TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

変わらないものはないから

一覧ページ

「変わらないものはないから」のメインビジュアル

変わらないものはないから

第1話 - 変わらないものはないから

50

2023年07月14日

#ジャニーズ

#Hey! Say! JUMP

#やぶひか

そると🧂

シェアする

この作品はいかがでしたか？

50

そると🧂

プロフィール

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール

テラーノベルのスクリーンショット

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

ホーム

検索

通知

本棚

薮宏太

よしっ、これで上がり!

八乙女光

あっ、薮。

八乙女光

ウノって言ってなかったでしょ?

薮宏太

次の人がカード出すまでにバレなきゃいいんだよ!

八乙女泉

そうなの?

薮宏太

ほら!ルールに書いてある!

八乙女泉

ほんとだ…

八乙女光

仕方ないな…

薮宏太

光!

薮宏太

転校するってどういうことだよ?

八乙女光

家庭の事情だよ。

八乙女光

東京にいる父さんに呼ばれて。

薮宏太

東京か…

薮宏太

頑張れよ。

薮宏太

泉ちゃんにもよろしく伝えて。

八乙女光

分かった。

10年後。

薮宏太

すみません、八乙女光ってここに住んでますか?

八乙女泉

どなたですか?

薮宏太

小学校の同級生の薮です。

八乙女泉

あっ、薮さん!お久しぶりです。

八乙女泉

泉です。

薮宏太

あっ、泉ちゃん?

八乙女泉

兄さんは、ちょっと出払ってますね。

薮宏太

いつぐらいに戻ってきそう?

八乙女泉

夕方ぐらいじゃないですか?

薮宏太

ありがとう。

薮宏太

てか泉ちゃん、今いくつ?

八乙女泉

春から高校生です。

薮宏太

大きくなったね〜!

八乙女泉

ありがとうございます。

薮宏太

じゃあ、夕方にまた来るね。

八乙女泉

分かりました。

八乙女光

ただいま〜

八乙女泉

あ、兄さん。

八乙女泉

さっき薮さんが来てたよ。

八乙女泉

後でまた来るって。

八乙女光

薮が?珍しいな。

八乙女光

分かった。ありがとう。

薮宏太

あっ、光!

八乙女光

薮、東京来たんだ。

薮宏太

うん。

八乙女光

ちょっと近くのカフェ行こう?

薮宏太

分かった。

八乙女光

それで?

八乙女光

なんで急に東京に?

薮宏太

俺、警視庁の刑事になりたくて。

薮宏太

上京して、警察学校に通うんだ。

八乙女光

向こうじゃダメだったの?

薮宏太

平和すぎて、やりがいが無いかなって。

八乙女光

まあ、それはそうだな。

八乙女光

でも、すごいじゃん。

八乙女光

頑張れよ。

薮宏太

ありがとう。

八乙女光

でも、忙しくなるでしょ?

八乙女光

無理して俺に会いに来なくていいからね。

薮宏太

分かった。

薮宏太

でも、近くにいるのに会えないって、寂しいな。

八乙女光

まあ、そうだな。

薮宏太

でも、いつかまた会おうぜ。

八乙女光

できればね。

八乙女光

ただいま。

八乙女光

泉、聞いてくれ。

八乙女泉

何?

八乙女光

薮が、警察になるって。

八乙女泉

え?

八乙女泉

大変じゃん。

八乙女泉

でも私には関係ないから。

八乙女光

そう言うと思った。

八乙女光

でも、薮に会っても絶対に言うなよ。

八乙女泉

私がそうすると思う?

八乙女泉

どっちにするか決めてないけど。

八乙女光

これだから反抗期は…

2年後。

俺は捜査一課で活躍していた。

そろそろ異動や新人が来る時期だ。

有岡大貴

失礼します!

中島裕翔

失礼します。

中島裕翔

本日からこちらに配属された中島です。

有岡大貴

同じく、有岡です!

課長

おぉ、来たか。

中島裕翔

これからご指導ご鞭撻よろしくお願いします。

課長

ちょっと今ほとんど出払っててすまんな。

課長

あ、薮!

薮宏太

はい!

課長

こいつらの教育係頼んでもいいか?

薮宏太

分かりました。

中島裕翔

よろしくお願いします。

有岡大貴

よろしくお願いします!

薮宏太

じゃあとりあえずデスク…

薮宏太

どこですか?

