ある日
親子は息子の虫取りの為に
森に行っていた
母親
そんなに騒がないで
母親
他の子もいるんだから
男の子
はーい!
男の子
あっち行ってくるね!
母親
はいはい
母親
早く戻ってきなさいよー
男の子
わかってる!
10分後
母親
まだかな…
男の子
男の子
お母さーん!
母親
あ、来た
母親
もう服汚いじゃない
母親
どうしたの?
男の子
新種の虫見つけたよ!
母親
え?
母親
新種?
母親
どこにいるの?
男の子
うん!
男の子
こっち来て!
母親
うん
母親
どんな虫なの?
男の子
えっとね…
男の子
男の子
すごくでかくて…
男の子
なんかぶら下がってて…
男の子
ミノムシかな?
男の子
分かんないけど…
男の子
茶色でかっこいいの!
母親
そうなんだ
母親
じゃみんなに取られちゃうかもね
男の子
ううん!
男の子
たくさんいるから大丈夫!
母親
あらそうなの?
男の子
うん!
男の子
もうすぐ着くよ!
母親
え?
母親
ここら辺にいたの?
男の子
うん!
母親
ここって…
母親
母親
墓場じゃない
男の子
そうだよ!
男の子
えっと…
男の子
あ、ここ!
男の子
たくさんいるよ!
母親
え…?
男の子
捕まえたいんだけど…
男の子
この虫取り網じゃ小さくて届かないよ…
男の子
お母さん手伝ってくれる?
母親
これって…
そこには
母親
大きな木にぶらがっていた
首吊りをした人の死体があった
息子が 「なんか茶色い」と言っていたのは…
腹に包丁が刺されていて
そこから出た血が
足とか手に付いてしまって
それが何年間も人目につかなく
血が乾いてしまって
肌が茶色く乾燥したからだったのだ