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だいぶ昔の話
私が小学生のとき 学校には“たてわり班”というものが 存在した
要はグループ活動みたいなもので 1年生から6年生まで15グループくらいに分かれていた
私が6年生のときは同年齢の生徒が 少なくて1クラス30人の 2クラスだった。 均等に分かれるから 同じたてわり班には6年生が 4人いることになるんだけど
たてわり班には班長と副班長がいて 先にそのメンバーを決める
それで後から残った班員を 決めるんだけど
まぁ学校のシステムだから 男女平等に決めるわけ
班長が男子なら副班長は女子 班長が女子なら副班長は男子って感じ
それで残り2人の班員も男女1人ずつ これは班長と副班長が選べたんだって
聞きづてだから詳しくは知らない
それで班員だった私が入った班は 少し変わってたんだ
班長は男子で仮にシュウ君だとして 副班長は友達のマナちゃんってしとく もう1人の班員はコウキ君
シュウ君は転入生だったんだけど その時は同じクラスじゃなくて あんまり面識もなかった
初めて同じクラスになったのは 最後のクラス替えの5年生のときで その時もあんまり覚えていない
6年になり 同じたてわり班になって はじめてまともに会話をしたんだけど
どうやらシュウ君はモテるらしかった
同じクラスにシュウ君を好きな女子が 何人もいて 熱烈にアプローチしている女子もいた
そんなシュウ君と同じ班ということで 羨ましがられもしたんだけど
それを知ったのはもう随分後のことで 私は友達としか見ていなかった
たてわり班の主な役割として 6年生が下級生をまとめる、という ある種の訓練だったんだと思うけど
その他に 遠足・ふれあいゲーム集会 というものがあった
遠足は先ほどの通り 下級生をまとめる役割なんだけど
ふれあいゲーム集会というのは 各班ごとにゲームを決めて 各教室でゲームをし 校内を周る、というものだった
たてわり班をまた半分に分けaとbにするんだけど
aがゲームを行う側だとすると bはゲームをやってるところにいき 周るって感じ
aがお店の人で bがお客さんって言ったら分かりやすいかな?
それでそのabのチームわけも ほぼ男女平等
aチーム 班長シュウ君と私 その他班の半分の1年生〜5年生
bチーム 副班長マナちゃんとコウキ君 その他班の半分の1年生〜5年生
…という具合
だからabで分かれるときは 否が応でもシュウ君と一緒だった
正直このシステムは今でもわからない
けどこれがキッカケで私がシュウ君と関わるようになったのは事実なんだ
偶然だと思ってたんだけど 実はそうでもないらしい
マナちゃん達と遊んでいたとき
マナ
そんなばかな
この手の話には疎かったけれど さすがの私でも受け入れ難かった
あの、おモテになる、シュウ君が? 私のことを?好きだと?
いやいやいやいや。
ありえない
そう頭で否定しながらも 私はその言葉が忘れられなかった
あるホームルームのとき
宿題の算数のプリントをいつもみたいにクラスメートのものをランダムで渡され採点していた
(今思えばこれは先生の負担を軽減させていたのかもしれない 生徒同士で答え合わせすることで 切磋琢磨させようとしたのかもだが)
そんな中私にまわってきたのは シュウ君のプリントだった
いかにも男の子、といった 少し細めの歪んだ字で 丁寧に数字が並んでいた
彼が頭のいいことは知っていたので 赤マルが続いても躊躇いなく 特に感情は抱かなかった
採点が終わりプリントを交換する
シュウ君は前の席で私は後ろだったから席を立ち、プリントを渡す
シュウ君は気付いていなかったようで 採点の下にある私のサインを見て 驚いたように振り返った
席替えして少し経つけど あんな顔見たのははじめてな気がする
マナちゃんの言葉が反芻した
マナ
いやいやいや。
ありえない
しかし、脳というものは忠実で 気になることは覚えてるんだよね
ある時のプリント交換のとき シュウ君は返ってきたものを見て 振り返りもしなかった
それを知ったのがいけなかった
私だけ? という期待が生まれてしまった
もしかして、シュウ君は 本当に私のことを好きなの?
そう思ってしまったのだ
好きらしい、と言われ そういう素振りで たてわり班も同じで
(たてわり班は選ばれたわけだけで それが意図してだったのでは、 とその時に気付いた)
もっと言えば 修学旅行の班も委員会も、同じだった
こういった偶然 或いはシュウ君による策で
見事私は意識してしまったわけだ
シュウ君に手紙を書いたことがあった
差出人は不明にして 友達に渡してと頼まれた、と嘘をついて彼に渡した
差出人のところにヒントとして 同じたてわり班 同じ修学旅行班の人より って書いた
シュウ君は目を見開いて私を見た とても驚いていた
そこから私の記憶は思い出せないんだけど 彼から告白されていないので
本当に彼が私のことを好きだったのか今となっては疑わしい
ただの偶然だったのかも と捕らえたほうが幸せに思う
ただ時々思うのは
もしあの時告白されていたら もしあの時告白していたら
私の未来は変わっていたのかな ということ
今となっては 真実は誰にもわからないけどね
未来が変わっていたら 今の私はどうなっていたのかな、と
ありもしない未来に 物思いにふけっているだけ
思い出の、恋のお話。