課長

えっとー、あっちだ。

課長

この間空いたところ。

薮宏太

あー、あそこですね。

薮宏太

ありがとうございます。

薮宏太

ここが2人のデスクですね。

中島裕翔

ありがとうございます。

薮宏太

それで、今やってる事件なんだけど…

薮宏太

これ。

有岡大貴

連続殺人!?

薮宏太

凶器はナイフだったり、手製の銃だったり。

薮宏太

何らかの組織の犯行とみている。

中島裕翔

犯人の手がかりはあるんですか?

薮宏太

それが、なかなか掴めなくてな。

刑事

只今戻りました!

刑事

今回の事件も例の組織とみて間違いなさそうです。

刑事

しかし今回は、目撃者がいた。

課長

本当か!?

刑事

今、犯人の似顔絵を作らせてます。

課長

分かった。

薮宏太

今回の凶器は?

刑事

ナイフだそうです。

課長

ナイフのパターンか…

山田涼介

あ〜、疲れた〜

知念侑李

涼介、お疲れ様。

知念侑李

今回はどうだったの?

山田涼介

助け呼ばれそうになったけどギリセーフ。

知念侑李

じゃあ良かったじゃん。

山田涼介

じゃ、寝るわ。

知念侑李

はーい。

刑事

似顔絵できました!

薮宏太

ありがとうございます。

中島裕翔

これが犯人?

有岡大貴

こんな顔なのか…

薮宏太

美形だな。

課長

じゃあ、これ持って聞き込み行ってこい!

刑事

はい!

薮宏太

じゃあ有岡、行こう。

薮宏太

すいません、中島をお願いしてもいいですか?

刑事

分かりました。

刑事

中島、行こう。

中島裕翔

はい!

薮宏太

すいません、警察なんですが

薮宏太

この方に見覚えは?

通行人

ごめんなさい、分かりません…

薮宏太

そうですか。ありがとうございました。

有岡大貴

なかなかいないですね〜。

薮宏太

どうする?ちょっと休憩するか?

有岡大貴

そうしますか。

薮宏太

じゃあカフェに行こう。

八乙女泉

いらっしゃいませ!何名様ですか?

薮宏太

2人です。

八乙女泉

あれっ、薮さん?

薮宏太

あっ、泉ちゃん!

有岡大貴

知り合いですか?

薮宏太

まあ、そんなとこ。

薮宏太

てか泉ちゃん、バイト?

八乙女泉

はい。早くあの家出たいので。

薮宏太

そんなに嫌なの?

八乙女泉

はい。

薮宏太

光が傷つくよ?

八乙女泉

別にいいですよ。

八乙女泉

あ、じゃあお席こちらです!

薮宏太

それでさ、有岡。

薮宏太

有岡のことなんて呼べばいい?

有岡大貴

俺、名前が「大貴」なんで、

有岡大貴

「大ちゃん」って呼ばれることが多いです。

薮宏太

分かった、大ちゃん。

有岡大貴

はい!

有岡大貴

あ、ごめんなさい。ちょっと電話してきます。

八乙女光

山田、今回もあr…

八乙女光

って、また寝てる?

知念侑李

あ、山田ならさっき寝たよ。

八乙女光

なんかここ来るといつも山田が寝てる気がするんだけど。

知念侑李

週6か7くらいはそうかな〜。

その時、山田の携帯が鳴った。

知念侑李

涼介、電話。

知念侑李

起きて!

山田涼介

うわぁ!ビックリした〜

山田涼介

何の用?

知念侑李

電話。

山田涼介

あー、サンキュ。

山田涼介

もしもし?

山田涼介

どうした、落ち着けよ。

山田涼介

え?俺が?分かった。

山田涼介

ありがとう、気をつけるよ。

八乙女光

誰から?

山田涼介

中学の同級生。

山田涼介

ごめん、俺ちょっとしばらく行かないわ。

八乙女光

どうしたんだよ?

山田涼介

俺が行くと、危険だ。

八乙女光

ってことがあってな。

八乙女光

山田に何があったか調べてくれ。

髙木雄也

いくらだ?

八乙女光

これでどう?

髙木雄也

いいだろう。

八乙女光

よろしくな。

髙木雄也

ああ。

課長

それで、目撃証言はあったか?

中島裕翔

いえ…

薮宏太

こちらもです。

課長

そうか。

課長

これからも探していこう。

中島裕翔

はい!

有岡大貴

はい!

