TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

一話完結

一覧ページ

「一話完結」のメインビジュアル

一話完結

9 - その日まで

♥

1,030

2019年12月08日

シェアするシェアする
報告する

3月2日

3年1組の教室にて

伊織

……

伊織

………

伊織

…終わったぁぁぁ!

日菜子

日菜子

お疲れ様、宮瀬くん

日菜子

それじゃあ、プリントちょうだい

伊織

はい

日菜子

よし

日菜子

また採点しておくから

日菜子

明日も来なきゃダメだよ?

伊織

了解です

日菜子

ちなみに、3年で補習になってるの宮瀬くんだけだから

伊織

え、マジですか

日菜子

マジ

伊織

僕だけかぁ…

日菜子

頑張らなきゃね

日菜子

卒業できなくなっちゃうから

日菜子

もう来週だもの

伊織

…ですね

伊織

僕としては、別に…

日菜子

別に?

伊織

卒業、したくないんですけど

日菜子

え?

伊織

だって、先生に会えなくなっちゃうじゃないですか

日菜子

またそんな事言って

日菜子

宮瀬くん一人に教えるなんて、補習くらいよ

日菜子

先生は生徒みんなのものです!

伊織

……

伊織

ですよね

伊織

そうじゃないんだけどな…

日菜子

日菜子

…あ、ほら

日菜子

こんな時間

日菜子

早く帰りなさいね

伊織

…はい

日菜子

また、明日もあるから

伊織

わかってます

伊織

…また明日、先生

美月

伊織ー

美月

お風呂終わった

伊織

あ、うん

美月

あーもー、外回りで足痛いんだけど!

美月

ほんとムカつくわあの上司

伊織

大変だね姉ちゃんも

美月

大変なのよ

伊織

……

美月

伊織、お風呂

伊織

あ、そっか…

美月

なーに、考え事?

伊織

まぁ…

美月

珍しいじゃん

美月

なんかあったの?

伊織

んー

伊織

姉ちゃんに話してもなぁ

美月

何よそれ

美月

教えなさいよぉ

伊織

うー…

伊織

誰にも言わない?

美月

言わない言わない

美月

私の口の固さ舐めてんじゃないわ

伊織

うん、超わかる

伊織

じゃあ話そうかな…

美月

よっしゃこい

伊織

あのさ

伊織

姉ちゃんはさ、

美月

うん

伊織

学校の先生、好きになった事ある?

美月

……

美月

あー

美月

あるっちゃある

伊織

マジで?

美月

つっても小学生の時よ

美月

教育実習の先生ね

美月

…で、それがどうかした?

伊織

んー

伊織

あのさ、その

伊織

…笑わないでね

美月

うん

伊織

女の先生でさ

伊織

今年、担任になって

伊織

それで、その…

美月

…あー

美月

大体わかった

美月

伊織は、その人の事好きなのね

伊織

…うん

伊織

姉ちゃん、どうしたらいい?

美月

どうしたらって

美月

あんたの好きでいいじゃない

伊織

で、でも

伊織

気持ち悪いって言われるかも

伊織

それに、先生だし

美月

好きなんでしょ?

美月

ならそれでいいのよ

美月

自分の気持ちには正直にならなきゃ

伊織

……

伊織

そうかな

美月

そうよー

美月

…ところで

美月

どんなところが好きなの?

伊織

え?

美月

教えてよ、気になる

伊織

いやぁ、それは

美月

あんたのプリン食べるわ

伊織

うわ待って!

伊織

言う、言うから

美月

よしよし

伊織

その…

伊織

僕さ、補習やってたんだよ

美月

うん

伊織

で、その

伊織

…その担当、先生なんだ

美月

ほう

伊織

最初は1学期の中間がだめで、補習になったんだけど

伊織

すごく丁寧に教えてくれて

伊織

…それがすごい、嬉しくて

伊織

それで…

美月

それで?

伊織

…わかんないけど、

伊織

気づいたら、好きになってた

美月

ふんふん

伊織

で…その

伊織

…わざと、毎回補習になるようにして

伊織

ダメだってわかってるけど

伊織

わざと、赤点とって

伊織

…二人きりになりたくて

美月

ふぅむ

伊織

うん…

美月

ま、いいじゃないの

美月

よっぽど好きなのね、伊織は

伊織

うん

美月

まぁ…頑張りな

美月

もしダメだったら、焼肉奢ってやるわ

伊織

…金あんの?

美月

社会人舐めないでよね

美月

あんたの誕生日だって奢ってやったでしょ

伊織

…うん

伊織

ありがと姉ちゃん

美月

どういたしまして

伊織

頑張ってみる

美月

ん、頑張んな

翌日

伊織

……

伊織

………

伊織

先生、できました

日菜子

よし!

日菜子

これで補習は終わりだよ

伊織

……

日菜子

ここまでよく頑張りました

日菜子

これなら、安心して卒業できるね

日菜子

宮瀬くん

伊織

ですね

伊織

…先生

日菜子

ん?

伊織

あの、

伊織

一回だけ…

伊織

名前で、呼んでいいですか

日菜子

日菜子

…え?

