凪潔 ホラー・不穏
プロサッカー選手ifです
暗いです。とにかく不穏です
何でも大丈夫な人のみ見てください
好評だったら、違う視点も書こうと思います
潔が笑った気がした
目があった訳じゃないけど、そういう"気がした"だけで
俺はなんとなく満足してしまう
きっと、俺は初めからこうだった
ずっと気のせいを抱きしめて、ひとりで満たされていた
勝手に思って、勝手に喜んで、勝手に…壊れていく
いさぎよいち
練習の帰り道、潔は立ち止まって俺の手を握り言った
突然、なんの説明もなくその言葉だけ
たったその言葉だけでも俺は理解した
あぁ、潔は死のうとしているんだ
凪誠士郎
潔は静かに歩き出した
恐らく、海の方向だと思う。
潔は黙ったままだ。その目には何も映し出されることはなく、空っぽのように見えた
海に吹く風は冷たくて、重くて、背中を押されてる気がした
潔の隣に立って、俺は深呼吸する
吸い込んだ空気に、潔の匂いがした気がして、少しだけ目を細めた
それだけで、また、満たされる
凪誠士郎
─────スマホが震える
レオからだった。
なんで今なんだろう…
でも、レオと話すのも最後だからと思い電話に出る
ピッ
御影玲王
御影玲王
凪誠士郎
凪誠士郎
御影玲王
御影玲王
御影玲王
御影玲王
凪誠士郎
凪誠士郎
凪誠士郎
御影玲王
御影玲王
レオの声が急に鋭くなる
俺はゆっくり顔を上げる。
隣には、確かに潔がいる
凪誠士郎
少しの沈黙
その後に、レオが言った
御影玲王
カラン。頭の中で"何か"が落ちた気がした
レオの話し声が聞こえて、その後ふと懐かしく感じる大好きな声が聞こえた
潔世一
潔世一
潔世一
潔世一
俺はもう一度顔を上げて潔の顔を見る
隣の潔は相変わらず優しい顔で笑っている
でも、その目はやっぱり…
凪誠士郎
俺は目を閉じる。
ゆっくり、静かに
知っていた。気づいていた
初めから、判っていた
潔が、俺の事を好きになるはずがない
潔が、大好きなサッカーを捨てて俺と一緒に死んでくれるはずがない
それでも、俺は信じたかった
せめて、この幻想のまま終わらせたかった
この綺麗な嘘の中で、潔と一緒にいられたことを真実にしたかった
そんなこと有り得ないと、俺が1番分かっていたはずなのに
凪誠士郎
潔世一
心がじんわりと溶けていく
これはきっと、嘘だ。全部、嘘だ
でも──
凪誠士郎
プープー…
その瞬間、俺はスマホを手放して、"潔"の手をとった
このまま、一緒に堕ちよう
俺の片想いは、潔が一緒に死んでくれるっていう最高の幻で完結する
それでいいって思ったんだ
俺の世界は、ここで終わる。
嘘でも、幻想でも、幻でもいい
潔への気持ちが、思い出が、関係が
"綺麗なままで"、終わらせるんだ
凪誠士郎
『 新しいニュースです』
『昨夜、××町××市の海で"男性1人"の溺死体が発見されました』
『身元を確認したところ、プロサッカー選手の凪誠士郎さんということが発覚』
『 警察は事件か事故か捜査を進めて─』
潔世一
潔世一
俺は頬につたう生暖かい何かを無視して
手に持った瓶の中身を全て飲み干した
コメント
6件
うわぁ…最高ですね、できれば他視点もお願いします🙇⤵
ストーリー構成といい、設定といい最高すぎます𐔌՞ ܸ.ˬ.ܸ՞𐦯是非他視点も欲しいです..‼️
待って最高!めっちゃ好きです!🥺💕