暗闇の中、意識が覚める
彼方?
冬真
薄らと目を開けると、 真っ先に冬真の顔が視界に映り込んだ
ここは……保健室?
瑞樹
翔太
冬真の反対側から、瑞樹と翔太も映る
彼方?
痛いところも、 違和感を感じるところもない
冬真
不意に、真剣な顔をした 冬真に話しかけられる
冬真
冬真
彼方?
オレの、名前……
カナタ
投げかけられた質問に答えた
冬真
カナタ
そんなもの、オレは知らない
冬真
翔太と冬真が、話していたこと……
冬真
冬真
冬真
冬真
そういえば、そんなことを 話していたのを『俺』が聞いた
冬真
翔太
『俺』は何も、おかしなことは 言っていなかったはずだ
冬真
冬真
冬真
カナタ
『自我』……
『俺』はそんなモノを知らなかった、 知らなかったから、触れなかった
冬真
オレにも、『自我』が、ある?
冬真
冬真
そっと説き伏せる様に、 問いかけてきた冬真
カナタ
無意識の内に、自分が『オレ』と 呼んでいたのは、誰なのか
今、ここにいるのは……誰だ?
カナタ
カナタ
カナタ
『一ノ瀬彼方』でも、『俺』でもない
オレは、空喰カナタだ
冬真
冬真
カナタ
冬真
オレのこと……
カナタ
翔太
カナタ
カナタ
女だけのあの家には、 男は婿養子として来た人しかいない
そんな中、オレが生まれた
こんな例外は初めてで、 その時からずっと、みんなして オレを忌子扱いしてくる
愛華凛も一緒に生まれてきたから、 かろうじて、生まれた意味はできた
けど、愛華凛が愛されて 育っていくのとは対称的に、 オレは厳しく育てられた
『お前は愛華凛の為に生きるんだ』
『何も感じるな、自我を持つな』
これを育てるって言うのも、 多分間違ってると思う
でもオレは、髪色も目の色も、 愛華凛や空喰の人とは全く違う
自分でも、忌子って呼ばれてる ことに、何も疑いを持たなかった
カナタ
生まれてからのことを、3人に話す
瑞樹
翔太
カナタ
そんなこと、考えたこともなかった
瑞樹
カナタ
愛華凛とは何も似てないし、 気味悪がられて当然の見た目だ
無理矢理髪を染められたり、カラー コンタクトを入れられたりして、空喰 の人間以外には見せたこともないけど
翔太
全部、冬真の言っていた 『空の隱れ雲』の特徴に、 ぴったり当てはまる
冬真
優しく微笑みながら、そう言われた
カナタ
冬真
冬真
冬真の家?
カナタ
冬真
瑞樹
冬真
冬真
オレの家……
カナタ
冬真
今日は……あの日だ
カナタ
冬真
カナタ
当主は自分の座を、 愛華凛はそれ相応の金額を賭けて、 不定期的にギャンブルをしている
今日は、その日だ
冬真
カナタ
オレが、行きたいか……?
カナタ
翔太
カナタ
そう言って、左腕の袖を捲る
愛華凛はこの学園で『最強』
だけど、当主には 一度も勝ったことがない
いつも多額の金を賭けるけど、それも 全部溶けて、最終的にはオレの血を 賭けられることもある
左手首のこの無数の傷は、その時に つけられて、出血させられたものだ
学校に通ったことのないオレが ここに編入したのも、 その対決に使う金を稼ぐ為に過ぎない
『一ノ瀬彼方』を作るのに 1年かかって、今年、やっと普通の 人間らしく過ごせる様になって
ただの種銭として渡された一億を 増やす為に、ギャンブルをし出した
それからは、増えては渡すの繰り返し
オレの為に使われる金なんて、 ほぼゼロに等しかった
カナタ
あの場はいつも、痛い思いと、変に むず痒い思いをさせられるから、嫌い
傷だらけの手首を、ぎゅっと握った
冬真
カナタ
行かなくて、いい?
冬真
冬真
……じゃあ……
カナタ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
コメント
3件
そらるさん…そんなことがあったなんて… 自分の血を賭けられて左手首を…… 空喰家……許さん… オッドアイいいですよね〜 私も好きですw どのそらるさんもめちゃかっこいい! 続き正座待機して楽しみにしてます!