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思い出

1 - 思い出

2019年09月07日

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あかり

もう…3ヶ月…か

あかり

早いものだなぁ…

7年付き合った彼と別れ はや3ヶ月。 部屋にはたくさんの思い出の品

あかり

物に罪はない。

あかり

だけど…

あかり

だけど……

あかり

見ているだけで

あかり

彼を思い出して…

あかり

辛くなる…

あかり

でも…

あかり

捨てることなんてできない

翌日

あかり

どうしよう…。

街中をブラブラ 悩んでいた、そんな時

店員

当店のチラシです。
良ければ貰ってください

あかり

えっ

あかり

あ、ありがとうございます…?

店員はチラシを手渡すとどこかへ行ってしまった。

あかり

カフェのチラシ…?

あかり

え…これって

あかり

どうゆう…こと?

チラシを貰い、することもなく家へと帰ってきた

あかり

……。

あかり

このチラシ…

店員に貰ったチラシ。 そこに書かれていたのは たくさんの思い出ひとまとめ と大きな文字。

あかり

本当に…

あかり

もし、本当に…

あかり

それが…できるとしたら…?

普段なら「こんなもの」と 手に取らないようなチラシ。 でも、今の私には必要に感じた

あかり

詐欺…だったり…

あかり

……

あかり

でも…

あかり

この辛い思い出を

あかり

どうにかできるなら…

怪しいところだったら… と不安はもちろん。 けれど僅かな期待も少し。 チラシのカフェへと 足を運ぶことに決めた。

あかり

写真と手紙と

あかり

それと…

あかり

ぬいぐるみとブレスレット…

私はチラシの端に 〃まとめたい思い出 ご持参ください〃 と書かれていたので彼との 思い出をリュックにまとめた。

あかり

思い出すもの全部…

あかり

持っていこう…。

あかり

ここ…かな?

チラシに書いてある場所に やってきた私は、 目の前にある普通のカフェに 少し戸惑っていた。

あかり

見た感じは普通のカフェ…。

あかり

もしかしたらただのキャッチフレーズだったのかな…。

少し気落ちしながらも ただのキャッチフレーズでも 物は試し と 入ってみることにした。

店員

いらっしゃいませ

店員

おひとり様ですか?

あかり

は、はい

店員

では、あちらの席へどうぞ

店に入って出迎えてくれたのは チラシをくれたあの店員。 あの時はよく見ていなかったが 少し幼さが残る男性店員だった

私以外のお客さんはいない…。

あかり

あ、あの!

あかり

すいません、わたし、その

あかり

このチラシを見て来たんです

店員さんに持ってきたチラシを見せると、ふんわりと笑い 説明をしてくれることになった

店員

当店のご利用は初めてでよろしいですね?

あかり

は、はい

店員

簡潔に言わせていただくと

店員

お客様に持参して頂いた思い出を

店員

コップ とゆう形にして

店員

思い出をまとめさせて頂きます

店員

持参して頂いた思い出の品の中で

店員

一番大切な品はありますか?

あかり

…あります

〃コップにする〃 そんなこと って思ったけど 疑ってしまうなんて 勿体ないとゆう気持ちの方が 上回った。

あかり

これです

あかり

このくまのぬいぐるみ

彼との初デートで貰った くまのぬいぐるみ。 照れながら渡してくれた 初めてのプレゼント。

あかり

彼が…

あかり

初めてくれたプレゼントなんです

店員

お預かりしてもよろしいですか?

