私は
よくある乙女ゲームの“悪役”に転生してしまった
しかも中々大変で
令嬢ながら男装をして、ヒロインに恋されるらしい
まあ、それはひとつのルートであって、違う相手を選べば違うエンドになるのだが
それでも悪役であることに変わりはない。邪魔をすることが私の役目である
この水に囲まれた世界が無空間と呼ばれる場所であって
私は自由に動けるし、前世の格好をしている
私は決して溺れない
それが夢の中である限り
チリリリリ。
高級そうな目覚ましの音が聞こえる
私は憂鬱ながら目を開けた
朝。
召使いにもみくちゃにされながら学校に登校する
真っ白な透き通る肌に長い四肢
真っ直ぐな長い黒髪に見透かされるような紅い瞳
それが私の今の容姿である
この世界では黒髪は珍しいらしく、よく2度見される
まあ、もう気にしないのだが。
窓側の席に頬杖をつきながらぼーっと外を見つめる
私は、「暗黒の魔女」と呼ばれているらしい
だから、妹と手を繋ぐだけでゾッとされる
馬鹿みたいなしょうもない競走だって、私はヒロインの一個下の2位にならなければ通報されてしまう
ゲーム補正と言うやつだ
よく、「性格変わった?」と言われる
決して変わっていない。私は5歳の時に転生したのだから
少し、優しい言い方をするだけで、「暗黒の魔女が突然変異した!!」と言われてしまう
私は私なのに。
XとYをかけても変わらない事実なのに。
私はため息をついて、召使いに紅茶を求めた
この世の聖女様は
善と悪の境目があやふやである
その癖世の中が分かっているらしく
「マリン家のひとり娘が可愛らしい庶民を侵害する」と
散々言いふらしいているらしい
全く面倒くさい話だ
私は描いている絵の紙を手で掴み、ぐしゃぐしゃにして後ろに投げた
だから、私は、攻略対象にとって「クレイジーヴィラン」である
面倒くさい存在。ただそれだけ。
私は夜行性の花弁となって
好きな人の元へ。“男装”して逢いに行く
ねぇ、ほら神様、仏様、医者でもいい
私を迎えに来て
顔も見た事のない人にとって、私は聖女様のいうような悪女である
ヴィランでしかないのだ
いつもと同じ蛇蝎ライフを乗り越えたのに
挙句の果てにヴィランだって?
ふざけないでよ。ほんと
助けて
誰か
私は目を閉じて、空気に足を踏み出した
でもね
なんど死んだって
私は無空間に帰ってくるんだ
“私がマリンローズである限り”
「参考」
作詞 てにをは
作曲 てにをは
「ヴィラン」より
また、マイクラ謎解きマップの「マリンローズは溺れない」も参考とさせて頂きました
コメント
9件
悪役令嬢に転生してしかも5歳からって辛いですな…マイクラ脱出MAP見てみます!!
ほんと、場違いで申し訳ないのですが、俺ら話したことありましたっけ
うわぁぁぁぁ!大好きな歌だぁぁ!!ありがとうございます!! XとYをかけても変わらない事実なのにっていう表現ほんとに大好きです…!!