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【廃れた記憶】🧊👓

【廃れた記憶】🧊👓

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5

E p i s o d e .4 夜に飲まれた声.

♥

1,201

2023年05月14日

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─────────── ―――― ・・ ―・・・― ・―・―・ ――・― ・・―・― ・―・―・ ・―・ ───────────

E p i s o d e .4 夜に飲まれた声

看護師

リラックスしてくださいね。

Mofu.

はい、

なんと、全身麻酔をするらしい。 滅多にやらない診察方法らしくて、看護師さん達もなんだか緊張しているように見えた。 それを見るとなんだかプロが慌てるのが新鮮で、面白くて 心が晴れた。分厚い雲が全部流されてしまったみたい。

看護師

先生が来ますけど、きっとその前に寝てますね(笑)

Mofu.

そんなに早く眠り着くんですか?

看護師

まぁ、そうですね。

看護師

では...

Mofu.

...

看護師

ゆっくり目を閉じてください

看護師

いーち、にーち

看護師

さーん...し__

とんとん、と一定のリズムで肩を叩かれる。子供の頃、オトウサンやオカアサンにされていたな、と思い出に浸る。 自分の意志とは裏腹に、瞼が固く固定される。 段々と声が遠くなっていくのが悲しい。 みんなのかおが...みえて、くる...

数日後__

Runa.

んぐぅ...

Runa.

一生春休みがいい...

Yuan

一生は嫌だわ(笑)

Runa.

...

Yuan

もふくんまだかな、

Runa.

だよね。

Runa.

2、3日って聞いてたけど

Runa.

もう5日経ってるよ

Yuan

ま、大丈夫でしょ!

Runa.

だねー

焦ってるなんて 心配だなんて 寂しいだなんて 思っちゃっいけない。ただ待つだけ、ひたすらに待つだけ。 気にするな 不安になるな だめだぞ、るな!

Yuan

春休みあけちゃったしね~

Runa.

いやだよぉ

__

校内アナウンスがスピーカーから流される。低い誰かの声だった。 あまり気にもとめないでいると、 「るなさん」 「ゆあんさん」 と、自分達の名前が呼ばれる。

Runa.

え?!

Runa.

私なんかやらかしてたっけ?

Yuan

ちょっと待って...

Runa.

ん?

Yuan

いやっ...なんでも...

Runa.

何?!ていうか、視聴覚室?!

Runa.

怒られる〜💦

Yuan

行こ,う...

Runa.

う、うん

怒られるのが嫌らしく 眉を寄せ、困ったような複雑そうな表情をしていた。

周りの騒音がゆあんくんで掻き消された。 窓から差し込む昼頃の太陽は とても暖かくて眩しかった。 でも、心はなぜか冷たくなっていく。

こんな時に呼び出し

さらに「視聴覚室」 俗に言う「放送室」ってやつだ。 音が漏れず、入り込まないから説教は大抵そこで行われる。 けれど

なにもしてない 自信を持って言える

帰らないもふくん

なんの連絡もない

最悪のことを考えてしまう

Runa.

あ"~、何かしたっけ?

Yuan

特に...

Runa.

テンション上げとこ...

Runa.

怒られた後のメンタルを保護するために

Yuan

だね、

妙な寒気で鳥肌がたってしまう。

時々

夢を見たい

そう思う瞬間がある。

幸せってなんだろう

友達や家族ってほんとに おれを必要としてるのかな

おれが存在するのはなんでだろう

なんで、こんなに怖い思いする必要あるんだろう

先生

いいかい?

先生

落ち着いてきくんだよ?

綺麗なお花がみたいな

なお兄が育てた可愛らしいお花。

先生

事情はよく分からないけれど...

先生

君たちの大切な人が__

綺麗なお星様もみたいな

しし座やおとめ座... 遠い所で懸命に輝くお星様。

先生

とにかくッ

先生

今日は帰って、お見舞いにでも行きなさい!!

