23✘✘年、東京都某所――
リレイ
ふわぁ。もう朝かぁ……。
私、細川リレイは親がいない。
リレイ
えっと、窓開けて……うわ、パン買い忘れてた……
でも、この時代にはよくあることで。実際18歳以下の子供の4人に1人が親無しなのだとか。
リレイ
え、どうしよ!?この時間じゃスーパーもあいてないし!!コンビニもこの辺にはないし!!!!
少子高齢化とかいう言葉が昔はあったらしい。まぁ今となってはなじみのない言葉になっている。ここまで人口が減ると。
したがって、成人年齢は100年ほど前は20とか18だったらしいが今となっては15で。 つまるところ私は現在「大人」扱いなのだ。
リレイ
仕方ないや……。目玉焼きだけで乗り切るっきゃないねぇ……
だから、働かなくてはならない。でも、正直私は普通の仕事に向いていない。
――でさぁ、まじありえなくない?
それなー。あとさ、――
リレイ
(見える……)
リレイ
(窓の外、道行く人たちの小指……)
おそらく、私以外にはまったく誰にも見えていないであろう、黒い糸。
リレイ
(このままだとあの人たち……)
その時だった。
女の子たちの小指に絡まる黒い糸の先、およそ10メートル。
く、車だっ!!みんな、避けろ!!!!!!
リレイ
(意味ないんだよね、これが……)
きゃああああああああああああああああああ!!!!!!
いやああああああああああああああああああ!!!!!!
2人に突っ込んできた車は、他の人を巻き込むことなく、どこぞの電柱に激突。
女の子たちの小指、黒い糸の先に繋がっていた大型車が、二人を轢いたのだ。
リレイ
こういうの、事前にわかっちゃうんだよね……
リレイ
(なんか、やるせない……)
リレイ
(わかっているのに止められない。何故私だけ「アレ」が見えるのか、「アレ」は何物なのかわからない。でも……)
黙って人が不幸になるのを見るのは嫌だ。
リレイ
(……だから、私はこの仕事を始めたんだ。)
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