私はその日、父の前に引き出された
父
父の声は低く、何処か冷たく そしてどっしりとした圧があった
北条奏
私は悪びれもなく答える
すると近くにいた兄が私に近づいて来た
兄
北条奏
返事の代わりに返ってきたのは
兄の平手打ちだった
北条奏
兄
兄
その言葉をきいて私の中で何かが渦巻くのが分かった
北条奏
(凄く、苦い…)
兄の言葉は、最初にもらった平手打ちよりも遥かに
私の心を抉った
母)
北条奏
実の母にも罵倒され、
父
実の父には厄介払い
この家の人間は、本当に腐っている
私は喉元まで来ていた反逆の言葉を堪えて、ぐっと飲み込んだ
そして、父達が立ち去ろうとした時にいった言葉に
私は我が耳を疑った
父
父
北条奏
あの言葉を最後に、私は地下の部屋へ閉じ込められた
北条奏
北条奏
北条奏
ひたすらに自問自答を繰り返し、悩み苦しんだ
外からは父と母、そして兄の声が聞こえてくる
北条奏
でも、私の心は折れなかった
きっと圭一兄さんが迎えに来てくれると、私は
勝手な妄想を信じていたのだから
それから何日、何週間、何ヶ月も経った頃。
要約、私にも進展があった
姑
北条奏
北条奏
この家でも唯一、私に理解を持ってくれる人がいた
それが姑だ
姑
北条奏
北条奏
そして要約、地下室の戸が開いた
部屋をあとにし、地上へ上がると
今日も父達は楽しげに談笑をしていた
そして母が私に気付き、一気に場の空気が変わる
北条奏
北条奏
父
父
私が会わない間に、もう一年経とうとしていたのか。
そう考えていると、兄者が不意に口を開いた
兄
兄
北条奏
そう尋ねると、兄者は鼻で笑いながら答えた
兄
兄
北条奏
その事故というのはあの事件のこと、
母が川に身を投げたあの日のことだった
北条奏
兄
私が聞き返すと、兄者は冷酷な目で私を睨んだ
母)
北条奏
私の中の渦がさらに濁る
私はその場で立ち上がると、急足で部屋を出た
外は暗く、星はほとんど見えない夜だった
それでも私は、兄さん達の居る家へと走った
きっと会える
きっと、また…そう思って走り続けた
私の家から兄さん達の家は、山を挟み一日かかる
どうか、皆んな無事でいてほしいと
私は考え、走り続けた…
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切ない...
わー悲しい