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表人格…光莉(ひかり) 性格…明るい、優しい 普通の小学生 裏人格…夜魅(やみ) 性格…秘密主義、サイコパス 黒の組織のボス 中立人格…日和(ひより) 性格…温厚、落ち着いている 主人公が生まれた時、最初の人格は夜魅だった。 両親は夜魅が生まれる前から闇金に手を出しており、まともな子育てなどできるはずもなかった。夜魅には名前すら与えず、虐待を繰り返した。 ある日、闇金から逃げるように夜逃げした両親は、幼い夜魅を置き去りにした。 その後、幸運にも夜魅は取り立てに来た男に保護され、順調に育った。そこで「夜魅」という名前を与えられ、表向きは普通の生活を送ることができた。 しかし、その実情は裏社会。夜魅は身体や心だけでなく、裏社会での地位、戦闘力、生き抜くための力も着実に身につけていった。 そして高校生の頃、ついに組織のボスにまで上り詰めた。 突然のことに夜魅は驚いたが、先代のボスに可愛がられていたこと、そして何よりもその能力が周囲に認められていたため、幹部たちの賛同と協力を得ることができた。 だが、まだ高校生の夜魅にはその重責は大きく、精神的に疲弊していった。 そんな時、「アポトキシン」という薬物が開発されたという報告を受けた。疲弊しきっていた夜魅は、藁にも縋る思いでその薬を口にしてしまう。 元々薬物に対する耐性を持っていた夜魅に、薬はすぐに効果を発揮することはなかった。楽になりたい一心で街を彷徨い、そして倒れてしまう。 それまでのショックと強いストレスにより、夜魅は新たな人格、光莉を生み出した。夜魅は光莉に全てを委ね、深い眠りについた。 ふと意識を取り戻すと、そこは見知らぬ家だった。あたりを見回していると、男が声をかけてきた。しかし、表に出ていたのは光莉であり、光莉には自分の名前、言葉、体の動かし方といった基本的な記憶しかなかった。 何もわからない光莉が男に名前を尋ねると、その人は安室透だと答えた。 それから、光莉は安室に保護され、帝丹小学校に通い、穏やかな日々を送っていた。 しかしある日、殺人事件に遭遇してしまう。それをきっかけに、光莉の頭の中で声が聞こえるようになった。「そこを変われ」「そこにいるべきなのはお前じゃない」と囁くその声は、しばらくすると消え、身体への影響もなかったため、光莉は安室に心配をかけたくないと、そのことを話さずにいた。 だが、二度目の殺人事件に遭遇した後から、異変が起こり始めた。気づくと知らない場所にいたり、安室から奇妙な質問をされるようになったのだ。「なぜそんなことを聞くのか」と光莉が問い返すと、自分が突然どこかへ歩き出し、その先で倒れているのだという。 光莉は、以前頭の中で聞こえた声のことをふと思い出した。しかし、そのことを話そうとすると、頭が激しく痛む。その様子に気づいた安室は、光莉を第一に考え、その話題に触れないようにしていた。 ある日、また突然歩き出した光莉に、安室はついに声をかけた。すると、まるで別人のような雰囲気に、思わず「あなたは誰だ」と問いかけてしまう。 光莉のはずの人物は、「私は夜魅だ」と答えた。 安室は瞬時に、光莉が二重人格であることを理解した。しかし、なぜ今になって夜魅が現れたのか、不思議に思っていると、夜魅がこちらを見て不気味に笑った。その笑顔は、安室がバーボンとして活動していた頃に向けられた、黒の組織の人間特有のものだった。 その直後、夜魅は意識を失い倒れた。またすぐに光莉に戻るだろうと思った安室は自宅へ戻り、光莉が目を覚ますのを待った。 ようやく光莉が目を覚ましたものの、いつもより時間がかかったことを不審に思いながら、安室はいつものように声をかけた。しかし、返ってきた言葉は全く異なるものだった。「私の名前は日和だ」と、その人格は言った。 そして日和は、この不可解な状況について説明を始めた。自分には光莉と夜魅、二つの人格の記憶があり、光莉が夜魅の攻撃に耐えきれず、中立な人格である自分を生み出したのだと。 安室は呆然としながらも、光莉と夜魅について質問した。すると日和は、まず夜魅について語り始めた。夜魅は生まれながらの人格であり、組織のボスという重責に耐えかねて光莉という人格を作り上げた。しかし、その強すぎる善の心に閉じ込められてしまい、光莉に直接働きかけるようになったのだと。 次に光莉について、日和は語った。光莉は夜魅が生み出されてからしばらくは平穏に過ごしていたが、殺人事件を目撃したことがきっかけで夜魅に攻撃される隙を作ってしまった。そして、光莉にも休息が必要となり、そのために自分が作られたのだと。 安室は、夜魅にかかっていた責任と重圧とは何だったのかと尋ねた。すると日和は、「答えられない質問だ」と言い、黙り込んでしまった。 安室は気になったが、これ以上日和に負担をかけてはいけないと思い、多重人格であることを理解した上で、一緒に生活しようと提案した。日和は快諾し、三人の奇妙な共同生活が始まった。 はじめは不安定で危うい日々だったが、長い年月をかけて三つの人格は安定していったように見えた。そんなある日、安室はこれからどうしていくのかと日和に尋ねた。その時、表に出ていたのは夜魅だった。夜魅は「組織に戻らなければならない」と言った。 嫌な予感がした安室は、さらに詳しく話を聞いた。すると、夜魅がかつてボスを務めていた組織こそ、安室が潜入捜査をしていた黒の組織であることが判明した。 しかし、夜魅はもう組織に戻りたいとは思っておらず、組織を潰すための協力を申し出た。ボスであった夜魅は、組織の内部情報や弱点を熟知しており、その知識を活かして組織壊滅へと導いたのだった。 そして今も、光莉、夜魅、日和の三人と安室は、静かに暮らしている。