先生

お迎えまで来てるみたいだから

Runa.

もふくん...?

Runa.

もふくんに何かッ?!

Yuan

るな。早く帰ろう

Runa.

ご、ごめん

Runa.

そうだね。

Yuan

るなが行ってあげなよ。

Runa.

うん...

悲しい?

苦しい?

泣きたい? 死にたい?

"好き" と、伝える__が家で待ってる。

でも、壁ができた。

Runa.

はぁッ、はぁッ...

息咳切って走った。 静かで平和な病院内で私は 涙を押し殺した。

医師が待っている部屋の前まで来ると力一杯扉を引いた。

Runa.

もふくんはッ!?

看護師

お焦りにならないでください!

看護師

お部屋へとうぞ、先生がお待ちです

Runa.

はい、

なだめられてたまるか

Runa.

失礼します...

医師

来ましたね。

なぜか、先生の部屋にはベッドが1台置かれていた。

Runa.

もふくんが、そこに?

医師

はい。

Runa.

い、いきて...

医師

生きてますよ(笑)

医師

麻酔が抜けていないだけです。

医師

お座りになってください、

そう言われて、丸椅子に腰掛けた。少しだけ沈んで私の体を支えた。

医師

単刀直入に言いますと紫雲さんは

医師

"はいもうびょう"です。

Runa.

は、はいもう...?

Runa.

なんです?それ、

医師

聞いた事がなくて当然です。

医師

この病気、日本で発症した人は紫雲さんが初めてです。

Runa.

はじめて、?!

医師

海外でも稀で、今現在発症されてる方は世界で二,三百人程度です。

Runa.

そうなんですね、

医師

ヨーロッパ付近でしか見られないんですがね、普通は

Runa.

あの、その病気...どんなことが

医師

あぁ、申し訳ございません。

医師

焦らず、お静かにきいてくださいね。

Runa.

もちろん...

医師

紫雲さんはいずれ記憶を無くしてしまいます。いずれですけどね

Runa.

ぇ...?

医師

そして、最終的に亡くなります。

Runa.

どッどうして!?

医師

お静かに!!

Runa.

ッ、ごめんなさい

医師

「はいもうびょう」

医師は紙にペンを滑らせる。 そこに書かれた文字は 「廃忘病」 の3文字だった。 なんだかパッとしない。

医師

脳から発症する病気です。

医師

脳が侵食されて行き、身体中の臓器やら何やらの活動が疎かになって行きます。

医師

すると勿論、おわかりでしょうけど

医師

記憶も欠落し、死んでしまいます...

Runa.

そ、そんな...

Runa.

ひどぃ"ッ...

涙を堪えると嗚咽になってしまいそう。 体が熱くなって、何も考えられない。

Runa.

なにかッ、できることは、?

医師

...それが、まだ見つかっていません。

医師

原因も、対策も、何もわからないのです。

医師

謎だらけで、どんな威力の病魔かもわかりません。

医師

ですから、我々には何も...

Runa.

ッ...

医師

最終的に人工呼吸器等を使用しますと、植物状態になりますが命を繋ぎ止めることは出来ます

Runa.

そうですか...。

カーテンの奥にいるもふくんを抱き締めたい。 笑って欲しい 元気で居て欲しい 帰ってきて欲しい

ん...?

看護師

?...先生、目が覚めました。

医師

おはようございます。

医師

嗚咽などが酷くて、少々麻酔をかけさせて貰いました。すみません。

いえいえ、逆にありがとうございます

僕、帰れるんですか?

医師

勿論です。ちょうどよくいらっしゃいますよ。

Mofu.

誰が...?

Runa.

もふくん、おはよ...

声が少し掠れた。 そんなのもお構い無しにもふくんは喋り続ける。

Mofu.

久し振り(笑)

Mofu.

迎えに来てくれたんだね~!

Mofu.

ありがと!

Runa.

は、はい...どうしたし、まして...

Mofu.

...きいたんだね、?

