私と彼のヒミツの自由

気がつくと、私と栗原くんは元に戻っていた。

彼はわざとらしくニヒルそうな笑みを浮かべた。

tellerは、世間ではよく使われているチャットと通話ができるアプリである。 もともとクラスの女子たちの連絡先は知っているし、クラスのグループも存在しているけど、そこに栗原くんの連絡先はなかった。

そそくさと帰ろうとする彼を見送った後、重大なことに気づいた。私の服装はさっき彼に着替えさせられたままで、こんな服で家に帰ったら何を言われるかわからない。

複雑な思いを抱きながら、トイレの個室で着替えて帰宅した。

帰宅した私は、さっきのことをうまく隠しながら自室に戻る。 クラス1の不良と遊んでたなんて知られれば、何を言われるかわからないから。

ふと、改めて彼が私に着せた服を見る。 流れでそのまま貰ってしまったけれど、私は一生着る機会がないと思っていたシロモノだ。

この日は彼のことがちょっと分かったような気がして、やっぱりわからなくなって。でも、ちょっとだけ、距離は縮まった気がした。