見てきて、
分かってるんでしょ?
美桜
光は強がりなんだよ
美桜
いつも大変な時、一人で
解決しようとする
解決しようとする
美桜
そんな光が、
泣きながら言ったの
泣きながら言ったの
美桜
『許して』って・・・!
美桜
・・・光の手、震えてた。
美桜
あんな、もう会いたくない
みたいなセリフ・・・
みたいなセリフ・・・
美桜
本心なわけない
美桜
光の精一杯の強がりだよ
美桜
光は、待ってるよ
美桜
杏香のことも、
私のことも
私のことも
美桜
泣いてる光に駆け寄って
あげられるのは
あげられるのは
美桜
私たちしかいないでしょ
美桜
ここで一人にしたら
美桜
ほんとに
いなくなっちゃうよ
いなくなっちゃうよ
朝倉
大丈夫?
朝倉
顔色悪いけど
光
大丈夫、大丈夫
朝倉
食欲もないみたいだけど
朝倉
具合悪いなら
あんまり無理すんなよ
あんまり無理すんなよ
光
・・・ありがとう
朝倉
おう
朝倉
これからどうする?
朝倉
目的のパフェは達成
したし・・・
したし・・・
光
・・・あれ
朝倉
・・・どうした?
光
・・・
朝倉
おい
足が、動かない。
光
・・・ハア、ハア
──プップー!
光
・・・!
朝倉
──光っ!
──グイッ
男
たく、危ねぇだろうが!
光
・・・ハア
朝倉
・・・ほんとに大丈夫か?
光
・・・ごめん
朝倉
・・・
光
もう、大丈夫だよ
光
ありがとう
朝倉
・・・そ
私は、間違いを犯した。
分かりきっていたはずだった。
この幸せには必ず 終わりが来るのだと・・・
それでも身勝手なまま 彼に縋ってしまったこと。
私は私を 一生許すことができないだろう。
ならばいっそ──
光
あのね
光
最後に、
行きたいとこがあるの
行きたいとこがあるの
もう二度と・・・