コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
海斗
5年前、俺は人をあやめた。
些細な理由だったかもしれない。
海斗
〇した相手もよく憶えていない。
鮮明に想起することができるのは
相手が息絶えるあの感覚のみ。
大事に使っていた眼鏡を 踏み潰してしまったとき、
あるいは、 ゲームのセーブデータが 消えてしまったときのような
1が0になるあの感覚。
海斗
思い出すだけで身震いする。
今日は、そんな俺が 5年間待ちわびた 大事な日だ。
釈放の日。
理性と本能を頭の中の鍋に入れ かき混ぜながら
ぼんやりと大通りを歩く。
昼間から通行人が 大きなテレビのニュースに 釘付けになっている。
今日は、 俺にとって大事な日というよりは
人類にとって大事な日らしい。
「本日、隕石衝突!」
「地球、滅亡」
そんな見出しが画面を彩る。
海斗
今まで人類が築いてきた文明、
そして、 このテレビも5時間後には 跡形もないらしい。
海斗
女性通行人
海斗
女性通行人
女性通行人
女性通行人
海斗
海斗
女性通行人
海斗
海斗
0になる感覚。
無を生みだすあの感覚。
それを隕石は 独占しようとしているらしい。
俺も味わいたい。
海斗
海斗
ターゲットを探して、 歩き始める。
頭の中の鍋には、 もう、理性なんて入っていなかった。
海斗
直に感じたい。
海斗
海斗
海斗
海斗
?
今日、地球終わるんだよな?
希望に満ちてる?
海斗
女子大生?
海斗
女子大生?
女子大生?
女子大生?
海斗
女子大生?
女子大生?
周りを見ると皆がそうだ。
この状況を受け入れ、
残り5時間の人生を謳歌している。
しかし、どいつもこいつも いつ〇んでもいいって面構えだ。
海斗
当たり前にくるはずの明日。
生きたいという意思。
必死の抵抗。
海斗
海斗
海斗
何しよ。
海斗
隕石という絶対的な力で ねじ伏せられ、
俺の明日や楽しみを 一瞬にして奪う。
海斗
海斗
気がつくと俺は
公衆電話の前に立っていた。
海斗
受話器だけを握りしめ 突っ立ったまま、
4時間が経過した頃、
やっと硬貨を入れることが出来た。
皆、大事な人に 電話しているのだろう。
海斗
海斗
海斗
凄まじい音に気づき、右を向く。
はじめてみる隕石に 瞳を奪われた。
瞳が潤んでいたせいか、 ぼやけて見えた。
海斗
本音だったと思う。
隕石は、
生きる意思も
阿鼻叫喚も
希望に満ちていた目も
後悔も
全て奪っていった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます、、
ホラー!!! って感じの話ではないので、 少し苦手で書きづらかったですが、 楽しかったです。 ホラーが読みたい方は是非 過去作を読んでいただければ! 「私、“赤ずきん”じゃないよ」が 一昨日くらいに トレンド入りしてました。 読んでくれた人ありがとう。