大西side
いつも通り仕事をこなし、家への帰り道にある カフェに入った。
流星
ホットで
店員
俺は店の隅っこの席に座り、スマホを眺めていると、 通知が鳴った。
流星
メールを開くと、俳優のプロダクションから メイクの依頼やった。
誰やろ、俺も知ってるかな。
流星
「新世代実力派俳優、
西畑大吾?」
西畑大吾、その名前を見て俺はびっくりして、 思わず大声が出そうになった。
西畑大吾、大ちゃんの名前と同じ。
俺は西畑大吾、と検索すると、顔もあの時の大ちゃん そっくりやし、俺と同い年、誕生日も大ちゃんと同じ。
その他の血液型、学歴、少しまとめられた性格も、 大ちゃんそのものやった。
流星
なんで、なんで俺は気付かなかったんやろ。
俺は急いで頼んだコーヒーを飲み干し、 アパレルショップへと向かった。
もし、忘れられてても仕方ない、そう思うも俺は少しでも よく思われたいから、いつもより着飾って行くことにした。
ショップから出て、東京の栄える街で、上に飾られる 大きなポスターが見えた。
流星
さっき見た西畑大吾と、そして大ちゃんと同じ顔。
ダークな色で顔を飾られた大ちゃんは、もう手の届かない 場所にいることを俺に気付かせてしまう。
女性1
大吾くんじゃない?!
女性2
めっちゃメイク
似合ってる!
女性1
あんな彼氏が良いわぁ。
通りすがりの女性達が大ちゃんのことを話す声が聞こえた。
もう嫌や、大ちゃんの話しないで。
やっぱり、この仕事、断ろうかな。
いや、これは仕事。
どうせ大ちゃんも俺なんか覚えてないやんな。
ブロックされたLINEも、電話番号も変えた俺には もう見えない。
だんだんと声が聴こえなくなって、前は霞んで暗闇に、 俺は1人、孤独を感じた。
俺は、暗闇の中、俺は記憶を頼りにいつもの道を辿って 家へと歩いた。
暗く染まっていく俺には、微かにノイズが入った音楽すら 心地よく感じた。