テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
999
comi
2,717
大手総合商社の22階、オフィスラウンジ。 窓の外に広がる東京の景色を眺めながら、俺――吉田仁人は、手元のパソコンでシンガポール支社とのWEB会議用資料をまとめていた。
佐野勇斗
ドサリ、と隣のソファが沈む。聞き飽きた大きな声と同時に、冷たい缶コーヒーが俺の頬に押し当てられた。
吉田仁人
眼鏡を直しながら睨みつける。 こいつは同期の佐野勇斗。 社内では「華のあるエース」なんて呼ばれて女子社員の視線を一身に集めているが、俺の前ではただのうるさい野生児だ。
佐野勇斗
吉田仁人
佐野勇斗
俺は天を仰ぎ、盛大なため息を吐き出した。
吉田仁人
佐野勇斗
大げさに頭を抱えてのけぞる勇斗。案の定、遠くの席にいた女子社員たちが「またさのじんがイチャイチャしてる……」とクスクス笑っているのが目に入った。本当に勘弁してほしい。 勇斗は物怖じしない突破力で大きな案件をガシガシ取ってくる。それは素直に尊敬している。だけど、その後の細かい書類手続きを全部俺のところに丸投げしてくるのは、本当にどうにかしてほしい。
佐野勇斗
そう言ってキラキラした目で縋り付いてくる勇斗に、俺は結局「やるよ、やればいいんだろ」と折れてしまう。実家の母親みたいなポジションにいる自分の境遇に苦笑しつつも、こいつの抜けたところをフォローするのが、俺の役目だとどこかで諦めてもいるのだ。
コメント
1件
読了しました〜!第1話から社内ラウンジの空気感がすごくリアルで、一気に引き込まれました。特に勇斗の「爆裂可愛くない?」ってノリと、それに呆れつつも結局フォローしちゃう仁人の距離感がたまらないです。女子社員の「さのじん」って呼びも含めて、これから2人の関係がどう転んでいくのか、すごく気になります!(仁人の「実家の母親ポジション」って表現に笑った)