○○
○○
いつものように
カメラの前に座って
ライトをつけて、笑顔を作る
今日は生配信だから...気を張らないと
でもどこかで思ってる
この声が壁の向こうにも、届いてるかもしれない
○○
○○
《久しぶりに再開した元彼が》 《冷たくてどう接したらいいか分かりません》
○○
手元のノートには視聴者からの悩みが書かれている
けど...私の頭に浮かぶのは
たった1人
...本当に
どう接したらいいかわからないんだけど
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
口にしながら
まるで自分に言い聞かせてるみたいだった
○○
○○
○○
私がそう言うと
《トマトちゃん好きな人出来たの!?》
とコメント欄がざわついた
○○
○○
小さく笑ってみたけど
どこか曖昧だった
○○
○○
○○
○○
○○
そう言い終えて
ふっと息を着いた
それは視聴者に向ける言葉でもあり
自分への応えでもあった
そのころ
佐久早はいつも通り
練習を終え、シャワーを浴び
プロテインを飲んでから
ソファに無造作にスマホを置いていた
佐久早
...今日もやってるな
軽くスクロールしたSNSのトレンド欄に
【#トマトの相談室】のタグがあった
迷ったけど
なんとなく
タップして動画を再生した
《でも...》
《その人が昔と変わってても》
その声は
今まさに壁の向こうから聞こえている声
スマホのスピーカーからも
同じトーンで響く
佐久早
佐久早はスマホの画面を見つめながら
言葉にしない思いを飲み込んだ
駅のホーム
何気なくすれ違ったJKの会話に
私はぴくりと反応した
とまちゃん
それは私のファンが愛称
最近、登録者がじわじわと増えている
嬉しい半面
日常で名前が聞こえてくるのは
どこか落ち着かない
顔出しするって...こういうことだよね
そんなことを考えながら電車に乗りこんだ
《カンパーイ!》
グラスがぶつかる音が心地よく響く
YouTube仲間の女の子たちと
久しぶりの飲み会
みんな気さくで
いつも明るくて
私もそれにつられて笑顔になる
らぁら
らぁら
すずめ
すずめ
○○
○○
笑いながら、グラスを傾ける
...つもりだったが
私の前にあったのは
予想以上に度数の強いカクテルだった
あれ...ちょっとやばいかも
今日は寝不足だし尚更
○○
ぽつりと呟いた時には
足取りがふわふわとしていた
らぁら
すずめ
○○
回らない呂律に少し苛立ち
私はお水を飲んだ
らぁら
すずめ
らぁら
すずめ
○○
タクシーに乗って
ようやくマンションに着いた頃には
すっかり
頬も耳も赤くなっていた
○○
玄関の前でしゃがみこみながら
カバンから鍵を探そうとしたその時だった
佐久早
その声に私は思わず顔を上げた
○○
佐久早
そこには腕組みをして
呆れたような
それでいて少し焦った様な顔をした
佐久早くんがいた
○○
佐久早
○○
酔いが回っているせいで
部屋を間違えていたらしい
佐久早くんはたまたまコンビニの帰りだったらしく
ビニール袋を片手にもっていた
佐久早
佐久早
○○
○○
私はそう言いながら
何故か靴を脱ごうとしていた
けど力が入らず
何度も手を滑らせてる
見かねた佐久早くんは
無言でしゃがみ私の足元に手を伸ばした
佐久早
佐久早
そう言って私の手を取った
○○
佐久早
○○
佐久早
佐久早
○○はポカンとしながらも
見つかった鍵を佐久早くんへ渡した
それを受け取った佐久早くんは
慣れた手つきでドアを開けた
佐久早
佐久早
○○
○○
○○
私がボソボソいうと
佐久早
佐久早
○○
○○
○○
○○
私がそう言うと
佐久早くんは振り向いた
佐久早
○○
その一言に
佐久早くんの目は僅かに開かれた
けど次の瞬間
○○はふにゃっとその場に座り込んだ
佐久早
○○
そんな私を見兼ねて
佐久早くんは私を抱えあげた
○○
佐久早
佐久早くんは
私をさっさと運び
そのままベットに置いた
佐久早
困ったようにため息をついたあと
佐久早はビニール袋から水を取りだした
佐久早
○○
○○
佐久早
○○
○○
佐久早
○○
○○
○○
○○
私はベットに寝っ転がりながら
佐久早くんを見た
その顔は
少し困っていた
私にはそういう風に見えてしまった
○○
○○
○○
佐久早
○○
ふわふわした布団に包まれ
私はその場で寝落ちしてしまった
○○
○○
涼森はそういった
佐久早
佐久早
○○
寝たのか...こいつ
佐久早
佐久早
佐久早
涼森は全く起きる気配はなかった
好きなったら...困るか
佐久早
佐久早
翌朝
眩しい光が
カーテンの隙間から差し込んでくる
私はベッドの上で目を覚ました
○○
頭が重かった
けど...それよりも
心がざわざわしている
○○
昨夜のことを
少しずつ思い出す
鍵を探して
玄関の前でうずくまって
佐久早くんが来て...
部屋の中まで入ってきて
そして...
○○
頭を抱える
酔っていたから、細かいことは覚えてない
でも佐久早くんの手の温度と
仕草だけはやけにリアルだった
○○
私は壁に頭を填めた
配信よりも何もかも
自分の素を見せたような気がして
いたたまれなかった
○○
その日
私は久しぶりに外での撮影だった
外での撮影は危険が伴うから
生配信はせず
撮影だけをする
○○
○○
○○
《ちょっと心が揺れた時、どうする?》
相談者の投稿に応える体だったのに
どうしても自分と重ねてしまう
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
私は少し照れたように笑った
そしてカメラを切り
手元のカフェオレを飲んだ
その時後ろから声をかけられた
後ろには金髪の男の人がいた
○○
視聴者かな...と思いながら見ると
宮
宮
臣くんって...佐久早くんのことだよね
ということは
○○
宮
宮
○○
○○
宮
○○
私みたいなYouTuberより
宮さんの方が当たり前にすごい
宮さんは私の隣に座って
ニコニコしながら話し始めた
宮
○○
○○
宮
宮
宮
○○
○○
○○
宮
そう言ってにこにこしながら私の顔を見た
そのままじっと見つめてきた
○○
宮
宮
落とした...?
○○
○○
○○
○○
宮
宮
宮
宮
唐突な質問だった
○○
宮
宮
宮
宮
○○
宮
宮
○○
○○
宮
宮
私はこの時点で確信してしまった
佐久早くんが他の誰かといることに
嫌悪感を持っていたことに
○○
○○
○○
宮
宮
○○
宮
○○
私なんかととってもなんの自慢にもならないのに
○○
宮
そう言ってパシャリと写真を撮り
私たちはその場で別れた
コメント
2件
おみおみのこと嫉妬させちゃえ!
侑ないす!!! これで臣くん嫉妬して欲しい!!笑