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今日はるなちゃんも出てきます
さっそく続きどうぞ
うりに彼女がいることを知っても、 私は諦められなかった。 遊びの誘いを断ることも、当然のように 私を家まで送ると言ううりを 拒むこともできない。 心配そうに私たちを 見つめるえとから目を逸らすことしか できなかった。
夏休みも終盤となった頃、 ゆあんくんの家で遊んでいた帰り道。 少し海に寄っていこうと うりに言われた。
うり
ひょいっと堤防にのぼったうりは、 私に向けて右手を伸ばした。
すぐにその手を握ることはできなかった。だって、 うりには彼女がいる。 だけど堤防は私の肩くらいの高さだから うりみたいに簡単に のぼれない。
うり
のあ
戸惑いながら手を重ねると、 うりはぎゅっと握った。 お腹の奥の方が震えるような、 暑いのに寒いような、 熱いのに冷たいような、 よくわからない感覚が全身を取り巻く。
堤防にのぼってからも、 うりは私の手を離さなかった。 私も何も言わなかった。 うりと出会った海を見つめながら、 いっそこのまま離さないでほしい、 手を繋ぐことがふたりの間で 当たり前になってほしいと思った。
うり
のあ
うり
だからこうして寄り道してくれたのだろうか。
うりの笑顔を見ているだけで、 ささくれ立った心が凪いでいく じわ、と滲んだ涙をこらえて、 実はね、と切り出した。
のあ
静かすぎる夜の海は、私のどす黒い感情 に拍車をかけた。 その感情と静けさに煽られるように、 ペラペラと喋った
うりは黙ったまま。 こんな愚痴を吐いたりして、 引かれてしまったかもしれない。
のあ
うり
のあ
うり
ぽかんとうりを見上げていると、 うりは冗談めかしてにっと笑った。 笑わない私を見て今度は困ったように 頭をかき、声のトーンを下げた。
うり
のあ
うり
うりは満面の笑みで私の頭をくしゃくしゃと撫でた。
その瞬間、涙腺が破裂したみたいに、ずっとずっとこらえていた涙が溢れた。 子供みたいにむせび泣く私を、 しょうがねえなあ、と言いながら ぎゅっと抱きしめてくれた。
-のあはのあじゃん。 そうか。私はずっと誰かにそう言ってほしくて、こうして抱きしめてほしかったんだ。
どれくらい泣いていただろう。 ずっとうりの胸に 顔を埋めていた私は、 もう大丈夫、と呟いて そっと離れる。 頬に残っている涙を拭い、 乱れていた呼吸を整えてうりを 見上げた。
うりは真剣な 表情で私を見ていた。
うり
唐突に言ったうりは、 いつもみたいに笑っていなかった。
一瞬頭が真っ白になって、あ、とかすれた声が漏れた。
のあ
混乱しながら絞り出すように言うと、 うりは目を丸くして、 「知ってたんだ」とばつが 悪そうに頭をかいた。
うり
うりは真っ直ぐに私の目を見て言った。
うり
夢みたいな告白を頭の中で反芻していると、落ち着いていた涙が またぽろぽろとこぼれた。 嬉しいって、私もだよって言いたいのに、止まらない涙のせいで言葉が出てこない。
うりは泣き続ける私をぎゅっと抱きしめた。頭を上げれば、うりは 優しく微笑んでいた。 そっと目を閉じたとき、 えとの表情が、言葉が、 脳裏を巡った。
-うりくんはあんまりおすすめしない
えと、ごめん。 私、やっぱりだめだ。 忠告をされたときには、 もう完全に手遅れだった。
一度だけじゃなく、何度も何度もキスをした。立ち上がったうりは、 私の手を引いて歩き出した。 連れていかれたのは、 ゆあんくんの家ではなく、 うりの家。
階段を駆け上がり、 1番奥の部屋に入る。 ドアを閉めると、電気もつけず ベッドに押し倒された。 泣きすぎて頭痛がする。 急展開すぎて混乱する。
