星也さんからの言葉に勇気をもらった私は、
ママにお弁当を渡したあと、家に帰ってさっそく
昨日の紅羽の配信のアーカイブを見てみることにした。
紅羽
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紅羽
紅羽
紅羽
すみれ
すみれ
すみれ
すみれ
すみれ
相変わらずブレのない配信のテンポの良さとゲームの上手さに舌を巻きながらも
私はそんなことを考えていた。
こうして、彼が仕事をこなせている姿を見ていると、
紅羽さんには、やっぱり余計なことをしたかもしれないと
今更私の中で後悔が芽生える。
すみれ
すみれ
私がため息をついていると、
不意に配信画面の左側、紅羽さんのアイコンが赤く光り出す。
ちょうどいま、紅羽さんが配信を始めたようだ。
私は彼のチャンネルページに飛んで、ライブ配信を視聴する。
どうやら今日も昨日の続きで、アクションゲームをプレイしていくようだった。
紅羽
紅羽
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紅羽
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紅羽
紅羽
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紅羽
紅羽
紅羽
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紅羽さんは相変わらず軽いトークをリスナーと交わしながら
ゲームをどんどん進めていき、
つぎつぎとゾンビを打ち倒していく。
すみれ
それでも、持ち前のゲームの腕はほとんど反射なのか、衰える様子がない。
すみれ
紅羽
紅羽
紅羽
すみれ
すると、突然、ふっと紅羽さんがしゃべらなくなった。
私はどうしたのかと驚くが、画面の操作キャラクターはまだちゃんと動いているし
操作はしているようだった。
コメントにも、ざわざわと違和感が見え始める。
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画面端の紅羽さんのキャラクターは、カメラで認識して動いているはずだが
まるでバグってしまったかのように、執拗に瞬きを繰り返して
顔も左右に揺れている。
私が不穏な空気を感じ取りはじめたその時、ついに事件は起きた。
『バターーーン!!』
『バターーーン!!』
突然の大きな音。止まる画面。鳴り続けるBGM。
画面端の紅羽さんのキャラクターは、目を閉じたまま、斜めに首を傾けている。
カメラのモーションキャプチャが外れてしまったのだろう。
ということは、おそらく紅羽さんはカメラに映っていない。
すみれ
明らかな異常の発生に、コメント欄のリスナーも混乱し始めた。
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すみれ
私は、混乱して真っ白になりそうな頭を、なんとかフル回転させる。
すみれ
すみれ
すみれ
すみれ
いろんな選択肢が頭の中を駆け巡って、何が正しいのか分からない。
スマホで連絡しようと思ったが、配信のむこうで何か動きがあるかもしれないため、
私はもつれる足で固定電話のところまで行き、
震える手でママに電話をかけた。
すみれ
プルルルル…
プルルルル…
プルルルル…
すみれ
すみれ
すみれ
プルルルル…
アナウンス
すみれ
すみれ
配信の様子は相変わらずで、コメントのざわざわ度がどんどん増していて、
リスナーにまで大きな不安が生まれているようだ。
ママに連絡を入れ終えると、途端に、
目に涙があふれてきた。
紅羽さんが心配だ。でも、心配で悲しくて泣いているんじゃない。
それ以上できることがなくなってしまった自分の、情けなさが悔しかった。
すみれ
すみれ
すみれ
すみれ
自らの無力感にただ呆然と涙を流す。
すると不意に、
なぜか、紅羽さんの声が頭の中で聞こえた気がした。
紅羽
すみれ
できることは、まだある。
もう手は尽くした、と思っても。
やってないことが、まだ、ある。
どんなことでも。一見無駄なことでも。
何が実を結ぶかは、やってみないと、分からない。
だから。
すみれ
すみれ
すみれ
すみれ
すみれ
私は財布を掴んで、着の身着のまま、家を飛び出した!
すみれ
すみれ
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