『幽霊相談、承ります』

『誰も居ない部屋』

ダダダダダダッ……

ダダダダダッ……

ダダダダダッ……

次の日

部屋の中の冷蔵庫から、コーラと麦茶、オレンジジュースを取り出し、事前に用意してあったグラスに注いでいく。

そんなくだらないことを話しながら、面白おかしく過ごしていると、いつの間にか時計の針が7時を指していた。

自分の部屋から出ると、正面に水屋、左側に台所に続く廊下──といっても5.6歩で台所につくのだが──がある。台所の向かい側はリビングで、食卓の上には母親が作ってくれたカレーが置いてあった。中抜けを使って職場から一度自宅に帰宅し、私達の為に作ってくれたものだ。カレーの他にサラダか何かを作ろうと、冷蔵庫を開ける。

食器棚に向かい、サラダの取り分け用小皿を用意し、大きなトレーの上にのせる。ボウルの中に簡単にあしらえた野菜サラダを入れ、ドレッシングをいくつかのせ、一旦サラダを自室に運ぼうとした時だ。

ダダダダダッ……

ダダダダダッ……

ダダダダダッ……

ダダダダッ……

「ここだよ」

和紗の悲鳴を合図に、私の部屋へと早歩きで向かう。

ダダダダダッ……

律がズボンのポケットからスマホを取り出す

──新着1件──

スマホを二人に見せる。

ダダダダダッ……

そんなことを考えながら扉をあける。

カレー皿を3つ取り出し、カレーのルーを温めはじめる。

制服のスカートのポケットに入れていたスマホを取り出す。

ぎゅっと強く目を閉じる。

どれだけの間、目を閉じていたのかわからない。 カレーが煮立ち、香辛料のいいにおいが鼻をくすぐる。

ほっと胸をなでおろし、目を開ける。

「ねえ」

「無視しないで」

白い顔がこちらにだんだんと近付いてくる。

ダダダダダッ……

ダダダダダッ……

ダダダダダッ……

ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ……

『幽霊相談、承ります』

「ねえ」

ダダダダダダッ……

自室で何かが走り回る音がする。

耳をふさぎ、目を瞑り、大きな声で叫んだ。

『幽霊相談、承ります』

女の人のようで男の人でもあるような声が聞こえてきた。 〝何か〟が落ちる音が聞こえ、好奇心から閉じていた目をうっすら開く。

壺の中にあの女の子が吸い込まれていく

目の前の黒い影が、壺の蓋をして、御札のようなものを貼り付けた。

バタバタバタ……

あれから、何があったかを二人に話した。

昔起きた痛ましい事故。 あれから20年が経つ。 新しくマンションを建てるために解体工事を行っていた敷地内（当時、立ち入り禁止の看板が立て掛けてあった）に小学生5人が入り込み、かくれんぼを行っていた。その最中に上から落下してきた鉄骨材の下敷きとなり、一人の女の子が死亡した。即死だった。この子が事故当日持っていたというお人形は未だに見つからないままである。

あのとき見えた顔は──女の子というよりはお人形そのもので。