静寂だけが佇むこの部屋の空気は
〘人間〙にとっては猛毒なのだろうか
純玲 スミレ
水彩 スイサイ
純玲 スミレ
元々私はあの世界に馴染めなかったから
水彩 スイサイ
水彩 スイサイ
水彩 スイサイ
今の彼女の顔は人間の感情で言えばどうなんだろう…
純玲 スミレ
水彩 スイサイ
水彩 スイサイ
水彩 スイサイ
純玲 スミレ
純玲 スミレ
水彩 スイサイ
そっぽを向きながらそう彼女はこたえる
純玲 スミレ
純玲 スミレ
水彩 スイサイ
純玲 スミレ
水彩 スイサイ
彼女は細い目を更に細め 私にゆっくり近づいてくる
純玲 スミレ
とんっ
純玲 スミレ
私は理解が追いつかないまま 地面に倒れていく
そしてその先には一冊の本のページが開かれていた
純玲 スミレ
水彩 スイサイ
純玲 スミレ
ぴか-ンッ!
彼女が本の中に入った後 この寝室の扉がゆっくりと開いた
水彩 スイサイ
星風 セイカ
パラパラパラ
ペラペラペラペラ
ガラガラッ
渚紗 ナギサ
し-ん…
一瞬だけ静寂に包まれた教室は
また賑やかな声で満たされた
渚紗 ナギサ
僕は何時も通りに 自分の席に着き 鞄から本を取り出した
タイトルは〘夜空花〙
渚紗 ナギサ
栞を挟んでいたページを開き 本を読み出す
この本はとても興味深くて共感出来る文章が多い
どんっ
柚葉 ユズハ
今 僕の席に わざとぶつかってきた人物は クラスの中心的存在の柚葉さん
つまり逆らえない女王様の様な人だ
渚紗 ナギサ
僕は下を向きながらぼそっと喋ってしまった
柚葉さんは何だか不服そうに 僕を見詰め
僕が読んでいる本を勝手に取った
渚紗 ナギサ
咄嗟に僕は席を立ち上がり 柚葉さんに向かって手を伸ばす
すると柚葉さんは 綺麗に僕の手をかわし 本のページをペラペラと捲った
柚葉 ユズハ
柚葉 ユズハ
柚葉 ユズハ
柚葉さんは僕の前で本をひらひらと掲げ 地面に落とし 足で本を踏みつけた
渚紗 ナギサ
柚葉 ユズハ
柚葉 ユズハ
クラスから笑い声が飛び交った
渚紗 ナギサ
僕の頭の中で何かが切れる音がした
渚紗 ナギサ
僕の一声で再び クラスは沈黙に満たされた
柚葉 ユズハ
柚葉 ユズハ
渚紗 ナギサ
柚葉 ユズハ
柚葉さんは僕のお腹目掛けて思いっきり蹴りを入れた
渚紗 ナギサ
僕はその場で崩れ落ち 口から汚物を吐き出してしまった
柚葉 ユズハ
柚葉 ユズハ
渚紗 ナギサ
僕はそのまま 教室から逃げ出した
もう我慢なんて出来ないから
純玲 スミレ
目を覚ました途端 私は知らない場所にいた
純玲 スミレ
首を傾げつつ 周りを見渡した
純玲 スミレ
純玲 スミレ
純玲 スミレ
純玲 スミレ
そう途方に暮れていると
廊下を誰かが走り過ぎて行った
純玲 スミレ
何だか気になるから 着いていってみよう
渚紗 ナギサ
僕が向かった先は屋上
そして僕は今からこの世界の一線を越える
渚紗 ナギサ
フェンスの上に乗り 運動場を眺める
渚紗 ナギサ
そうとっても楽しそう
良いなあ…
僕も友達とか
恋愛とか
楽しい事とか
そういうのやって見たかったな
渚紗 ナギサ
力を抜き 後ろ側に倒れていく
〘嗚呼 これで良いんだ〙
〘きっと…これが正しいんだ〙
目を瞑り 死ぬことを受け入れたその時
がしッ
誰かに手を掴まれた
純玲 スミレ
僕の手を掴んだのは 長い長髪とアメジストの様な瞳を宿した女の子だった
渚紗 ナギサ
渚紗 ナギサ
僕はか細い声で彼女に告げた
純玲 スミレ
彼女は 首を傾げて僕を上に引き上げようとしていた
渚紗 ナギサ
渚紗 ナギサ
彼女は 僕をじっと見詰めて再度首を傾げた
純玲 スミレ
純玲 スミレ
純玲 スミレ
顔色一つ変えずに彼女は 僕の瞳をずっと見詰める
渚紗 ナギサ
渚紗 ナギサ
渚紗 ナギサ
渚紗 ナギサ
純玲 スミレ
純玲 スミレ
渚紗 ナギサ
渚紗 ナギサ
渚紗 ナギサ
純玲 スミレ
渚紗 ナギサ
よく見てみると彼女の目には光が宿っていなかった
純玲 スミレ
純玲 スミレ
純玲 スミレ
純玲 スミレ
真っ直ぐな視線
その言葉
僕は目から大粒の涙が流れた
止まらない
渚紗 ナギサ
今更この世界に希望なんてないと思ってたのに…
君が希望なんていう温かみを教えてくれたせいで
死ぬのが怖くなってしまった
純玲 スミレ
彼女は無言で僕を上に引き上げた
そして
ぎゅっ
渚紗 ナギサ
純玲 スミレ
純玲 スミレ
純玲 スミレ
純玲 スミレ
その言葉を聴いた僕は 涙を服で拭いて
泣きじゃくりながら 彼女に言った
渚紗 ナギサ
渚紗 ナギサ
純玲 スミレ
純玲 スミレ
渚紗 ナギサ
渚紗 ナギサ
渚紗 ナギサ
純玲 スミレ
渚紗 ナギサ
純玲 スミレ
純玲 スミレ
晴天の下 僕達は友達という絆で結ばれた
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝
第四話 本の外の世界
コメント
4件
書き直し前もこれも最っ高ですなぁ! 柚葉って奴は56していいのかしら()