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#惚れ薬
KMTK
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結局、「いい子」に戻っちゃった
フリークショーからは逃げられなかった翌日の夜
テントの空気はいつもと違っていた
観客の騒めきも、演者の気配も、どこか遠くにあるような気がした
まるで、舞台そのものが息を潜めているようだった
ヴィクター
アリス
誰かに呼ばれて、私は振り向く
そこにいたのは、ヴィクターだった
彼はいつもと同じように穏やかな笑みを浮かべていたが、どこかが決定的に違う気がした
ヴィクター
嫌な予感が頭を過ったが、その声に逆らうことができず、小さく頷いてしまった
連れて行かれたのは、テントの奥にある場所だった
そこは、見たことのない白い部屋だった
目立った装飾はなく、あったのは「異形の設計図」のみだった
アリス
ヴィクター
ヴィクター
私の質問に穏やかに答えたと思ったら、唐突に優しい言葉を向けられた
ヴィクター
ヴィクター
アリス
ヴィクターが一歩ずつ、私の元へと近づいてくる
目と目が合ってしまい、完全に逃げられない状況だ
「戻れる」というアンディの言葉が、頭をよぎる
セリーナの手の感触を思い出す
グレンの笑顔、ジョーダンの囁き、双子の歌声
今までの出来事を思い出し、全てがぐちゃぐちゃに混ざった
アリス
それが、やっと出た答えだった
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
気がつくと、ヴィクターは私のすぐ目の前に立っていた
上から見下ろされている感じがして、背筋が凍るような感覚を覚えた
アリス
その声は、とても掠れていた
ヴィクターは優しく首を振った
ヴィクター
その言葉に一瞬だけ安心したが…
ヴィクター
安心したのも束の間、すぐに体が強張った
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクターは私の頬に手を添えながら、話した
私は思わず、後ろにある壁の近くまで後ずさった
アリス
アリス
ヴィクター
ヴィクターは私に激しく怒ったりせず、ただ、静かに否定をした
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
アリス
アリス
その言葉にヴィクターは、ほんの一瞬だけ、優しい顔をした
ヴィクター
ヴィクターは私の耳元で、囁くように言う
ヴィクター
ヴィクター
その瞬間、足元の床がわずかに光る
アリス
アリス
まるで、縄で体を縛られているように、体が動かなくなっていた
動かせるのは、自分の口だけだった
ヴィクター
ヴィクター
白い光が、私の体を包み込む
アリス
私の小さな叫び声は、もう誰にも届かなかった
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
アリス
母親、教師、観客、セリーナ、グレン、ジョーダン、エリザベス、グレイス、アンディ
全てを思い出し、それと同時に全てが混ざる
ヴィクター
満足げなヴィクターの声が、部屋中に響き渡る
その瞬間、全てが静寂に包まれた
光が消えた先に立っていたのは、どこにでもいそうな一人の少女だった
見た目はさっきまでのアリスと変わらなかった
ヴィクター
ヴィクターが少女の名を呼ぶと、少女はゆっくりと振り返る
そして、完璧な笑顔をヴィクターに見せた
???
その声はとても心地が良くて、その表情は誰にとっても安心できて、でも、どこかほんの少しだけ、ズレていた
少女を見たヴィクターは、静かに微笑んだ
ヴィクター
ヴィクターは「ミラードール」という名を少女に与えた
少女は微笑んだまま、もう一度問い返す
ミラードール
ヴィクター
その言葉を聞いて、少女は嬉しそうに微笑んだ
コメント
1件
うわあ……最後の「私は、普通ですか?」に胸がぎゅっとなりました。アリスが必死に「戻れる」って叫んでたのに、ヴィクターに優しく否定されていく流れ、すごく怖かったです。白い光に包まれて「誰にでもなれる存在」にされる描写、美しいけれどゾッとしました。完璧な笑顔のミラードールが「私は普通ですか?」って聞くシーン、切なくてたまらないです。お疲れ様でした、続きも気になります……!