テラーノベル
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聞きなれない爆弾の音が耳を貫いて脳に響く。 キーンと一瞬脳がびっくりして止まってしまうが、イタリアやみんなはもうすぐに建物の中へと入っていったので僕もすぐに建物へと入る。
ベーメン・メーレン保護領
ベーメン・メーレン保護領
ナチ占領下オーストリア
ベーメン・メーレン保護領
別荘内の装飾にいちいちびくびくしながら進んでゆく。
ベーメン・メーレン保護領
アルバニアがなんだかさっきからそわそわしているので聞いてみる。 すると、滅多に喋らないアルバニアが口を開いた。
イタリア保護領アルバニア
イタリア保護領アルバニア
アルバニアの声を何気に初めて聞いた気がしてそっちに意識が持っていかれそうになるがそれをこらえ、内容に思考を傾ける。 確かに、あっちの班に”まともな”治療や応急処置が出来る国が居なくなるとまずいかもしれない。 一回怪我を負ったらしばらく処置してもらえないのだから、あの人たちは今後がない状態なのだ。
ベーメン・メーレン保護領
僕が思考に夢中になり足を止めると、隣で僕の腕を掴みながら歩いていたオーストリアが口を開く。
ナチ占領下オーストリア
ナチ占領下オーストリア
ナチ占領下オーストリア
ナチ占領下オーストリア
「当たり前だ」というような冷たい言い方だったので、少しだけ面食らってしまう。
....あまりにも無慈悲だ。あと、あまりにも正直だ。 オーストリアにとってナチスは枢軸国”なんか”より大事なんだ。
僕は無理やりナチス領にされた。だから、あまりいい印象を抱いていない。 国民だって沢山殺された。 だけど、オーストリアは、表向きは反対だったけどナチス領になってナチスを”歓迎していた”。 やっぱり、オーストリアはナチスの事が好きなんだ。 恋愛とか、そういうのを通り越して。
イタリア保護領アルバニア
そのアルバニアの声で僕ははっとした。
ベーメン・メーレン保護領
ナチ占領下オーストリア
ベーメン・メーレン保護領
オーストリアは謎の言語を発したかと思うと勢いよく耳を床に擦り付けた。 こいつはふざけているのか? いや、この状況下でオーストリアがふざけるなどあり得る筈がない。 じゃあなんなんだ???
ナチ占領下オーストリア
ベーメン・メーレン保護領
ナチ占領下オーストリア
ベーメン・メーレン保護領
そんなこんなでばたばたと別荘を探し回ること数十分。 思ったよりも別荘は広く、ビビりのオーストリアのせいもあって全然進まなかった。 だが思っていた血しぶきドロドロの別荘とは違く、中は思いのほか整頓されていた。地下室に監禁でもしていたのだろうか。少なくとも探し回ったところで酷いことをされた跡は見つからなかった。
残るはソ連の部屋(と思われるところ)になり、僕とオーストリアがびくびくしていたところをアルバニアがあっさり扉を開けてビビり散らかしたのを覚えている。 そこにソ連はいなかったがガチガチのオーストリアが床に落ちていたハンカチを踏んで盛大に床にこけて顔面から倒れた。
突然の出来事でオーストリアも僕もアルバニアも呆然としたが、オーストリアが床に突っ伏したことでベッドの下に謎の金属扉?があるのを発見した。
頑張ってベッドをどかすとその金属扉が露わになった。 正方形でソ連がぎりぎり通れるくらいの幅だったが、僕らはガリガリなのであっさり入りそうで安心した。
ただ一つ問題があった。 その扉にはダイヤル式の鍵がかかっていたのだ。 とりあえず二月革命の日付と十月革命の日付を試してみたら、十月革命の方で開いた。 僕達は顔を見合わせた。 多分思ってたことは同じだ。
扉を開けた先には狭い通路に梯子がかかっていた。 ただでさえ暗くて下も見えないのに狭い通路で梯子を下りるのは勇気がいる。
そこで僕はソ連の部屋にある毛布やらクッションやらを積み上げてそれを下にし梯子を無視して落下した。 オーストリアは困惑やら心配やらが合わさって「ベーレンンンン!!」とベーメン・メーレンを略したみたいな名前を叫んでいた。 まあ、僕も叫びたい気分だったんだけど。
そして、少し足を痛めたが死なずに下に降りることが出来た。 ___のだが、暗すぎて何も見えないのが今の現状である。
ベーメン・メーレン保護領
上に向かって叫ぶが地下内で反響するだけ返事も返ってこない。
僕は何も見えない怖さで足が震えていた。 いきなり襲われたらどうしよう。 明かりをつけた目の前に死体があったらどうしよう。 考えれば考えるほど怖くなって汗がだらだらと出てきた。
....そんな中、僕は頭上に微かな光を感じた。 上を向くと、淡い光が少しづつ降りてきているのが見受けられた。
ベーメン・メーレン保護領
僕は安堵した。
ナチ占領下オーストリア
ベーメン・メーレン保護領