あかり

はい

私はくまのぬいぐるみと たくさんの思い出が入った リュックを店員さんに渡した

店員

それではしばらくお待ちください

そう言うとカウンターの奥へと 入っていった。

チクタク チクタク

時計の音が 心を落ち着かせてくれる。 少し、淋しい気持ちにも なりながら店員さんを待つ。

あかり

ふみや…

あかり

…ふみや

あかり

あなたの声が、ききたいなぁ…

それから何分、何時間の時が たったかは分からない。 時計の音に耳をすませていると 時間がたつのが早く感じた。

店員

お待たせ、いたしました。

店員

…できましたよ

店員さんは笑みを浮かべ カウンターの奥から出てきた。 1つのコップを手にして。

あかり

…コップ

店員

はい。コップです

店員さんは私の前に コップを静かにおいた。

あかり

くま…

手渡されたコップは 1匹のくまが描かれた シンプルなコップ。

あかり

……

あかり

これが…

あかり

……

たくさん渡した思い出が 本当にコップ1つで 返ってきた。 このコップに、本当に 思い出が全部詰まっているのか それとも他になにかあるのか 私は気になって仕方なかった。

店員

焦らないでください

店員

大丈夫ですよ

店員

さっそく、そのコップ

店員

お使いになられますか?

あかり

…!

あかり

お願いします…

店員

コーヒーでよろしいですか?

店員

それともなにか他の飲み物にいたしましょうか?

あかり

コーヒーでお願いします

店員

かしこまりました

店員

当店のオリジナルブレンドになります。
お口に合えば嬉しいです。

そう言って店員さんは カウンターからコーヒーポットを手にしてカップに並々と 注いでいった。

あかり

ありがとうございます…

私はコップからあがる湯気を ぼーっと見ていた。

店員

…それでは私は失礼しますね

店員

ごゆっくりどうぞ

店員

なにかあったらお呼びください

店員

それでは…

そう言い残して再び店員さんは カウンター奥へと入っていった

あかり

…いただきます

ほどよく熱いコーヒーを一口

ほろ苦さが口に広がると共に

彼とのたくさんの思い出が 溢れ出した。

あかり

なに…これ…

あかり

なんで…っ

あかり

……っ

あかり

できるなら…っ

あかり

できるならっ…!

あかり

あなたにもう一度会いたい…っ

あかり

あなたの声を…っ

あかり

もう一度…っ!

とめどなく溢れる涙。 もう枯れてしまったと思った涙

あかり

あなたの体温を…

あかり

もう一度、感じたい…っ

あなたに貰った愛の証

忘れることの無いあなたの言葉

病気に負けてしまった あなたの身体

あかり

ふみや…っ

ふみや

なぁ、あかり

ふみや

1人にして

ふみや

ごめん

ふみや

できるなら

ふみや

もっと

ふみや

もっともっと

ふみや

あかりと過ごしていきたかった

ふみや

でも

ふみや

俺の体はそこまで頑張ってくれなさそうだ

ふみや

ごめんな

ふみや

あかり

3ヶ月前 彼がこの世から消えた

私を残して

ふみや

あかりさん…!

ふみや

ぼ、僕と!けっ!結婚を前提にお付き合いしてくだしゃい!

ふみや

(か、噛んだぁぁぁぁ!)

あかり

わ、私で良ければこちらこそおねがいしましゅ!

あかり

(かっ、噛んじゃったぁぁ!)

大学のサークルで知り合った彼 手が触れるだけでも 照れあっていた私たち

ふみや

あかりさん

ふみや

誕生日おめでとう!

祝福の言葉と共に手渡される 誕生日プレゼント

あかり

わぁ…!ありがとう!

あかり

うれしい…っ!

あかり

なんだろう?開けてもいい?

ふみや

うん、開けてみて

あかり

わぁ…!

あかり

くまのぬいぐるみ…!

あかり

私が好きなの覚えてくれてたんだ…!うれしい…っ

あかり

ありがとうっ!

あなたに貰った くまのぬいぐるみ なにより、私の些細な一言を 覚えてくれたのがとても とても嬉しかった

あかり

わぁぁ!

ふみや

あかり!どうしたの?!

あかり

た、たまごやき

あかり

焦がしちゃった…

ふみや

なんだ、そんなことか…

ふみや

よかった、怪我とかじゃなくて

あかり

ごめんね、焦がしちゃって

ふみや

大丈夫だよ

ふみや

それよりなにかあった?