髙木雄也

山田の情報、見つけたよ。

八乙女光

本当か!?

髙木雄也

あいつ今、警察に追われてる。

八乙女光

え?

髙木雄也

まあ、まだ身元は割れてない。

髙木雄也

似顔絵が上がってるだけだ。

八乙女光

分かった、ありがとう。

髙木雄也

そういえばさ、この人やったの、そっちの組織?

八乙女光

は?

八乙女光

言うわけないだろ。

髙木雄也

なるほど〜

八乙女泉

ん?

八乙女泉

どなたですか?

岡本圭人

すみません!

岡本圭人

あの、この組織の本部ってここですか?

八乙女泉

あ、はい。

八乙女泉

そうですね。

岡本圭人

俺をこの組織のトップに会わせてください!

八乙女泉

ちょっと待っててください

八乙女泉

兄さんに会いたいって人が来てるよ

八乙女光

誰?

八乙女泉

知らない人

八乙女光

とりあえず応接間に上げて

八乙女泉

分かった

八乙女泉

どうぞ

岡本圭人

はい!

八乙女泉

こちらです

八乙女光

こんにちは

岡本圭人

こんにちは!

八乙女光

どなたですか?

岡本圭人

岡本圭人っていいます。

八乙女光

今日はどんなご用で?

岡本圭人

単刀直入に言います。

岡本圭人

あなたの組織に入れてください!

八乙女光

分かりました、検討します。

岡本圭人

ありがとうございます!

刑事

似顔絵の男に似た男が、マイナンバーカードのデータベースにいました!

課長

本当か?

刑事

この男です。

中島裕翔

山田涼介…

課長

よしっ、山田の居場所を探れ。

薮宏太

はい!

有岡大貴

はい!

薮宏太

山田さん?

薮宏太

いらっしゃいますか?

有岡大貴

人の気配ないですね…

大家

どうしたんですか?

薮宏太

あ、警視庁の者です。

大家

ここの大家です。

薮宏太

こちらにお住まいの山田さんにお話が聞きたくて…

大家

彼、あまりいないんですよね…

大家

とりあえず合鍵持ってきます。

薮宏太

ありがとうございます。

大家

山田さん?入りますよ?

大家

今日もいないですね…

薮宏太

そうですか…

薮宏太

ありがとうございました。

有岡大貴

ありがとうございました!

薮宏太

山田涼介の自宅はもぬけの殻でした。

課長

そうか…

課長

勤務先の特定は?

中島裕翔

まだ分かりません…

八乙女光

それで?

八乙女光

彼について調べられたか?

髙木雄也

ああ。

髙木雄也

大丈夫だ。そっちの組織に危害は加わらないだろう。

八乙女光

ありがとう、助かったよ。

八乙女光

みんな集まったか?

知念侑李

うん、いる。

八乙女光

伊野尾ちゃんは?

知念侑李

たぶんこのパソコン、ハッキングされてるから見えてるし聞こえてる。

伊野尾慧

🖥️なんでバレてんだよ!

知念侑李

そりゃ分かるよ、いつもだもん。

知念侑李

てかマイクまでハッキングできるんだ

伊野尾慧

🖥️まあね。

八乙女光

でも聞こえてるならいいや。

八乙女光

紹介する。

八乙女光

組織に新しく入る、岡本圭人だ。

岡本圭人

よろしくお願いします。

知念侑李

新メンバーなんて、珍しいじゃん。

八乙女光

まあ、なかなか来ないからな。

八乙女光

じゃあ山田。

八乙女光

しばらく外出れないなら、色々教えてやってくれ。

山田涼介

なんで俺が…

八乙女光

そうじゃないと、雇ってる意味がないだろ。

山田涼介

仕方ないな…

山田涼介

岡本っていったか?

山田涼介

ついてこい。

岡本圭人

はい!

八乙女光

じゃあ、解散!

中島裕翔

山田涼介の職場、分かりました!

課長

どこだ?

中島裕翔

ここです。

中島裕翔

まあ、犯罪組織ですね。

課長

なるほど…

課長

この組織について捜査を進めろ。

薮宏太

はい!

知念侑李

またここの人口密度上げないでよ…

山田涼介

居心地がいいんだよ。

山田涼介

じゃあ俺は寝るからな。

知念侑李

涼介、仕事は?

山田涼介

そんなんやってるフリしときゃいいんだよ。

知念侑李

いのちゃんも、僕のパソコンばっかハッキングしてないで仕事は?

