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不真面目天使と真面目な悪魔

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不真面目天使と真面目な悪魔

12 - 〖変わった死者〗その後

♥

11

2025年01月14日

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くーき

どうも〜主で〜す

ハセ

確か、今回ラーク本人は出てこないんだよな?

くーき

うん。多分

ハセ

多分って…

くーき

今回はハズキ達メインだからね

くーき

時間軸も戻るよ

ハセ

それでは、本編スタート

ハズキ

あっちょっ

バタン…

この部屋まで案内してくれた白髪の青年は、逃げるように部屋から出て行った

シド

どうしたんだろ?

ハズキ

さぁ…?

大丈夫ですよ。いつもあんな感じなので

それを見て、「神様」は別に気にしていないかのように言う

それで、貴方たちの役職と住居が決まりました

ハズキ

役職?

シド

住居?

ハズキ

いつの間に…

今日からこちらの世界で暮らすことになったのでしょう?

ハズキ

はい

シド

それで、どんな仕事ですか?

少し…いや、かなり不安な俺に対して、シドの目は心無しか輝いている気がする

仕事内容と住居は、部屋の外に居る方が説明と案内をします

シド

いつの間に呼んだんすか…

シンシア、入っていいですよ

神様が名前を呼ぶと、部屋の扉が開き、一人の女性が入ってきた

シンシア

失礼します。

よく通る声ハキハキとした声で女性が言う

シンシア

さ、行きましょう

ハズキ

「行きましょう」ってどこへ…

シンシア

やることが多いので、早く行きましょ

シド

だからどこに!?

いきなり現れたシンシアという女性は、問答無用で俺たちを連れて扉へ向かう

フフッ

それを、神様は俺たちがここに来てからずっと変わらない笑顔で見つめていた

ハズキ

(なんか不気味…)

シンシア

失礼しました

目の前を、シンシアさんが無言で、こちらをチラリとも見ずにスタスタと素早く歩く

シンシア

ハズキ

あの〜…

シンシア

なんでしょうか?

意を決して話しかけたが、帰ってきたのはどこか冷たさを感じる声だった

ハズキ

何処に向かうんですか?

シンシア

行けば分かります

シンシアさんは、こちらを見ずにそう言った

シド

あの〜なんか俺達のこと嫌ってます?

ハズキ

おいっ)

いきなり思っていた事を直球で言うシドに、小声でツッコミながら肘で小突く

シンシア

…別に、貴方たちが嫌いという訳では…初対面ですし

なんだか歯切れの悪い回答に、嫌いなんだろうなと察せる

シド

そうッスね。初対面です。初対面なのになんでそんな嫌悪感丸出しなんスか?少しは隠しましょうよ?

ハズキ

お前一旦黙れ

ズカズカと言っていくシドに、血の気が引く

ヤバいと焦っていると、話は意外な方向へ進んだ

シンシア

…そうですね。すみません

そう言うと、シンシアさんは初めて俺達の方向へ振り向いた

ハズキ

あ、いえ、大丈夫です…

シンシア

すみません。こちらの勝手な偏見でした

シド

何の偏見?

シンシア

…やる事が多いのは本当なので、終わったら話しましょう

ハズキ

あ、ありがとうございます…それで、今はどこへ?

いきなり変化した態度に戸惑いつつも、先程は答えて貰えなかった質問をもう一度する

シンシア

今から、貴方たちが悪魔側か天使側か測定しに行きます

ハズキ

測定…

シド

悪魔側だとどうなるんすか?

シンシア

別にどうもなりません

シンシア

私達はただの下界人なので

ハズキ

下界人?

シンシア

下界にいて、死後こちら側…天界で働いている者達の名称です

シド

どうにもならないなら測る意味は?

シンシア

お互いがお互いに変に関わらないようにです

ハズキ

なんで関わらないようにするんですか?

シンシア

ここら辺もややこしいので、終わってからにしましょう

シンシア

もうその場所に着きましたし

そう言うと、シンシアさんは目の前の扉をノックした

シンシア

失礼します。測定の者です

室内から返事が来ないまま、部屋に入る

部屋の中は薄暗く、沢山の色とりどりの丸い水晶があった

はい

扉を開けた先には、白髪の優しそうな笑顔をした男性がいた

シンシア

この2人の測定をお願いします

はい。では、こちらの水晶に手を当ててください

それぞれ渡された水晶に手を当てると、俺は変化が起こらず、シドは少し黒くなった

なるほど…

男性は、シドの水晶を見て少し顔を歪めた…気がした

こちらの方は白で、こちらの方は黒ですね

そして、俺を見て「白」、シドを見て「黒」と言う

シンシア

わかりました。ありがとうございます。それでは、失礼します

シンシアはそう言うと、お辞儀をして俺たちを連れて部屋を出た

ハズキ

白…というのは?

