昔の古い記憶。
僕は何故か親に気持ち悪がられていた。
きっと、僕が喋っている内容と表情が合っていないからだろう。
この日も同じで、父と出かけた姉を待つ僕に母は冷たい視線を浴びせていた。
読んでいた絵本のページをぐしゃりと掴んだところで、扉が開き姉がリビングに入ってくる。
姉は何の濁りもない美しい笑顔で僕を見る。
姉だけがーー僕の唯一の味方だった。
姉の背後に立つ、両親。
そろりと2人の顔を見て、僕は息が詰まる。
姉の笑顔とは正反対に、2人の顔が能面の様だ。
無表情で僕を見つめている。
意味もない下手くそな嘘を吐く。
けれど、僕が心を許す彼女には通用するはずもなく。
嬉しいのに……嬉しくて堪らないのに、笑えなかった。
通行人
通行人
倒れる姉の傍に駆け寄った男性が焦った様子で叫ぶ。
僕は呆然と尻もちを着いたまま、目の前の光景を見つめていた。
近くにいた人達が、スマホを取り出して男性と姉……そして僕を撮り出した。
意味の分からない彼らの行動に戸惑ったのを覚えている。
通行人
通行人
必死に姉を助けようとしてくれた男性が叫ぶ。
「可哀想、目の前で轢かれるだなんて……。」
僕を見て放たれた言葉。
そんなことをボンヤリと考える。
そして、僕はそのまま意識を手放した。
誰かが僕の名前を呼んでいる。
誰の声だっけ?
でも、目の前で何かに刺されて血だらけになって倒れた。
ダレ?
抱きしめられたけど、この女の子はダレ?
イタイ。
髪を掴まないで。
涙を流しながら、苦しげに姉が咳き込んだ。
そして、僕の服を掴んでーーそのまま倒れた。
綺麗に伸びた、黒い髪。
僕を抱きしめたのは、大好きな姉だった。
・・・
麗華(れいか)
幽(ゆう)
ゆっくりとベットから体を起こして、目を擦る。
そして、心配そうにコチラを見る姉に僕は首を傾げた。
幽(ゆう)
麗華(れいか)
幽(ゆう)
僕は姉の髪に手を伸ばして触る。
幽(ゆう)
幽(ゆう)
麗華(れいか)
ボーっとしてたのか、寝ぼけていたようだ。
姉に手を伸ばしたまま、僕はポカンと口を開いていた。
麗華(れいか)
幽(ゆう)
麗華(れいか)
幽(ゆう)
幽(ゆう)
麗華(れいか)
幽(ゆう)
麗華(れいか)
幽(ゆう)
姉がコチラを静かに見つめている。
麗華(れいか)
幽(ゆう)
幽(ゆう)
幽(ゆう)
僕の言葉に姉が嬉しそうに微笑んだ。
麗華(れいか)
幽(ゆう)
麗華(れいか)
麗華(れいか)
幽(ゆう)
ーー首に違和感を感じる。
と、同時に襲いかかる強烈な睡魔。
幽(ゆう)
麗華(れいか)
麗華(れいか)
幽(ゆう)
幽(ゆう)
姉が僕の部屋から出ていこうとする。
手を伸ばそうとしたが、体が思うように動かなかった。
麗華(れいか)
幽(ゆう)
姉の後ろに着いていくようにして、美しいーー金の蝶が舞っている。
金色の鱗粉を落としながら、蝶は姉と共に僕の部屋から出ていった。
幽(ゆう)
声が出せないまま、僕は意識を手放した。
コメント
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続きが楽しみ✨️
今回わかったのほぼ麗華さんが黒なのが確定したってことだよね 眠らせているのが能力なのかな?それなら麗華さんは宇宙人になるけど霊くんと兄弟でもあるから最初から宇宙人ではなく組織に入ってから何かしらの方法で能力を手にしたかな丸の助も多分宇宙人だろうし…麗華さん怖すぎてトラウマになりそう(いい意味で)私とにかく霊くんとリルルが心配です
火事で幽と麗華さんが4んだ→麗華さんが何故か復活→何故か幽の記憶が変わる→幸せに暮らしていた→リルルが邪魔になる→丸の助をつかいリルルを排除しようとする→丸の助たちがサクラちゃんたちと出逢う→幽を眠らせて丸の助のところにいおうとする←いまココ かな? 私の考察だけど、麗華さゆが組織の人間に宇宙人にされた→能力をつかい幽の記憶を変える って感じかな? あー考えるの楽Cー!