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地球最後の〇人鬼

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地球最後の〇人鬼

1 - 地球最後の〇人鬼

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2021年06月03日

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海斗

お世話んなりました。

5年前、俺は人をあやめた。

些細な理由だったかもしれない。

海斗

…理由なんかあったっけ

〇した相手もよく憶えていない。

鮮明に想起することができるのは

相手が息絶えるあの感覚のみ。

大事に使っていた眼鏡を 踏み潰してしまったとき、

あるいは、 ゲームのセーブデータが 消えてしまったときのような

1が0になるあの感覚。

海斗

ッ…

思い出すだけで身震いする。

今日は、そんな俺が 5年間待ちわびた 大事な日だ。

釈放の日。

理性と本能を頭の中の鍋に入れ かき混ぜながら

ぼんやりと大通りを歩く。

昼間から通行人が 大きなテレビのニュースに 釘付けになっている。

今日は、 俺にとって大事な日というよりは

人類にとって大事な日らしい。

「本日、隕石衝突!」

「地球、滅亡」

そんな見出しが画面を彩る。

海斗

もったいない。

今まで人類が築いてきた文明、

そして、 このテレビも5時間後には 跡形もないらしい。

海斗

あの。

女性通行人

はい?

海斗

テレビの…
これホントですか?

女性通行人

ええ。
昨日からニュースに
なってましたよね?

女性通行人

ホントいきなりで
実感も湧かないけど

女性通行人

今日、終わるみたいです。

海斗

ども。

海斗

あなたと話すのも、
これが最後ですね。

女性通行人

はあ。
失礼します…。

海斗

海斗

もったいない。

0になる感覚。

無を生みだすあの感覚。

それを隕石は 独占しようとしているらしい。

俺も味わいたい。

海斗

〇そう。

海斗

もう一回だけでいい。

ターゲットを探して、 歩き始める。

頭の中の鍋には、 もう、理性なんて入っていなかった。

海斗

絞めよう。

直に感じたい。

海斗

あいつなんかいいな。

海斗

恐怖を知らなそう。

海斗

あいつもいいな。

海斗

希望に満ちてる目だ。

今日、地球終わるんだよな?

希望に満ちてる?

海斗

ねえ。

女子大生?

はい。

海斗

怖くないの?

女子大生?

んー、怖いですけど。

女子大生?

諦めっていうか、

女子大生?

今日を目一杯
たのしもうと思って笑

海斗

ふーん。

女子大生?

あ、友達と待ち合わせしてるので。

女子大生?

では。

周りを見ると皆がそうだ。

この状況を受け入れ、

残り5時間の人生を謳歌している。

しかし、どいつもこいつも いつ〇んでもいいって面構えだ。

海斗

つまんないなぁ。

当たり前にくるはずの明日。

生きたいという意思。

必死の抵抗。

海斗

それを全部ひねり潰して

海斗

はじめて完成する。

海斗

じゃあいいや、やめよ。

何しよ。

海斗

俺も〇ぬのかあ。

隕石という絶対的な力で ねじ伏せられ、

俺の明日や楽しみを 一瞬にして奪う。

海斗

俺に〇されたやつも
おんなじ気持ちだったのかなあ。

海斗

これが罪悪感かあ。

気がつくと俺は

公衆電話の前に立っていた。

海斗

母さん…

受話器だけを握りしめ 突っ立ったまま、

4時間が経過した頃、

やっと硬貨を入れることが出来た。

皆、大事な人に 電話しているのだろう。

海斗

繋がらないか。

海斗

母さん、ありがとう。

海斗

ごめん。

凄まじい音に気づき、右を向く。

はじめてみる隕石に 瞳を奪われた。

瞳が潤んでいたせいか、 ぼやけて見えた。

海斗

死にたくないなあ。

本音だったと思う。

隕石は、

生きる意思も

阿鼻叫喚も

希望に満ちていた目も

後悔も

全て奪っていった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます、、

ホラー!!! って感じの話ではないので、 少し苦手で書きづらかったですが、 楽しかったです。 ホラーが読みたい方は是非 過去作を読んでいただければ! 「私、“赤ずきん”じゃないよ」が 一昨日くらいに トレンド入りしてました。 読んでくれた人ありがとう。

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