部屋を出てから訊く

シンシア

白は天使寄り、黒は悪魔寄りです

ハズキ

ってことは…

そう言いながらシドを見る

シド

俺は悪魔ってことすか!

悪魔と聞いてあまり良いイメージは無いが、シドは喜んでいる

ハズキ

(そういえば、コイツの推しゲームの敵キャラだったな)

シド

にしても、ハズキが天使寄りなの意外〜

ハズキ

そうか?

シド

だって、お前俺の事殺そうとしたじゃん?

ハズキ

っ…ごめん

あの時の事を思い出し、一気に申し訳なくなる

ハズキ

(俺が殺そうとしなければ、シドはまだ生きて…)

そんな俺の思考を遮るかのように、シドが笑って言う

シド

まぁ、あのままハズキ消えてても俺は確実に後を追ってたけどね

ハズキ

…お前そんなに重いタイプだったっけ?

シンシア

それは無理ですね

シド

こーゆう話にはマジレスしなくていいんすよ?

シンシア

目の前でイチャイチャされる身にもなって下さい

シド

これが平常運転

ハズキ

いや、今のコイツはおかしい

シンシア

…死亡したばっかりなので、気が狂ってるんでしょうか?

ハズキ

そうなんじゃない?

シド

お前の方が冷静じゃなかったらね?

ハズキ

…忘れろ

シンシア

着きましたよ

ハズキ

はい

シンシア

切り替え早いですね

シンシア

失礼します

シド

わぉ…

中には、大量のダンボール箱があり、その全てが服だった

シンシア

服のサイズはなんでしょうか?

シド

L

ハズキ

Lです

シンシア

分かりました。これをどうぞ

シンシアさんは、俺に白、シドに黒のシャツで、それぞれ灰色のスーツを渡してきた

ハズキ

えっと、着る場所って…

シンシア

あちらに更衣室があります

ハズキ

ありがとうございます

渡された服に更衣室で着替える

シンシア

サイズどうですか?

ハズキ

ピッタリです

丁度着終わった後に、更衣室の外から聞こえた

シド

俺も大丈夫ッス

シンシア

なら良かったです。あ、出る時は元の服に着替えてください

シド

はーい

ハズキ

分かりました

元の服に着直し、更衣室から出る

シンシア

後でそのサイズの服を送りますね

シド

ありがとうございま〜す

シンシア

じゃあ、次はこれから暮らすことになる場所に送りますね

そう言いながらシンシアさんは服をダンボールにしまってその箱をメモし、部屋から出た

シド

どういう場所になるんですか?

シンシア

下界人は全員同じアパートです

ハズキ

後々に部屋を変えることは出来るんですか?

シンシア

出来ますよ。こちらに来てまずそこに暮らしながらお金を稼ぎ、引っ越す方もいます

シド

へ〜

それ以外にも説明を受けているうちに、出口に出た

シンシア

それでは、車で行きます

ハズキ

車運転出来るんですか?

シド

へ〜見た目未成年なのに意外ですね

シンシア

恐らく、貴女方もいつか同じ事を言われますよ

シンシアさんは、クスリと笑いながらそう言い、車の扉を開けた

ハズキ

やっぱり、死者って歳と取らないんですか?

シンシア

はい。そうですね

シド

じゃあ、

年齢を聞こうとするシドの口を抑える

ハズキ

女性に年齢尋ねんのは失礼だろ

シド

だとしてもわかるの早くね?

ハズキ

だいたいお前がこういう時に何を聞くかは想像できるからな

シンシア

ん〜年齢ですか…

シンシア

覚えてませんね

シド

そんなに長い事生きてるんすか

シンシア

死んでますよ

ハズキ

死んでるってことは、こっちの世界ではもう死なないんですよね?

シンシア

いえ、死にます

シド

えっ、ここはあの世なんじゃ…

あっけからんと言い放つシンシアさんに、シドは混乱したように聞く

シンシア

普通に物理等で攻撃されたら死にます

シド

死んだらどうなるんすか?

シンシア

死んでも体に魂は残ってるので、それを浄化してから別の器に入れます

ハズキ

記憶はどうなるんですか?

シンシア

浄化とともになくなります

シド

でも、寿命では死なないんスよね?