伊野尾慧

🖥️別タブでやってるから。

知念侑李

ごめんね、圭人。

知念侑李

こんな人たちばっかで…

岡本圭人

大丈夫です。

知念侑李

一応ここ、僕の工房。

知念侑李

新しい銃作ってる。

岡本圭人

そうなんですね。

知念侑李

よしっ、これで新作完成!

知念侑李

試し撃ち行ってきます!

知念侑李

これで、大丈夫だな。

八乙女光

知念、それ新作?

知念侑李

そうだよ。

知念侑李

試し撃ち完了。

八乙女光

ありがとう。

八乙女光

それにしても、撃つの上手いよな。

知念侑李

いつも言ってるけど、めんどくさいから嫌だよ?

八乙女光

それは分かってるけど…

刑事

組織の本部の住所です!

課長

ありがとう。

課長

なるほど…

課長

文京区本郷7丁目か。

課長

明日突入しよう。

中島裕翔

分かりました。

薮宏太

はい!

有岡大貴

もしもし山田?

有岡大貴

明日そっちに警察がいく。

有岡大貴

うん。

有岡大貴

逃げるなら逃げろ。

有岡大貴

狙われてるのは山田だけじゃない。

有岡大貴

組織全体だ。

有岡大貴

うん、じゃあな。

髙木雄也

そんなことしていいんだ?

有岡大貴

うわ!びっくりした!

髙木雄也

君、警察だよね?

有岡大貴

そうだけど…

髙木雄也

まあいいや。

髙木雄也

バレないようにな。

八乙女泉

すみません!

八乙女泉

捜査一課の薮さんって…

中島裕翔

薮さんは…、

中島裕翔

今日当直ですね。

中島裕翔

声かけてきましょうか?

八乙女泉

お願いします。

薮宏太

泉ちゃん?どうしたの?

八乙女泉

今日は、大事な話があって来ました。

薮宏太

大事な話?

八乙女泉

はい。

八乙女泉

うちの家、犯罪組織なんです。

薮宏太

やっぱり…

八乙女泉

やっぱり?

薮宏太

本当は捜査情報の漏洩はできないんだけど…

薮宏太

家の人には内緒ね?

薮宏太

明日、突入する予定だ。

八乙女泉

そうですか。

八乙女泉

まあ、私嫌なんですよ。

八乙女泉

自分の家族があんなことしてるの。

薮宏太

だから家を出たいんだ?

八乙女泉

はい。

八乙女泉

あと言っておきます。

八乙女泉

組織の今のトップは兄さんです。

薮宏太

光が?

八乙女泉

はい。

薮宏太

そっか…

薮宏太

でも、話してくれてありがとう。

八乙女泉

いえ、いいんです。

薮宏太

じゃあ、ちょっと待ってて。

薮宏太

ちょっといいですか?

課長

なんだ?

薮宏太

今、この組織のトップの妹と名乗る人物が僕を訪ねてきました。

中島裕翔

あ、さっきの…

薮宏太

今、下で待たせてあります。

課長

分かった。会議室に通してくれ。

薮宏太

はい。

薮宏太

泉ちゃん、こっち。

八乙女泉

はい。

課長

こんにちは。

課長

捜査一課長の鈴木です。

八乙女泉

八乙女泉です。

課長

泉さん、あなたのお兄さんが、組織のトップだというのは本当ですか?

八乙女泉

はい。

課長

どうして言ってくれたんですか?

八乙女泉

自分がこんな家庭に生まれたことを恨んでいるからです。

課長

そうなんですか。

課長

では明日の朝、またこちらに来れますか?

八乙女泉

でも学校が…

課長

こちらで話をつけておきます。

八乙女泉

分かりました。

課長

では、また明日。

八乙女泉

はい。ありがとうございました。

課長

ところで薮、彼女とどんな関係だ?

課長

仲が良さそうだったが…

薮宏太

彼女は、僕の幼馴染の妹です。

薮宏太

つまり、組織のトップは俺の幼馴染です。

課長

いつから知っていた?

薮宏太

本部の住所を見たときにまさかとは思いました。

薮宏太

それで、彼女が訪ねてきて…

課長

そうか、黙ってたわけではないんだな。

課長

ところでその、トップの名前は?

薮宏太

八乙女光です。

課長

分かった、ありがとう。

薮宏太

僕、捜査外れたほうがいいですよね?