そうやって二人で胸をなでおろしている中アルバニアは冷静に懐中電灯で周囲を確認していた。 僕が恐れていたような死体とかはなくて安心した。 ...だけど、如何にも不気味な通路が発見されて、僕とオーストリアは「勘弁してくれよ」と思わず呟いた。
イタリア保護領アルバニア
ナチ占領下オーストリア
ベーメン・メーレン保護領
ナチ占領下オーストリア
ベーメン・メーレン保護領
僕は意を決してその通路に足を踏み入れた。
意外にも、オーストリアは黙ってついてきた。
ベーメン・メーレン保護領
ナチ占領下オーストリア
イタリア保護領アルバニア
アルバニアが拳でコンコンと叩いた壁は、色んな素材がやみくもにくっつけられて出来たような壁になっていた。 確かに、石の壁が続く中いきなりこれが現れるのはおかしい。 この壁の先に空間があると考えるのが自然だ。
アルバニアがその壁の近くに手をつくと、その部分が抜けた。 抜けた、...というよりは、そのが丁度丸く切り抜かれていて、上部のみ金具?でくっつけられており押すと少しだけ開く仕組みになっていた。
アルバニアがそこから中を覗く。
イタリア保護領アルバニア
ベーメン・メーレン保護領
俺がそう言いかけたところで、オーストリアがその壁に向かって体当たりを始めた。
ベーメン・メーレン保護領
ドン!!ドン!!と低い音が鳴る。 オーストリアは必死そうな顔をして体当たりをしていた。
イタリア保護領アルバニア
そうしてアルバニアがは背中からノコギリを取り出した。 うん、なんてもの隠し持ってんだ。
木材の所に切れ込みをいれ、そこから力いっぱい壁を切っていく。
ベーメン・メーレン保護領
イタリア保護領アルバニア
アルバニアは苦しそうにギコギコとノコギリを動かす。 多分いろいろな素材が組み合わさっていてなかなかするっと切れないのだろう。
だけど、アルバニアは見た目や口調の割に力が強くて、思ったよりも速いペースで切れていた。 そこに、痺れを切らしたオーストリアがまた体当たりをした。
ナチ占領下オーストリア
ベーメン・メーレン保護領
僕はすぐに部屋に明かりを向けた。
卍
僕は息をのんだ。
ナチ占領下オーストリア
その瞬間、オーストリアが思い切りナチスに抱きついた。
ナチ占領下オーストリア
彼はガリガリにやせ細っていて、頬はこけ、真っ黒な目の下には大きな隈が鎮座し、まともに直視できなかった。
部屋には薄いタオルと電池が切れかけのランタン、そして山積みになっている腐ったソーセージだけがあった。
まさかソ連はナチスをここに暫く監禁していたのか。 四肢のない彼を?
僕は久しぶりに殺意というものを味わった。
ナチ占領下オーストリア
彼はオーストリアに目を向けるだけで何も言わなかった。
ナチ占領下オーストリア
ナチ占領下オーストリア
四次元ポケットかのようにオーストリアの白衣からたくさん食べ物や飲み物が出てくる。
イタリア保護領アルバニア
イタリア保護領アルバニア
そうだ。ソ連は戦闘が終わったらこっちに来るに違いない。 そうなったら、逃げ場がなくて僕たちは終わりだ。
正直、枢軸の皆がソ連に勝てるとは思ってない。 僕がソ連を過大評価しすぎているのかもしれないけど、ソ連は本当に強いんだ。
僕はクッションに使った毛布でナチスを包み、 一番最初に梯子を上った。 その次にナチスを抱えたオーストリア、最後にアルバニアが梯子を上って上へ出る。
ベーメン・メーレン保護領
僕はソ連の部屋の窓を開けた。 窓の外には木と雪が見える。外だ。 森に溶け込めばもうソ連は追ってこれない。一時的な安息が取れる。
ベーメン・メーレン保護領
窓に身体を通し、どさっと雪の上に落ちる。 今未来の事は考えなくていい。 とにかく、ナチスを抱えてどこかへ行くことだけ考えればいい。
枢軸の皆は無事だろうか。 いや、...今はもうどうでもいいや。
この4人で脱出できたら、それでいい。 きっと、どうにでもなる。
途中のアウスグライヒネタについて アウスグライヒはオーハンの始まりとなる協定のことで、 日本語では「妥協」と訳されます。 妥協があまりいい響きではないのは皆さん察せると思います。 内容としては、ざっくりいうと諸民族を自分だけで抑えられる気が無かったオーストリアがハンガリー人(マジャール人)と”妥協”し民族を抑えようみたいな感じです。多分(信憑性皆無) ベーメン・メーレンが”妥協するしかない”みたいなことを言って、それに反応したオーストリアがその妥協をアウスグライヒに当てはめジョークを言った形になります。
コメント
6件
十月革命は1917年11月7日 二月革命は1917年3月8日 – 1917年3月12日 です!! 順番逆にすればよかったですね、、、すいません、、
なちぃ....。゚(゚´Д`゚)゚。皆助かってくれ....
10月革命で開く扉、クッションがあるとはいえまあまあ高さのあるところから飛び降りるベーメン・レーメン、まるで四次元ポケットなオーストリアさんの白衣。結構ギャグ要素あって楽しめてます! この後の展開どうなるのだろうか、、、