シンシア

寿命は無いですけど、長くて数億、短くて数万年で強制的に生まれ変わらせられますね

ハズキ

数億って…

シド

想像できないね…

シンシア

貴方たちの地球はできてからおよそ46億年くらいですよ

ハズキ

星と一緒にされても分かりませんから

シンシア

それもそうですね

シド

…そういえば、さっき天使似か悪魔似か調べたじゃないっすか、

シンシア

はい、

シド

その時、「関わらないようにするため」みたいなこと言ってませんでした?

シンシア

そうですね

シド

なんで関わらないようにするんすか?

俺自身も気になっていたことに、ゴクリと唾を飲み込む

シンシア

そうですねぇ…、アパートまでは遠いいですし、今説明しちゃいますか

ハズキ

ありがとうございます

シンシア

いえいえ、

シンシア

まず、ここ天界では、天使と悪魔は対立しています

シド

なんでっすか?

シンシア

それは…お互い、考え方が根本的に違うのでしょうね

シンシア

世界の方針やら何やら…事ある毎に衝突していましたから

シンシア

実際、天使と悪魔の間で戦争が起きたこともあります

シンシア

一応だいぶ昔に神様が天使用の区画と悪魔用の区画を作ったんですが、結構曖昧でしてね

シンシア

魔界と天界に別れていて、その中央に天使も悪魔もいる場所があります

ハズキ

そこの名前はなんて言うんですか?

シンシア

さぁ?明確な名前は決まっていません

シンシア

まぁ、そこでいちばん多いのは私達のような下界人なので、一番下界に近い場所かもしれませんね

シド

へぇ〜

シンシア

因みに天界と魔界に挟まれているせいで一番戦争が起こりやすいです

シド

住むのが一気に嫌になってきたんすけど?

シンシア

ここ数百年大きな戦争は無いので大丈夫だと思いますよ

ハズキ

でも数億年生きるんですよね?

シンシア

天界の平均寿命は下界よりずっと長いので、あっちでの1年分の密度がこっちの数百年みたいな感覚でいいです

シド

じゃあ、10年やそこらでは滅多に関係は変わらないんすね

シンシア

はい

ハズキ

なら大丈…って、それならさっき話したのは、数年前に戦争が終わったばかりみたいな感覚じゃないですか

シンシア

大丈夫です。復興のスピードはあちらより断然早いので。まぁ、戦争が起きたら長いですが…

シド

…どんくらい

シンシア

それこそ数百年はやってますね

ハズキ

えぇ…

シンシア

10年ほどでその状況にも慣れますよ。慣れたくないですが

ハズキ

っそれ以外に、なんか悪魔と天使に関する話はありますか?

このまま着くまでこの話になりそうだったので、話題を変える

シンシア

そうですねぇ…私はこちらに来てからずっと天使側なので、天使側からしか言えませんよ?

シンシアさんは少しシドに気を使うような目を向ける。シドが悪魔寄りだからだろうか

シド

俺は全然大丈夫っすよ?そんな実感無いんで

シンシア

それなら大丈夫ですね…

シンシア

まず、基本的に天界では悪魔についての話はタブーとなっています

ハズキ

タブー…

シンシア

はい。戦争等で悪魔に身内を殺された者もいるからです

シンシア

それ以前に、悪魔は関わってはいけない存在です。あまり深く関わると穢れます

シド

穢れる?

シンシア

思考が悪魔に寄ります

シンシア

元々天使は真面目で勤勉で、慈悲深い性格の方が多いです

ハズキ

真面目で誠実…

ハズキ

(あれが?)

最初に出会った天使を思い出す

シンシア

それに対し、悪魔は不真面目で、他人を落とし自身が上に立つという強欲な考えしかない…

シド

実際に思考が穢れた?人はいるんすか?

シンシア

います。貴女方を担当した天使もその1人です

ハズキ

あぁ、どうりで…

ハズキ

(あまり天使という感じがしなかったのか)

シンシア

っと、着きました。ここが貴方たちが今日から暮らすアパートになります

シンシアさんはそう言うと、車の扉を開けた

ハズキ

ここが…

シンシア

はい。鍵は持っているので、案内します

アパートの中に入り、エレベーターに乗る

3階でエレベーターが止まった

シンシア

あの一番奥の二部屋が貴方達の部屋になります

シンシア

どっちをどっちが使うかは自由でいいです

そう言いながらシンシアさんは鍵を二つ渡してきた

ハズキ

ありがとうございます

シド

早く行こ!俺角部屋がいい!