課長

でも、人手がな…

薮宏太

分かりました、支障のないようにします。

課長

ああ。

課長

それに、いざとなれば幼馴染という立場で説得してくれ。

薮宏太

分かりました。

八乙女光

それで山田、話って何?

山田涼介

明日、警察がここに来る。

八乙女光

え?

山田涼介

だから、どうすればいい?

八乙女光

どうすればって…

八乙女光

みんなは逃げたら?

八乙女光

俺は迎え撃つけど。

知念侑李

そんな…ヒカだけじゃ無理だよ。

伊野尾慧

🖥️俺はサポートする。

知念侑李

僕も。

岡本圭人

じゃあ、僕も残ります!

山田涼介

それなら、俺1人で逃げるなんてできねーな。

八乙女光

みんな、ありがとう!

八乙女光

ところで、泉知らない?

八乙女光

帰ってこないんだけど…

知念侑李

泉ちゃん?

伊野尾慧

🖥️泉ちゃんのスマホのGPS見てみるね。

伊野尾慧

🖥️え?警視庁本部にいる…

八乙女光

え?

八乙女泉

ただいま〜

八乙女光

泉、遅かったじゃん。

八乙女泉

別にいいでしょ。

八乙女光

伊野尾ちゃんに調べてもらった。

八乙女光

警視庁本部に行ってたでしょ?

八乙女泉

それが何?

八乙女泉

ちょっと前にバ先に薮さんが来た時の忘れ物届けに行っただけ。

八乙女光

バ先?って何?

八乙女泉

バイト先!

八乙女光

なるほど。

八乙女光

それより、薮に組織のこと言ってないよね?

八乙女泉

それはどーだか。

八乙女光

泉!

翌朝。

知念侑李

はい、ヒカ。これ使って。

八乙女光

ありがとう、知念。

知念侑李

こっちが威力強いやつで、こっちは弾数あるやつだから。

八乙女光

分かった。

八乙女光

圭人も手伝え。

岡本圭人

ごめんなさい、ちょっと頭痛くて…

八乙女光

そうか、分かった。

八乙女光

ところで山田は?

知念侑李

その辺のソファーの上に落ちてない?

八乙女光

どこ?

八乙女光

あ、いたわ。

知念侑李

たぶんあと数時間は起きないよ。

八乙女光

じゃあ俺1人ってことか…

八乙女光

泉、どこ行くの?

八乙女泉

学校に決まってるでしょ。

八乙女光

その前に話がある。

八乙女泉

何?手短に話して。

八乙女光

ちょっとこっちの部屋に来てくれ。

八乙女泉

兄さん!?

八乙女光

ごめん泉、こうするしかないんだ。

八乙女泉

ちょっと!ここから出して!

八乙女光

少ししたらまた来る。

八乙女泉

兄さん!

八乙女泉

スマホだけでも返してよ!

八乙女泉

ねぇ、兄さん!

中島裕翔

泉さん、来ないですね…

課長

何があったんだろうな。

薮宏太

連絡してみますか?

課長

頼む。

電話

おかけになった番号は、現在電源が切られているか、電波の届かないところにあります。

薮宏太

だめですね…

課長

でも、突入を遅らせるのもな…

課長

行こう!

刑事

はい!

有岡大貴

はい!

課長

行くぞ。

中島裕翔

待ってください、有岡どこ行きました?

有岡大貴

すみません〜!

課長

どこ行ってた?

有岡大貴

あー、いや。ちょっと…

薮宏太

まさか、裏切りではないよな?

有岡大貴

バレたか…

中島裕翔

あぁっ、ちょっと!

刑事

逃げ足の速い奴め…

課長

でも、仕方ない。

課長

後で追おう。

中島裕翔

はい。

薮宏太

あっ、見てください!

薮宏太

あそこの窓!

八乙女光

下がれ!

八乙女光

下がらないと、こいつを撃つ!

中島裕翔

泉さん!?

八乙女泉

薮さん!助けてください!

八乙女光

黙れ!

課長

薮、どう思う?

薮宏太

実際に撃つ可能性は少ないかと…

薮宏太

光と泉ちゃんは、とても仲が良かったので。

薮宏太

12年前は、ですけど。

課長

なるほど…

伊野尾慧

📱光、それにしても大胆なことしたね。

八乙女光

うるせぇ

伊野尾慧

📱なんか今日の光、いつもと別人みたいだよ。

八乙女泉

そうだよ兄さん。

八乙女泉

早くこんなことやめてよ。

八乙女光

泉、撃つぞ。

八乙女泉

兄さん…

薮宏太

光ー!