Mofu.

心配しないで、俺は大丈夫だから

Mofu.

帰ろう?

Runa.

うん

もふくんの瞳はなぜだか 輝いていた。 それは涙なのかなんなのか、よく分からない。

家路に着くとたった数日いなかっただけなのに、懐かしくて感動してしまう。 近所のお年寄りだとか、賑やかな公園の子供達だとか、電柱、ブロック塀、全部がかけがえのないものものに見えた。

Mofu.

あ~やば、感動...

Runa.

ぇえ?!

Runa.

そんなに、?

Mofu.

うん(笑)

Runa.

きっと皆さん待ってますよ

Mofu.

だね

ぐっ、と玄関の扉を開いた。 すると、良い香りが流れてきた。

Mofu.

ただいまー!

Runa.

戻りましたっ!

Yuan

おか~!

Yuan

久しぶり、もふくん...

Mofu.

久しぶり(笑)

Yuan

のあさん達が待ってるよ、!

Mofu.

うん

手を引かれ、急ぎ足でリビングルームへ向かった

Mofu.

みんな、ただいま!!

大声を出すと室内にいた人達が一斉に振り向く

Tattunn

お、!キタキタ!

Japapa

もふくぅぅぅん!

Uri

おかえり、もふくん。

叫ぶ2人を横目にうりが手を握ってきた。とてもあたたかかった

Uri

待ってたよ

顔を近づけてから、頭を撫でてきた。

Mofu.

ぇ、ありがと...//

Noa

待ってましたよ(笑)

Noa

もふくんの為に作ったんです!

そう言って、白いお皿を差し出してきた

全体は黄色くて山みたいな盛り上がりをしていた。赤い液体状の物がそこに蛇行してかけられていた。

湯気が上がっていて、とてもいい匂いがした。

Mofu.

うわぁッ

Mofu.

美味しそう!

Mofu.

これ、なぁに?

Noa

ぇ、オムライスですよ、?

Tattunn

頭バグったんか、(笑)

Japapa

麻酔のせい?(笑)

Uri

はやく食べようよ~

Runa.

(もふくんがオムライスごとき、忘れる筈ない。)

オムライス、オムライス? あぁ...もう忘れかけているんだ。 多分、俺が好きだったんだ。 だから作ってくれたんだ。 優しさなのに、起きている事柄を突き付けられたようで胸が苦しくなってしまう。

Mofu.

んむ...

Noa

どうです、?

Mofu.

美味しいッ!!

Noa

よかったですε-(´∀`*)ホッ

Tattunn

なぁ、こんな時にきくの...あれやけど...

Mofu.

ん?、あぁ...

Uri

...?

Runa.

大丈夫でしたね!!

Mofu.

!?

Mofu.

...うん!

Noa

よかったぁ...

Yuan

なんかあったのかと...

Japapa

あ、るなとゆあんくんごめんね。

Japapa

病院の人がとりあえず誰か来てくださいって、めちゃ焦りながら言ってて...

Japapa

帰ってきてもらっちゃった(´>∀<`)ゝ

Tattunn

俺ら忙しくてな、ごめんな

Yuan

大丈夫だよ(笑)

Runa.

...

Mofu.

るな、?

Runa.

もふぐんがッ、しんぱ、いだったからッ...

Noa

え、?えっ?!

Uri

るるるるる、るな!?

Runa.

だい"じょうぶですッ...

Japapa

感動泣き?

Runa.

うぐッ、そう"れ"すぅッッ

Tattunn

ꉂꉂ(ˊᗜˋ*)𐤔𐤔𐤔𐤔

ごめん。

夜中、なんだか寝付けなくて少し水を飲もうと、廊下に出た。

どこからか、啜り泣くような声が聞こえて耳を澄ました。

____

Mofu.

ここ...るな、?

なんだか、放っておけなくてノックもせず扉を開けてしまった

Mofu.

るな...?

Mofu.

どうしたの?

Runa.

