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空鷹

8 - 最終話 ‪”‬人名救助最後の砦‪”‬

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18

2024年02月16日

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勇儀

三ツ川三佐!収容完了!!

姫華が龍心に寄り添う。

姫華

龍心くん!龍心くん!!

美月

これは…やはり…あの高さから落下すれば…。神浦一尉、今から三ツ川三佐の応急処置を行います。サポートを

勇儀

了解!

美月は龍心の包帯を解き傷の状態を見る。

美月

これは…右腕の静脈が完全に壊死してる…。それにビルの瓦礫に付着していた菌が傷口から入ったのかも…ほとんど右腕が壊死してる…

勇儀

えっ!どうするんですか!

美月

ウイルスが全身に広まる前に右腕を切断するしか…

勇儀

ならここで!

美月

ダメ…ここで切断したら…止血が間に合わないし…空気中も清浄じゃないでしょ?でも可と言って切断しないとこのままでは…

勇儀

それは…確かに…

美月

機長!ここから病院までの距離は!

ここからだと約15キロ!このまま行けば着くのは10分だ!

美月

10分…それじゃ間に合わない…

勇儀

どど、どうするんですか!

野宮一尉!

美月

はい!

ここで切断しろ!

美月

えっ!?

美月

しかし機長!

ここまでは間に合わないのだろ!なら、少しでも助かる可能性のある選択にかけろ!

美月

助かる可能性……分かりました!

美月はバックからゴムを取り出し龍心の右肩あたりを縛る。

美月

神浦一尉!ここ抑えてください!

勇儀

わかった!

美月は糸ノコを龍心の肩に入れ右腕を切断する。

切断目から大量に出血する。

美月

神浦一尉!切断目を抑えてください!

勇儀

わかった!

勇儀は切断目に包帯をまき上から抑えて止血を試みる。

勇儀

(頼む…止まってくれ!)

しばらくすると、病院が見えてくる。ヘリは屋上に着陸する。

美月

神浦一尉!三ツ川三佐を下ろしますよ!

勇儀

了解!

2人は龍心を担架に乗せヘリから下ろす。

同時に翼はヘリのエンジンを停止しヘリを降りる。

翼がヘリを降りると、ヘリの近くに姫華が立っていた。

姫華…さんですね?大丈夫ですか?

姫華

…龍心くんは…

大丈夫です。彼は必ず医療の方々が助けてくれますよ。

姫華

そうですよね…。

姫華は薬指にはめた指輪を手でさする。

2011年 3月12日 避難所

龍心

裕也

なぁ…龍心…

龍心

制服姿の裕也が制服姿の龍心の隣に立つ。

裕也

…大丈夫かよ…もしかしてあのこと…

龍心

…あぁ…俺は美由紀(クラスメイトの女子)を助けれなかった…

裕也

龍心

津波に乗り込まれる瞬間…彼女と目が合ったよ…彼女の瞳には絶望と悲しみが入り交じっていた…

裕也

それは…でも、お前のせいじゃ…

龍心

いや…俺のせいだ…あの時…ほんの一瞬でも足を動かせたら…

裕也

バタバタ

龍心と裕也が避難所の運動場を見ると紺色のヘリが着陸していた。

裕也

日の丸…自衛隊のヘリか…

龍心

なぁ…あの人たちって…

裕也

あぁ、‪”‬人名救助最後の砦‪”‬だっけ?航空自衛隊の救助隊だろ?

龍心

人名救助…最後の砦…

龍心はヘリの外に立つ自衛官を眺める。

龍心

裕也…俺決めた…

裕也

え?

龍心

俺…あの人達のいる部隊にいく…

裕也

それは…

龍心

俺はもう…誰も死なせたくない…

龍心

俺は人を助けたい。

裕也

…龍心…。頑張れよ…。俺にはそんなこと言える勇気ねぇや…。

窓から風が吹き込み日光が差し込む。天気雨のように小雨がふり雨水が日光を反射する。龍心はゆっくり目を閉じる。

姫華

龍心くん!龍心くん!

龍心

ん…

姫華

龍心くん!

龍心はゆっくり体を起こす。

目が覚めたか…龍心。

龍心

あれ…俺…。ビルから…

あぁ。あの後、神浦一尉がホイストでお前を救助したんだ。

龍心

ん?

龍心は左手で右腕を触ろうとする。しかし、そこに右腕はない。

龍心

あれ?えっ…

龍心

右腕…

…。お前を救助した後…右腕の壊死があまりにも酷く…その場で切断した。だが、診察で体自体には支障はないと…

龍心

それは…機長…

ん?

龍心は涙を流す。

龍心

右腕がないと…ヘリを操縦…できませんよね…

翼はあまりの言葉に返答を拒む。

龍心

なんで…これからもっと人を…

龍心は俯き涙を落とす。

お前の自衛官としての人生はこれからだ。

龍心

えっ…

パイロットじゃなくたって…右腕がなくたって…自衛官としての職務は全うできる。

龍心

でも…両腕がないと…

それはこれからリハビリしていけばいい。直接人を助けることが助けるとは言わない。

龍心

龍心…お前はなんで自衛官になった…?

龍心

それは…

ギュ…

龍心が左手を見ると、姫華が龍心の左手を握っていた。

姫華

龍心くん…

龍心

姫華…

龍心は姫華に笑みをつくり、再び翼に向き合う。

龍心

俺が自衛官になった理由は…

龍心

これ以上…自分の目の前で助けを求める人を死なせないためです…!

(フ…)

翼は笑みをつくる。

お前はこの地震で自力で3人の命を助けた…それはもう立派としか言いようがない。

これからも頼む。

三ツ川龍心 三等空佐…ッ!!!

空鷹 【完】

主・最後までお読みいただきありがとうございました!コメントお待ちしております!

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