湧き上がるうりへの想いに眩暈がする。 朦朧とする意識の中で、 お邪魔しますって言えなかったけど 大丈夫かな、なんて、 あまりにも場違いなことを ぼんやりと思った。
初めてだった。 ちょっと怖かったし 痛かったけれど受け入れた。 その日私はうりの彼女になった。
もし名前に共通点がなくても、 誕生日が全然違う日だったとしても、 私はきっとうりを好きに なっていただろうなと思う。
うりが隣にいるだけで、目に見える 景色が全部綺麗だった。
受験を終え、私たち四人は無事同じ 高校に進学できた。といっても 私とえとは普通コースで、 うりとゆあんくんは 専門コース。 同じクラスになることは絶対にない。 だけど、生徒数が多いわけでも 校舎が分かれているわけでもないから、 たまに見かけることはある。
えと
高校生になって初めての夏。 昼休みの食堂で、 えとが眉をひそめて指さしたのは、 うりが女の子と話している姿。
学校生活を間近で見るようになると、 うりの人気者ぶりは 私の想像以上だった。 いつも大勢の友達に囲まれていて、 この三ヶ月間ひとりでいる ところなんて見たことがない。
話しかけるタイミングを 見計らうだけでひと苦労だ。 人気者の彼氏、という点だけなら 誇らしいのだけれど。
気がかりなのは、 その輪に女の子もいること。 話している、という 範疇に収まらないくらい 仲がよさそうに、 それはそれは仲がよさそうに べたべたくっついている。
えと
のあ
えとに背中を押されて、 そろそろと歩いていく。
のあ
みんなの視線が私に集中する。 入り混じる香水の匂いに 頭がくらくらした。 うりの友達は派手な人が多いから ちょっと怖い。 せめてゆあんくんもいれば まだ気が楽なのに、今日は 一緒じゃないみたいだ。
のあ
うりの腕を掴んで、 返事を待たずに輪から抜けて、 食堂の端っこに移動した。
のあ
るなちゃんはうりのグループで、 明るい髪色のショートカットが よく似合う綺麗な女の子。 入学当初からふたりは やけに仲がいい。 席が隣で話すようになったとは 聞いていた。
一度納得したものの、 あのいちゃつき肩はどう考えても "席が隣のクラスメイト" のレベルじゃない。
うり
のあ
うりはきょとん顔で首を傾げた。
うり
のあ
素直に認めると、 うりはついに 「ぶ!」と 噴き出して、公衆の 面前なのもお構いなしに 私の頭をくしゃくしゃと撫でた。
うり
そういう問題ではないのだけれど、 私はこの笑顔と仕草と言葉、 つまり、うりの全部にとことん弱い。
完敗した私は、釈然としないまま えとのもとへ戻った。
ちょうど席に着いたばかりらしい えとの隣に座り、 はあーと盛大なため息をつく。
えと
のあ
うりはびっくりするくらい 優しくて一途に想ってくれていて、 私たちの付き合いは順調 そのものだった。
なのに、些細なことでめちゃくちゃ 不安になってしまう。 付き合うって難しい。
えと
のあ
危うくテーブルを ひっくり返すところだった。 なにが 「席が隣で話すようになった」だ。
私、嘘つかれたってこと?
放課後、うりを問い詰めるよりも先に 廊下でるなちゃんと鉢合わせた。 いつも遠目に見ているだけだったけれど、近くで見ると、本当に美人だ。 それに背が高くて、スタイルもいいから、同じ制服を着ているはずなのに不思議とお洒落に見える。 およそ欠点というものが見つからない。
うり、こんなハイレベルな子と 付き合ってたんだ。 私の視線を感じたのか、スマホをいじりながら歩いていたるなちゃんは 顔を上げて立ち止まった。
るな
まさか話しかけられると 思わなかった。 美人の真顔は迫力が すさまじく、つい気圧されてしまう。 思わず後退しそうになった 足にぐっと力も入れて、 なんとか持ちこたえた。
のあ
るな
睨んでなんかいない。 ていうか、なんでそんな言い方 されなきゃいけないの?
