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コメント
3件
いつものことながら先が気になります!
ニュースキャスター
ニュースキャスター
仁神(にかみ)
ぞうきん片手にテレビを見ていた
仁神は”うへぇ”と声をもらした。
仁神(にかみ)
護関(ごせき)
護関がそういうと、
民宿の玄関が開き
強い雨風と共に
二人の従業員が戻ってきた。
光間(みつま)
合羽を着ていても
二人の髪はずぶ濡れだった。
士条(しじょう)
士条(しじょう)
仁神(にかみ)
仁神は二人にタオルを渡す。
士条(しじょう)
護関(ごせき)
士条(しじょう)
衣色(いしき)
奥から衣色が顔を覗かせた。
衣色(いしき)
光間(みつま)
士条(しじょう)
そう言うと
頭上の蛍光灯が点滅する。
仁神(にかみ)
仁神(にかみ)
衣色(いしき)
仁神(にかみ)
衣色(いしき)
衣色(いしき)
仁神(にかみ)
仁神(にかみ)
護関(ごせき)
仁神(にかみ)
衣色(いしき)
衣色(いしき)
仁神(にかみ)
仁神は護関の腕を掴んで、
足音軽やかにお風呂場へと向かった。
・
・
何故、
台風が上陸する日に
従業員が出勤しているのか。
それはオーナー武藤正の命令だった。
・
・
───前日。
武藤(むとう)
士条(しじょう)
護関(ごせき)
護関(ごせき)
武藤(むとう)
仁神(にかみ)
武藤(むとう)
武藤(むとう)
武藤(むとう)
武藤(むとう)
武藤(むとう)
武藤(むとう)
武藤はドヤ顔で言ったが、
従業員たちは表情を曇らせた。
・
古民家とお世辞にも言えない
古い造りのこの民宿は、
数年前まで
素泊まり一泊三千円と
安さだけが取り柄だった。
しかし、
調理スタッフの衣色が来て、
食材にこだわったことで
宿の評価が上がり、
遠退いていた客足も戻りつつあり、
この夏も忙しくなるだろうと
思われた矢先の台風である。
今季最大級と言われ、
電車は計画運休、
バスも本数を減らすと
事前に言っていた。
その結果、
宿泊客は全員
前日までにキャンセルし、
頼んだ食材だけが残っていた。
仁神(にかみ)
仁神(にかみ)
仁神はそう言って
重いため息をこぼした。
・
・
───時間は戻って現在。
美味しい料理に舌鼓を打っている間も
雨風は強くなっていく。
雨戸に打ちつける雨粒が
銃声のようだと言って光間は笑った。
衣色が
”特別なデザート”
と言って食後に持って来たのは、
高級なアイスクリームだった。
どの味を食べるか
選んでいると
護関がふと何かに気が付いた。
護関(ごせき)
仁神(にかみ)
仁神(にかみ)
衣色(いしき)
士条(しじょう)
衣色(いしき)
衣色(いしき)
衣色(いしき)
衣色はそう言って笑った。
・
・
時間の経過と共に
雨風の勢いは増していく。
雨戸にぶつかる雨粒の音は
まるで誰かが
戸を激しく叩いているようだった。
隙間風は誰かの悲鳴のように
か細く泣いている。
・
何度目かの寝返りをうつ。
・
今季最強クラスの台風は、
上陸しても
その勢力を落とすことなく
各地に甚大な被害を出しながら
進んでいる。
・
裏山が崩れないか、
近くの川が氾濫しないか
気が気じゃなかったが、
疲れていたのだろう
あれこれ考えているうちに
ストンッと眠りに落ちた。
・
・
「……!」
「……さん!」
「……さん!」
衣色(いしき)
名前を呼ばれたような気がして、
目を覚まし、
スマホを見る。
衣色(いしき)
仁神(にかみ)
叩かれる扉を開けると、
そこには仁神が立っていた。
衣色(いしき)
仁神(にかみ)
腕を掴まれ、
引っ張られるように
部屋から連れ出される。
・
・
廊下に出ると、
まとわりつくような
湿度の高い熱気が漂っていた。
どうやら停電し、
エアコンが止まっているようだった。
仁神に連れてこられた
玄関脇の共用スペースには
すでに他の従業員たちも集まっていて、
各々スマホの明かりを
足元に向けていた。
衣色(いしき)
そう言いかけた衣色は
みんなの足元に
人が倒れていることに気付く。
衣色(いしき)
士条(しじょう)
慌てて駆け寄った衣色に対して
士条は冷静に首を横に振った。
士条(しじょう)
衣色(いしき)
恐る恐る
その顔を見ると、
倒れているのは、
20代前半とみられる
髪色の明るい女性だった。
目も口も大きく開かれ
今にも悲鳴が
聞こえてきそうだった。
衣色(いしき)
衣色(いしき)
衣色(いしき)
衣色は顔を上げ、
周りにいる従業員の顔を見る。
そこにはいつものメンバー、
仁神、光間、士条、護関の四人がいる。
仁神(にかみ)
光間(みつま)
衣色(いしき)
護関(ごせき)
護関(ごせき)
護関(ごせき)
衣色(いしき)
衣色(いしき)
光間(みつま)
光間(みつま)
そう言って光間は
わざとらしく首を竦めて見せた。
衣色(いしき)
士条(しじょう)
士条(しじょう)
衣色(いしき)
護関(ごせき)
衣色(いしき)
士条(しじょう)
衣色(いしき)
士条に聞かれて、
衣色はすぐに答えることが出来なかった。
・
はたして、
彼女は一体何者で、
どうしてここにいて、
何故、
死んでいるのか……。
答えを知っている者は、
ある一人を除いて、
まだ、ここにはいない───。
・
・