トントン
……
あぁ、きっとこの子に両親は居ないのだろう。
だってこの子は…
トントン
ミール、泣かんといてや…
こんなにも静かに独りで泣いているんだもの__
ミール
……泣いていませんよ!トントンさん!僕は笑ってます!
トントン
……見間違いやったみたいやわ。
トントン
すまんな
ミール
いえ、見間違いは僕もよくしますから!
あぁ、神様。
この子がなにか悪いことをしたのですか…? 独りでずっと、ずーっと泣いているのにも関わらず、誰にも頼れない。
トントン
いくらなんでも…可哀想すぎるやろ…(ボソッ)
ミール
?
ミール
トントンさん?
トントン
いや、なんでもないで?
ミール
そうですか!
ミール
今日に黙りこまれてしまったので、どうかされたのかと…
トントン
いや、大丈夫やで
ミール
そうでしたか!
ミール
良かった!(ニッコリ)
トントン
…心配かけてすまん。
ミール
?トントンさんは謝らないで下さい?
トントン
ええ子やなぁ
ミール
えへへ
トントン
ええ子やなぁ!(しみじみ)
ミール
トントンさん!恥ずかしいです!
トントン
あぁ、すまんすまん、あまりにもええ子すぎてな
ミール
いい子じゃありませんよ!
トントン
んにゃ、ミールはええ子やで?
ミール
あ、ありがとうございます…えへへ…
可愛いかよふざけんな
トントン
ミール、泣かんといてや…
突然、告げられた。
泣いてる?私が?何故?
私は昔から、表情を造る事が出来たはずだ。 どうして”泣いている”と言われたのだ?
溢れ出す、涙は無い………はず。
ミール
……泣いていませんよ!トントンさん!
…今度はきっと……笑えたはず。
トントン
……見間違いやったみたいやわ。
トントン
すまんな
あぁ、良かった。きっと今度は笑えたのだろう。
ミール
いえ、見間違いは僕もよくしますから!
と、元気いっぱいに告げた。
これできっと大丈夫。 私はしっかり隠せています。
ミール
(…隠せています……よね………トントンさん…)
『お前が自分を隠しても、 俺が見つけ出せないはず無いだろう?』
今ここにいない旧友の声が聞こえたような気がした。