薮宏太

光ー!

八乙女光

なんだよ?

薮宏太

泉ちゃんを放してやれ。

薮宏太

こんなことしても、なんの得にもならない。

薮宏太

だから早く、降りてきてくれ。

八乙女光

薮…

薮宏太

俺の知ってる光は、こんなことする奴じゃない。

八乙女光

あの頃とは、俺も泉も違うんだよ!

八乙女光

この家の現実知って、俺は父さんから継ぐことに必死で。

八乙女光

泉は呆れてずっと反抗期。

八乙女光

そんな俺の気持ちが薮に分かるのかよ!

薮宏太

分からないけど…

薮宏太

でもやっぱり、そんなことに泉ちゃんを巻き込むべきじゃない。

八乙女光

じゃあ分かった。

八乙女光

泉の解放だけだ。

八乙女泉

薮さん!ありがとうございます!

薮宏太

泉ちゃん、大丈夫だった?

八乙女泉

はい!

中島裕翔

泉さん、ちょっといいですか?

中島裕翔

中の様子を伺っても…

八乙女泉

中には兄1人です。

八乙女泉

銃は分かるだけで2丁持っていました。

中島裕翔

ありがとうございます。

薮宏太

なるほど…

八乙女光

薮!

薮宏太

何だ?

八乙女光

これでもういいだろ。

八乙女光

下がれ。

光はそう言って、銃口をこちらに向ける。

課長

こちらも拳銃を出そう。

薮宏太

はい。

薮宏太

そっちがその気なら、こちらだって発砲できる。

薮宏太

でも、俺は光を撃ちたくない。

薮宏太

だから銃を下げろ。

八乙女光

断る。

八乙女光

30秒以内に全員下がれ!

課長

20秒経ったら威嚇射撃だ。

薮宏太

はい。

1,2,3,4…

…17,18,19,20,

俺は地面に向けて拳銃を撃った。

八乙女光

やる気か?

その時、光が撃った銃弾が俺に当たった。

薮宏太

光…

八乙女光

薮、ごめん…

光が泣き崩れているのが窓から見えた。

課長

突入する!

中島裕翔

はい!

刑事

はい!

八乙女光

薮、ごめん…

薮が撃ったら俺も撃つ。

そう決めていた。

薮は地面に威嚇射撃をしただけだった。

だけど俺の撃った銃弾は、薮に当たってしまった。

伊野尾慧

📱大変なことしちゃったね。

伊野尾慧

📱でももう警察が来るよ?

八乙女光

もういいんだ、俺は。

八乙女光

父さんから継いだ道で大切な人を傷つけるくらいなら、もういい。

伊野尾慧

📱そっか。

中島裕翔

警察です!

課長

よし、12時2分銃刀法違反の現行犯とその他の余罪で逮捕する。

薮宏太

光!

八乙女光

え、薮?

薮宏太

俺は大丈夫だ、安心しろ。

八乙女光

え、どういうこと?

薮がYシャツのボタンを開ける。

銃弾は、防弾チョッキで止められていた。

八乙女光

良かった…

八乙女光

俺のせいで、薮が…って思ったら…

薮宏太

大丈夫だから。

課長

よしっ、じゃあ徹底的に他の者を探せ!

中島裕翔

はい!

中島裕翔

警察です!

刑事

ここにいるのは2人だけか?

知念侑李

その辺にもう1人落ちてませんか?

中島裕翔

あ、こんなところに。

中島裕翔

これ大丈夫ですか?

知念侑李

寝てるだけです。

中島裕翔

そうですか…

刑事

とりあえず、3人とも逮捕する!

知念侑李

あ、刑事さん。

知念侑李

僕たちを逮捕するのはいいんですけど、

知念侑李

いつも僕のパソコンをハッキングして盗撮とか盗聴してる悪趣味なハッカーが奥の部屋に引き籠もってるはずなんで引っ張り出してきてください。

中島裕翔

分かりました。

中島裕翔

じゃあ、ここお願いします。

刑事

はい。

中島裕翔

警察です!

伊野尾慧

ここまで来ちゃったか〜

中島裕翔

不正アクセス禁止法違反で逮捕します!