うぅ"...んぐッ、もふぐん"ッ、?

Mofu.

お、落ち着いて。深呼吸しよう?

Runa.

すー、はー、すー、はー...

Runa.

ごめんなさい"

Runa.

ちょっとショックで...

Mofu.

...ごめんね。

Mofu.

俺が、こんなことになっちゃって。

Runa.

もふくんは悪くない。

Mofu.

そんなことないんだよ。

Mofu.

バチが当たったんだ、

Mofu.

今まで罪が多かったばかりに...

Runa.

そんなことっ

叫びがけのるなの声を遮った

Mofu.

おれ、しにたくない

Runa.

ッ...

Mofu.

わすれたくない、みんなのこと

Mofu.

ずっといっしょにいたいし

Mofu.

ふつうになりたい

Runa.

るなだって、もふくんと...みんなといたいです。

Mofu.

でも、無理だよ

Mofu.

絶対死ぬんだよ

Mofu.

Mofu.

最後は皆のこと思い出せないまま死んでくんだよ

Mofu.

悲しいよ、俺

Runa.

何か方法が!

Mofu.

無いよ。

Mofu.

先生に聞いた時、やけくそになって

Mofu.

死のうとしたんだ。

Runa.

どうして、?

Mofu.

忘れた状態で、寂しく死ぬなんて嫌だもん。

Mofu.

愛されたいだなんて切実な思いも叶わないんだから

Mofu.

死んだ方がましだと思ったんだ

Runa.

そんな...

Mofu.

お願いがあるんだ

Runa.

おねがい、?

Mofu.

もし、俺が

Mofu.

皆のことを忘れていってしまったら

Mofu.

思い出させてくれないかな、?

Mofu.

面倒だと思うけど

Mofu.

根気強くやってくれないかな、?

Runa.

...もちろん!

暗闇でも 涙で視界が霞んでいても もふくんは、目に涙をためていた と、よくわかった。

死にたいだとか 死にたくないだとか 人の思いだなんて分からないし 気にしたくもない。 でも、大切な人が私を忘れてしまって みんなを忘れてしまって 挙句、死ぬなんて... わたし、いやだ

時計の秒針がかちかちと音を鳴らし続けている。 その間にも、もふくんの命は段々と削れていっている。 目を背けたい事実

辛くなって、抱き締めた

Runa.

私が絶対守ります

Mofu.

...ぅ"、しにだぐない"ッ

Mofu.

お"れ、いぎだいッッ

もふくんの嗚咽混じりの声は 肌寒い夜中の空気に飲み込まれて消えていった。

もふは世界一賢いなぁ!!

世界一可愛い子だよ!!

Mofu.

ほんと、?

Mofu.

おれも____達が大好き!!

しあわせってくだらない

ぱさ

まだ、日が昇りきっていない朝。 もふくんの部屋の前に花束を置いた

11本の赤薔薇 カスミソウ 黄色いヒヤシンス の、花束を置いた。

喜んでくれるかな? という思いと、 気づいて欲しいという 思いが複雑に混じりあった。

Uri

もふくん...

E p i s o d e .4 夜に飲まれた声 [完]

次回 E p i s o d e .5 ↑♡1000以上

Teto.

最後、うりさんが登場しましたねぇえ!

Teto.

書いててよく分からなくなってきましたぁぁぁあ

Teto.

ごめんなさいっっ!

【廃れた記憶】🧊👓

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コメント

6

ユーザー

花言葉調べました‼️すごいですね(?)続き楽しみです\(^-^)/

ユーザー

花言葉調べて見ました! 考えてみると…うりさん…もふくんのこと好きとか…? …うりさんはこの物語になんの関係があるんだろう… 難しい…w 続き楽しみに待ってます!

ユーザー

花束再登場!! 花言葉、ぜひ調べてください(*˙︶˙*) うりさんは一体なんなのかッ? ボツの道を辿ることだけは避けたい僕なのである...(>△<*)

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