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『ターゲットと、夜を越えて。』
えとはなおきりの部屋の玄関で、まだ靴を脱げずに立ち尽くしていた。 さっきのデート帰りーーふと、なおきりが言った一言がずっと頭を離れない。
『今日の君は、“好きな子”にしか見えない』
それがどれだけ効いたか、なおきり本人は分かってるのかどうか
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なおきりの声が、静かにえとの背中を引き止めた。 そのまま後ろから、そっと腕を伸ばしてーー
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耳元でそんなことを囁かれて、えとは目を見開く。
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その声はやさしくて、でも少しだけーーさびしそうで。 えとはしばらく黙ってから、ぽつりと返した。
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なおきりの目が、少し見開かれた。
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えとの顔が、完全に真っ赤になった。
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なおきりが一歩近づく。 その距離に、えとは思わず後ずさりーーベッドの端に座り込んだ。
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えとはなおきりの胸に額を預けた。 鼓動がすぐそばで聞こえる。その音が、やさしくて ーーこわかった。
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静かに交わされる、約束のような言葉。
この夜、ふたりは初めて 「スパイ」でも「ターゲット」でもなく、
ただの男性と女性として隣にいた。
(でも、こんな幸せ……長くは続かないって、わかってる) (この任務が終わればーー)
えとはなおきりの胸に寄り添いながら、そっと目を閉じた。
部屋の灯りは、もうベッドサイドのランプだけ。 ほの暗いオレンジの光が、なおきりの輪郭をやさしく照らしている。
えとはなおきりのベッドの端に座ったまま、ずっと黙っていた。 膝を抱えて、ちょっと不安げな横顔。
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ふわり、と。 なおきりの手がえとの肩に触れて ーー次の瞬間、
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なおきりは、えとをそっと押し倒した。 ベッドに沈んだえとの体の上から、じっと目を見つめる
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少しだけ揺らいだ声音。 でもその瞳は、どこまでもやさしかった。
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えとの目が、ぱちぱちとまばたきをする。
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しばらく沈黙が流れてーー えとは小さく、首を縦に振った。
その合図を受けて、なおきりはゆっくり顔を近づけーー 唇と唇が、ふれる、寸前で止まる
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えとの目には、少しだけ涙が滲んでいた。
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なおきりは、その涙を指でそっとぬぐって。
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そう言って、額と額をそっとくっつけた。
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そうささやいて、なおきりはえとの手の甲に、ゆっくり唇を落とす。
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からかうように笑うなおきりの声。 でもその熱は、ふたりの間に確かにあってーー 夜は、まだ終わらない
えとの手の甲に落ちたキス。 それだけで、胸がいっぱいになっていたのに。 なおきりはそのまま、指先をすべらせて、そっとえとの髪を耳にかけた。
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なおきりの手が、そっとえとの頬に添えられる。
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そのまま、ほんの少し身を沈める。 吐息がふれるほどの距離ーー 見つめ合うだけで、胸の奥がぎゅっとなる。
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その声は、どこまでも静かで、やさしい。 でも、明らかに“覚悟”が混じっていた。
えとは、なおきりのシャツをぎゅっとつかんだ。
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その言葉に、なおきりの目がわずかに揺れる。 だけど、もう止まらなかった。
再び唇がふれてーー 今度は、さっきよりもずっと深く、やわらかく重なる。
キスの合間に、えとの指がなおきりの背中にまわって、 まるでしがみつくように、引き寄せた。
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少し息を弾ませながら、なおきりはえとの耳元でささやいた。
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耳たぶに落ちた、小さなキス。えとは、ビクリと肩を震わせてーー
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からかうように笑いながらも、なおきりの瞳は真剣だった。
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そう言って、えとはなおきりの首に腕を回しーー もう一度、深くキスをした。
唇だけじゃない。 心まで、裸になってしまうほどの。
えとの唇が、ふるりとわずかに震える。 見上げてくる瞳が、戸惑いと期待を混ぜたように揺れていた。
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なおきりは静かに息を吐いて、えとの頬に手を添えた。 指先が触れたところから、えとの体温が伝わってくる。
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その一言が落ちると同時に、唇が、もう一度、ゆっくりと重なる。
さっきよりも深く、けれど優しく。 触れて、離れて、また触れてーー 何度も、何度も。
そのたびに、えとは目を閉じた。 不意に、なおきりの腕がえとの腰にまわり、 体ごとゆっくりとベッドへ押し倒される。
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言葉を交わす隙間に、またひとつキスが落ちる。 唇のすき間から、なおきりの舌先がそっと覗く。
一瞬、えとは息を呑んだけれどーー 逃げなかった。むしろ、少しだけ、首を傾ける。
ーー甘く、深く、長く。 触れるだけのキスじゃ、もう足りない。 気持ちがあふれて、あふれて、止まらなくなる。 たしかにーー舌がふれるくらい、深くて
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えとは、ぎゅっとなおきりの服を握った。 心の中で、何度も繰り返す。
ほんとのデートで、ほんとのキスで、ほんとの気持ち
ただ、それだけを、今この瞬間は信じたかった。
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