さすがにカチンときた。 正直かなり怖いけれど、 そっちがそうくるなら 私にだって言いたいことがある。
ごくりと喉を鳴らして、
のあ
るな
あまりにもけろっと言うから 唖然としてしまう。 気を取り直して、背が高い るなちゃんに負けじと 背筋を伸ばした。
のあ
るな
のあ
るなちゃんが表情を歪めた。 声に出さなくても 「うっざ。」と 思われていることが 丸わかりなくらい思いきり。 話しかけてきたのはるなちゃんなのに。
るな
のあ
るな
意味がわからなくて、 すたすたと去っていく るなちゃんの後ろ姿を 呆然と見送ることしかできなかった。
うり
夏休みに入ってすぐ、 ゆあんくんの家に集合していたときに うりが言った。 るなちゃんとの一件のせいか わからないけれど、 少し嫌な予感がした。
のあ
うり
うりの男友達なら、 私はほとんど知ってると思うんだけど。 高校の友達だって顔と名前は把握している。それに、男友達に子って 使わない気がする。 不安を肯定するように、 女の子といちゃついている うりの姿が脳裏に浮かんだ。
うり
そう言って出ていったうりは、 二時間が過ぎても戻らなかった。 外はどんどん暗くなって、 先に女の子達が帰り、 しばらくすると男の子たちも 帰っていった。 残っているのはゆあんくんと えとと私だけ。 完全にお邪魔虫だ。
のあ
えと
立ちあがろうとした私の手を えとが掴んだ。 その瞳には、 心配と苛立ちが混ざり合ったような 複雑な色が滲んでいた。
たぶん、えとはあまりうりをよく 思っていない。 えとの口から直接聞いたわけじゃない けれど、日頃の態度からなんとなく察してした。私がうりと付き合う前の 「あんまりおすすめしない」 という忠告も、 うりが嫌いだから応援できないという 意味だったのかもしれない。
ゆあん
ゆあんくんの言う通り、 うりはそういうところがある。 今思えば初めて会った日も、 後ろに立っていた私が輪から 外れているように見えて ほっとけなかったのかもしれない。
ゆあん
ゆあん
えと
えとがさくっと言う。 ゆあんくんはばつが 悪そうに苦笑いして、
ゆあん
えと
ゆあん
夫婦漫才みたいなやりとりを 聞いていると、自然と 笑みがこぼれる。 付き合いが長いから息がぴったりだ。
別に喧嘩をしたわけではないけれど、 必死にフォローしてくれた ゆあんくんの気持ちは素直に 嬉しかった。
数日後、私たちは 隣市の市街地でデートをしていた。
のあ
昼食を食べ終えて散歩を していたとき、毎年 六月に大きなお祭りが 開催される有名な公園付近で、 五階建てのマンションを見つけた。
うり
のあ
看板には 〈今秋完成予定〉 〈入居者募集中〉 と書いてある。 もうひとつの看板には 間取り図もあった。 一〜三階が1LDK、 四、五階が2LDKらしい。 リビングダイニングも広い。 単身から家族連れまで、 幅広い層が住めそうだ。
うり
繋いでいたうりの手に、 ぎゅっと力がこもる。
うり
心臓がぎゅっと縮むような、 苦しいのに甘い、 そんな矛盾した感覚が走る。 こういうことを言うから、 この間は誰とどこでなにをしていたのか、なんて訊けなくなるんだ。 うりが戻ってきたときに 感じた、いつもと違う香りのことなんて 忘れてしまいたくなるんだ。
うり
胸に渦巻いていたもやもやが、 すうっと抜けていく。 もういいや。たとえ会っていた相手が女の子だったとしても、本当にただの相談聞いていただけ。 うりは私を裏切ったりしない。 きっと、どうしても 放っておけない理由があったんだ。 この笑顔も、ぬくもりも、 言葉も、嘘だなんて思えない。
-のあちゃんならわかってくれるって 信じてるんだと思う。
これで2話は終了です。
実は自分今2週間後に向けてダイエットしてるんです。だから2週間の間1、2個あげることを目標にします
いかなさそうだし ♡100↓
コメント
4件
続きがめちゃくちゃ気になる!投稿頑張ってくださーい!待ってます!!!