ふと声がした気がして振り返る
辺り一面のフリージアが揺れ
ゆっくりと静止画と化していく
なんら不思議のないその景色に
瞬間自分の脳裏...瞼の裏に写った影を重ね
影を模写するように涙を零す
水分を受けより神々しく輝く
空のようなフリージアは
笑い声すら吸い取ってしまいそうだった
夏が来る度に踏み込むこの地は
なんら思い出とは程遠く
胸焼けが地面に堕ちていく
有り余る時間に、やる事の無い時間
重ねるには滑稽で
頭の中の方程式も崩れていった
そうやってを何度も繰り返すが
やることは無いと気付き、足が止まる
足首に少しの違和感を覚え下を向く
「にゃぁ〜ん」
...珍しい来客に思わず頬が緩む
ゆっくりとかがみ、持っていた花を猫に付けてみる
...うん、可愛い
来客は不思議そうに見つめる
瞳が深い深い湖のようだ
そっと花を取り、歩き出す
「にゃ」
...え、君も来るの?
さも当たり前のようについてくる小さな来客は
付き人か、騎士か、気まぐれか
いっそこの来客も花だろうか
相変わらず緩む頬を引き締め
再び歩き出した
今の状況を表すなら
迷
これで足りるだろうか
何回来ても迷うので試しに来客に聞くことにした
危ない人では無い...と思う
「にゃん」
ついてこいとでも言わんばかりの背中
逞しい...
来客の意外な活躍に驚きつつ、足早に歩いていった
辺りは殆どが黒、隅っこは良くてオレンジだ
想像以上に時間がかかったが、何とか親友の元へ辿り着いた
1度瞳を閉じ、影を創る
景色、状況、命
花を咲かすように生み出していく
充分に脳裏を再現した後
ゆっくり、ゆっくり、瞳をあげる
今一度親友に向き直り
まっすぐと見つめる
親友は未だ動かず、その場にずっしりと佇む
緊迫した空気の下
「みゃぁ」
花を加えた来客が鳴く
口から自然と笑みが漏れ、その花を受け取る
そして向きを変え、親友にゆっくりと置く。
周りはフリージアだらけだ
そっと腰掛け、話しかける
自分の近況、友の近況、親友は今どうか
親友は黙ったままだ
慣れたはずなのに、少し悲しくなる
それじゃあ、と、立ち上がり
親友に最後に、と供え
振り返る
「みぃ」
あの日の親友がそこに居た
滅多にない表情で
にかっと笑って
涙を落としながら
美味かった
確かにそう言った
そして霧のように姿を消した
死んだ
そう理解した
いや、既に死んでいるのに
何故か
親友はようやく
楽になれた、そう
思った
急すぎて何も言えなくて
でも確かにそこに居た
違う、なにがしたかった?
これだけは言わせてくれ
A
A
複雑な言葉より、あの日と同じような言葉で
最後じゃない
ここから、始めていこう
だから──────
end♡
コメント
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…くぁw背drftgyふじこlp;@:「」。 (訳 文書く才能分けやがれください)