伊野尾慧

分かったよ…

課長

これで全員らしい。

中島裕翔

そうですか…

中島裕翔

そういえば、有岡の行方は?

課長

掴めないままだ。

中島裕翔

分かりました。

薮宏太

泉ちゃん、これからどうする?

八乙女泉

生活のことですか?

薮宏太

そう。親戚とかは?

八乙女泉

肉親は兄さんだけみたいなもんで…

薮宏太

そうなの?

八乙女泉

母さんは私が5歳のときに病死。

八乙女泉

父さんは7年前に、組織の抗争で。

八乙女泉

他の親戚には会ったこともありません。

薮宏太

辛いこと聞いちゃって、ごめん。

八乙女泉

いえ、大丈夫です。

薮宏太

それで、どうするつもり?

八乙女泉

バイトで貯めたお金があるので、1人暮らしでも…

薮宏太

でもまだ、高校生でしょ?

薮宏太

高校生が1人暮らしなんて危ないよ。

八乙女泉

でも…、

薮宏太

俺と一緒に暮らそう。

八乙女泉

いいんですか?

薮宏太

もちろん。

八乙女泉

じゃあ、お世話になります。

八乙女光

俺は中学生のときに東京に来て、

八乙女光

父さんのこと知って。

八乙女光

それからずっと盲目的に父さんの背中を追いかけてきたんです。

八乙女光

正直、善と悪の区別もできなくなっていました。

八乙女光

でも、薮を撃ってしまったことで、失っていた理性が戻ってきて…。

中島裕翔

そうですか…。

俺は、マジックミラー越しに、光の取り調べの様子を見ていた。

課長

何か、言いたいことがあるのか?

薮宏太

課長…

課長

あるなら言ってこい、薮。

薮宏太

分かりました。

薮宏太

ありがとうございます。

薮宏太

裕翔、ちょっといいか?

中島裕翔

どうしたんですか?

薮宏太

あー、いや。

薮宏太

ちょっと個人的な話をしたくて。

中島裕翔

分かりました。

薮宏太

光、話したいことは2つだ。

八乙女光

2つ?

薮宏太

ああ。

薮宏太

まず、泉ちゃんは俺が引き取ることにしたから。

八乙女光

泉を、薮が?

薮宏太

うん。

八乙女光

ありがとう。

八乙女光

そうしてくれると俺も安心だよ。

薮宏太

それと2つ目。

薮宏太

おかえり、俺の大好きな光。

八乙女光

どういうこと?

薮宏太

俺は、優しくて可愛い光が大好きだった。

薮宏太

だけど、東京で光と再会してから、なんだか変わった気がしてた。

薮宏太

でも今の光は、昔と変わらない。

薮宏太

優しくて可愛い光だ。

八乙女光

薮?

薮宏太

ごめん、変なこと言っちゃったかな。

八乙女光

そんなことない。

八乙女光

俺も、俺と泉に優しい薮が大好きだよ。

薮宏太

ありがとう。

八乙女光

薮。

八乙女光

俺、薮のおかげで、自分が何してたかやっと分かった。

八乙女光

だから俺、ちゃんと罪を償うから。

八乙女光

だから待ってて。

薮宏太

分かった。

課長

これで、事件も落着だな。

課長

あとは有岡だけか…

薮宏太

そうですね。

中島裕翔

それにしても、被害者の息子が組織にいたのは驚きでしたね…

課長

そうだな。

刑事

それが、復讐のために組織に入ったらしいですよ。

刑事

内部から組織を壊したいって。

課長

なるほど…

刑事

彼、泣いてましたよ。

刑事

まあ、現段階だと彼は不起訴になりそうですけどね。

課長

岡本は不起訴の見込みと。

課長

他4人は?

中島裕翔

おそらく起訴できます。

刑事

こちらの担当もです。

課長

分かった。

課長

じゃあ有岡を探してこい!

その時、電話が鳴った。

薮宏太

もしもし?警視庁捜査一課です。

薮宏太

え?なんでその事実を…

薮宏太

すみません、あなた誰ですか!

薮宏太

切れました。

薮宏太

有岡の居場所を告げてきた電話だったんですが…

有岡大貴

おいっ、離せ!

有岡大貴

お前、誰だ!

薮宏太

有岡!