ふみや

最近ぼーっとしてること多いけど

あかり

えっと

あかり

ふみやと一緒になれたんだなぁって

あかり

指輪にみとれてたら

あかり

つい…ぼーっとしちゃって

ふみや

…っ!//

ふみや

け、怪我だけはしないように!

あかり

は〜い!

あなたと過ごした日々 ずっと続くと思っていた日々

終わりが来るなんて 思わなかった

医者

余命1年…とゆうところでしょう

医者

発見が遅く、色んな所に転移していて

医者

もう処置の仕様がありません

医者

残念ですが…これからは薬で痛みを緩和させることしか…。

ふみや

そんな…

あかり

せっ、先生…
う、嘘ですよね?
だ、だってふみやはこんな元気で…っ
一年…だなんて…そんな…

医者

残念ですが…

医者

もう手の施しようがありません

あかり

……一年

どうして気が付かなかったのか どうして末期になるまで 気付けなかったのか 私は後悔の日々を送った

ふみや

あかり

ふみや

ちゃんと

ふみや

ちゃんと聞いてほしい

あかり

いやっ…

あかり

聞きたくないっ

あかり

聞きたくない…!

ふみや

あかり!

ふみや

頼む

ふみや

伝えれる今のうちに

ふみや

ちゃんと聞いて欲しい

ふみや

伝えれなくなる前に

あかり

……っ

あかり

やだっ…

あかり

私を置いて行かないで

あかり

どこにも行かないでっ

あかり

ふみやっ

ふみや

あかり…

ふみや

……あかり。

ふみや

俺はあかりの後悔になりたくない

ふみや

俺は 最期まであかりの笑顔が見たいし

ふみや

笑いあっていたい

ふみや

だから笑って

ふみや

…なんて言わない。けど

ふみや

俺との思い出を

ふみや

俺との時間を

ふみや

悲しいものに、辛いものにしないでほしい

ふみや

いつか、思い出して

ふみや

笑えるように

ふみや

あかりの力になれるように

ふみや

俺は そうなりたいと思ってる

あかり

…ふみやっ

ふみや

あかり

ふみや

愛してる

ふみや

心から

ふみや

愛してる

ふみや

俺は

ふみや

あかり

わたしもっ…!

あかり

わたしもだよっ

あかり

ふみやっ

別れはあっとゆう間だった 悲しみに押し負けてしまいそうな日々だった

でも

あなたの言葉は私の心に 刻まれていた

あかり

……っはぁ…

どれくらいの時間 泣いていただろうか 長いような、短いような あなたとの思い出で 胸がいっぱいだった

あかり

いつか…

あかり

いつか…。

このコップでコーヒーを 飲みながら 笑って あなたのことを 思い出せる日がくれば 毎日このコップを使うね。

あかり

愛してる…

今は辛すぎるから。 私が泣いてたら オロオロしながら なぐさめてくれたあなたに 心配をかけたくないから。 今までありがとう。 こんな私のそばにいてくれて わがままにも付き合ってくれて

あなたとの思い出は どれもどれも大切な思い出です 愛してくれて、 ありがとう。

店員

…大丈夫ですか?

あかり

あ…。はい

あかり

ありがとうございます

あかり

大事に、します…っ

店員

お気に召して頂けたなら良かったです

店員

どうか、大切になさって下さい

あかり

はいっ…

あかり

ありがとうございます…っ

あかり

…あの

あかり

店員さん

店員

はい、なんでしょう?

あかり

…どうやって

あかり

このコップを…?

店員

…それは

店員

企業秘密です

にこりと微笑んだ店員さんは コップを綺麗にしてくれ 箱に包んで渡してくれた

店員

またのご来店、お待ちしております

ーーーーーーーーーーーー

ふみや

心から

ふみや

愛してる

ふみや

俺は

ふみや

君と夫婦になれて世界一の幸せ者だ

ーーーーーーーーーーー

あかり

あなたと夫婦になれた私は

あかり

世界一の幸せ者です

あかり

ありがとう

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