ハズキ

じゃあ俺はその隣で

そうして、今にも走り出しそうなシドを抑えながら、俺達は今日から自分達の暮らす新居へ向かった

数日後

俺は、シドの家で料理を教わっていた

シド

まさかあれから料理が上達してなかったとはね…

ハズキ

うぅ…

あれとは、学校でかなり前にあった調理実習だろう

ハズキ

あれから俺は盛り付けしかやらせて貰えなくて…

シド

あははっw確かに、火加減ミスって炭作り出したもんな

シド

家ではやらなかったの?

ハズキ

料理は母さんが作ってくれたし…

シド

あ〜、ハズキの母さん、料理上手かったからね

ハズキ

失って初めて分かる親のありがたみ…

シド

一人暮らしした時に言うやつじゃん

ハズキ

もう一人暮らしなんだよ!

ハズキ

って言うか、母さんにもキッチンには立たせて貰えなかったし…

シド

なんだっけ?確か、卵爆発させたんだよな?

ハズキ

うん…

シド

馬鹿だよなぁ…w

シド

よくある失敗って有名なのにw

ハズキ

…るさい

そんなことを話しながらも、テキパキと調理を進めて、食事が完成した

ハズキ

いただきます

シド

いただきます

いただきますをして、早速食べ始める

ハズキ

ん、美味しい

シド

火加減の調整が上手くなったな

ハズキ

ありがと

上達した事を褒めてもらい、少し嬉しくなりながら食事を頬張る

シド

そういえば、明日から出社だっけ?

ハズキ

そうだな

シド

起こすのよろしく

ハズキ

自分で起きろ

シド

今日の夜鍵預けとくわ

ハズキ

起こされる前提で話を進めるな

シド

無理。俺は絶対に起きれる自信がない

ハズキ

毎朝俺が起こしてたもんな

1ヶ月前の、まだ生きていた時のことを思い出す

こいつとは家が近かったし、登下校はずっと一緒だった

俺がシドを迎えに行くと、だいたいシドは起きておらず、俺がシドの母に頼まれて起こしていた

シド

死んでからも起こしてきて…

ハズキ

お前には触れたからな

そんなことを話しているうちに、あちらに置いてきた家族や友人を思い出した

ハズキ

なぁ、

シド

ん?

ハズキ

シドはその…寂しくないのか?

シド

別に?俺はハズキと一緒に居れればそれでいいし

さらっと激重発言をするシドに、冷ややかな目を向ける

シド

どーしたの?

ハズキ

いや、お前ってそんなこと言うタイプだったっけと…

シド

言葉にしてなかっただけかもね?

ハズキ

怖いことを言うな

シド

逆に、ハズキは寂しくないの?

ハズキ

少し…寂しい

ハズキ

親とか友達に別れの言葉言えなかったし

シド

俺も言ってないから大丈夫だよ?

ハズキ

お前は大丈夫でも残された人が大丈夫じゃねぇんだよ

シド

じゃあ、仕事に慣れたら見に行く?

ハズキ

見に行けるのか?

シド

わからん

ハズキ

分からんのかい

シド

まぁ、上司悪魔らしいし、何とかしてくれるんじゃない?

シド

いざとなればシンシアさんを頼ればいいし

ハズキ

シンシアさんを頼るのは迷惑じゃないか?

シド

まぁ、どうとでもなるよ

ハズキ

…そうだよな

俺たちは食事を食べ終えると、明日出社するので足りないものは無いかを確認した

ハズキ

っと言っても、初日は仕事の案内や説明だけだから、スーツだけでいいっぽいけどな

シド

見てよ!俺のこれかっこよくない!?

ハズキ

今更…って、今開けたのか!?

シド

うん?

届いたのは一昨日なのに、今初めて開けたらしいシドに驚く

シド

でも黒シャツだよ!なんかカッコよくない?

ハズキ

まぁ、確かにかっこいいけど…

シド

にしても、明日から社会人かぁ…

ハズキ

数ヵ月前まで高校生だったのにな

シド

当たり前のようにハズキと大学に行けるって思ってたけど、何があるか分かんないもんだねぇ…

ハズキ

そうだな…

明日から社会人というのは、どこか現実味の無いことのように思える

シド

あ、ハズキのは白なのか

ハズキ

試着した時に見ただろ

シド

そうだっけ?

ハズキ

(まぁ、どうにかなるよな)

隣で目をキラキラさせながら服を見ているシドを見てると、俺の不安も薄れるような気がした

くーき

よし、何とか締めれた

ハセ

最後終わらせ方分からなくなってたよな

くーき

マジでどうやって終わらせようか難しかったんだ…

ハセ

それでは、

くーき

さよなら〜( ᐙ)/

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