有岡大貴

マジか…

髙木雄也

刑事さん、裏切り者捕まえておきましたよ。

薮宏太

ありがとうございます。

薮宏太

でもどうして…

髙木雄也

彼が電話してるのを見たんですよ。

髙木雄也

こんなところでする電話なんて、9割人にバレちゃいけないことですから。

髙木雄也

それに、内容もあれでしたから。

薮宏太

あなた、誰なんですか?

髙木雄也

通りすがりの情報屋

髙木雄也

とでも言っておこうかな。

薮宏太

分かりました。

薮宏太

ありがとうございました。

中島裕翔

まさか有岡が、組織の一員と知り合いだったなんて…

薮宏太

驚いたよな。

課長

でもこれで、事件も解決だな。

薮宏太

はい!

担任

八乙女!

八乙女泉

なんですか?

担任

家庭のこと、聞いたぞ。

担任

これから、どうやって生活するつもりだ?

八乙女泉

知り合いの刑事さんに引き取ってもらえました。

担任

そうか、ならいいんだ。

春になった。

薮宏太

泉ちゃん、卒業おめでとう。

八乙女泉

薮さん!ありがとうございます。

八乙女泉

本当にお世話になりました。

薮宏太

大学行くんでしょ?

八乙女泉

はい。

薮宏太

お金、大丈夫?

八乙女泉

なんとか奨学金で…

薮宏太

そっか、よかったね。

薮宏太

あのさ、泉ちゃん。

薮宏太

俺と結婚してくれないか?

八乙女泉

ちょっと薮さん、みんな見てるから…

薮宏太

俺は、泉ちゃんをずっと守っていきたい。

薮宏太

だから…

八乙女泉

分かりました。

八乙女泉

私も、薮さんといられると本当に幸せです!

八乙女泉

結婚、しましょう。

薮宏太

本当?

薮宏太

ありがとう、泉ちゃん。

八乙女泉

いえ…!

数日後。

薮宏太

ほら、泉ちゃん。

薮宏太

そろそろ行くよ。

八乙女泉

薮さん、私言いましたよね?

八乙女泉

兄さんには会いたくないって。

八乙女泉

東京に来てから、兄さんのことを好きだと思えたことはないので。

薮宏太

でもさ、

薮宏太

今の光は、向こうにいたときと変わらない。

薮宏太

あの頃の優しい光を取り戻してる。

薮宏太

それでも、行かない?

八乙女泉

分かりました。

薮宏太

あとさ、敬語やめれる?

薮宏太

「薮さん」って呼び方も。

薮宏太

だって俺たち、結婚するんだから。

八乙女泉

あっ…!

薮宏太

まあいいよ、早く準備してきて!

八乙女泉

うん!

八乙女光

薮!泉!

八乙女光

来てくれたの?

薮宏太

どうしても光に言わなきゃいけないことがあって。

八乙女光

え、急に何?怖いんだけど。

薮宏太

俺たち、結婚することになりました。

八乙女光

えっ?

八乙女光

薮と結婚するのは俺だし。

薮宏太

何年かかんだよ。

八乙女光

冗談だよ。

八乙女光

でも、泉の旦那さんが薮で良かった。

八乙女光

2人とも、幸せになれよ。

薮宏太

ありがとう、光。

八乙女泉

兄さん、ありがとう。

神父

新郎　薮宏太さん

神父

あなたは、病めるときも健やかなるときも妻を愛することを誓いますか?

薮宏太

はい、誓います。

神父

新婦　八乙女泉さん

神父

あなたは、病めるときも健やかなるときも夫を愛することを誓いますか?

八乙女泉

はい、誓います。

中島裕翔

それではここで、新郎のご友人であり、新婦のお兄さまである八乙女光さんからお手紙が届いております。

中島裕翔

代読させていただきます。

薮へ俺が18年間大切に育ててきた大事な妹を貰ってくれてありがとう。泉は俺の前ではずっと反抗期だったけれど、薮の前では別の顔があるのかもしれない。だけど、泉を傷つけたら絶対に許さないからな! 泉へ泉が生まれたときからずっと見守ってたよ。俺の大好きな泉が、俺の大好きな薮と結婚してくれて本当に嬉しい。これからもずっと大好きだよ。最後に。 2人とも、結婚おめでとう。結婚式に出席できなくて残念です。どうか、お幸せに。　　　　　　　　　　　　　　　八乙女光

八乙女泉

兄さん…

薮宏太

また、お礼言いに行かなきゃだな。

八乙女泉

うん。

八乙女泉

兄さん、本当にありがとう…

Fin.