日菜子

えっと…

日菜子

どういう事?

伊織

そのまんまです

伊織

下の名前で、呼ばせてください

日菜子

う、うん

日菜子

どうぞ

伊織

っ、

伊織

ひ…

伊織

伊織

日菜子さん

日菜子

……

日菜子

はい

日菜子

なんですか?

日菜子

伊織くん

伊織

……っ!?

伊織

あ、え

日菜子

ふふ、びっくりした?

伊織

はい…

日菜子

ごめんね急に

日菜子

…あ

日菜子

これから職員会議あるんだった!

日菜子

早く行かなきゃ

伊織

え、

伊織

まっ、

日菜子

宮瀬くん、またね

伊織

あ…っ

伊織

………

伊織

はぁぁぁ…

伊織

も、ほんと

伊織

ずるいんですけど…!

伊織

もう…

伊織

余計、卒業したくなくなったじゃん…

3月9日

3年1組の教室にて

卒業式

日菜子

日菜子

…みんな、1年間ありがとう

日菜子

短い間だったけど、とても楽しかったです

日菜子

先生、絶対に忘れないからね

日菜子

元気で…

日菜子

っ、

女子生徒

先生、泣かないで!

女子生徒

あたし達だって忘れないよ、

女子生徒

ね?

男子生徒

そうそう

男子生徒

先生も元気でな!

日菜子

…ありがとう

日菜子

みんな

伊織

………

女子生徒1

先生、LINE交換しよ!

女子生徒2

あ、私もー!

日菜子

いいよ

日菜子

じゃあ、QRコード…

男子生徒1

あ、じゃあグルチャ作ろうぜ

男子生徒1

3年1組でさ!

女子生徒1

いい事言うじゃん木下!

女子生徒2

先生それでもいい?

日菜子

もちろん!

女子生徒2

みんな、LINEグループ作るから集まってー!

日菜子

……

日菜子

日菜子

宮瀬くん

伊織

先生

日菜子

もう帰らないと…

日菜子

在校生の掃除とかもあるから

伊織

わかってます

日菜子

だったら、

伊織

先生!

日菜子

伊織

僕、先生に言わなきゃいかない事があります

日菜子

え…?

伊織

補習…

伊織

たくさんやったじゃないですか

日菜子

うん

日菜子

やったね

伊織

…あれ、わざとだったんです

日菜子

……え

伊織

ほんとは赤点とるほど難しくなかった

伊織

けど、わざとやりました

日菜子

…なんで

日菜子

なんでそんな事

伊織

好きだから

日菜子

日菜子

え、

伊織

先生が好きだから

伊織

…二人きりになりたくて

伊織

補習になるようにしてました

日菜子

…!

伊織

先生

伊織

好きです

伊織

伊織

…僕じゃ、ダメですか?

日菜子

……

日菜子

宮瀬、くん

伊織

…はい

日菜子

その

日菜子

…ごめんなさい

日菜子

今は…まだ

伊織

…そう

伊織

そうですよね

伊織

なんかすみません、こんな

伊織

せっかくの卒業式なのに

日菜子

あ、

伊織

先生

伊織

またいつか

日菜子

日菜子

…宮瀬くん!

伊織

っえ、

伊織

せ、先生?

日菜子

違うの

日菜子

そうじゃないの

伊織

え?

日菜子

まだ、ダメだから

伊織

…はい、わかってます

日菜子

だから!

伊織

日菜子

今はまだダメ

日菜子

今は

伊織

今は…?

日菜子

その、

日菜子

…もう少しだけ、待ってほしいの

伊織

え?

日菜子

4月1日

日菜子

その日まで、待っててほしい

伊織

4月…

伊織

って、

伊織

あ…

日菜子

ごめんね

日菜子

ほんとは今すぐ、答えたいけど

日菜子

でも、

日菜子

…大人になるまで、まだ少しだけ待っていて

伊織

先生…

伊織

わかりました

伊織

大人になるまで、待ってます

日菜子

うん

日菜子

ありがとう

伊織

いえ

伊織

先生

日菜子

ん?

伊織

LINE、交換していいですか?

日菜子

…もちろん

伊織

ありがとうございます

伊織

……

伊織

はい

伊織

できました

日菜子

うん

日菜子

…ふふ

伊織

なんですか?

日菜子

ううん、なんでもないよ

日菜子

…さあ、ほら

日菜子

もう帰らなきゃ

日菜子

掃除始まっちゃう

伊織

あ、そっか

伊織

じゃあ、先生

伊織

…待ってますから

日菜子

うん

日菜子

…待ってて。

君が大人になるその日まで。

この作品はいかがでしたか?

1,030

コメント

6

ユーザー

♡1000押しました! そして#卒業賞おめでとうございます!

ユーザー

ご丁寧な説明まで、ありがとうございます! 少し切なくて伊織の気持ちまでしっかり描かれていてこっちまでドキドキしました! ご参加ありがとうございます!

ユーザー

そして高校生は卒業しても、3月31日まではまだ高校生です。 4月1日からは高校生ではなくなります。

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