念殺

2072年

世界は滅亡を知った。

とある国の人体実験により

念じるだけで殺せる

人間の細胞が開発された。

その細胞は、各国に振りまかれ

細胞を持つ人間は“念殺者”と呼ばれるようになった。

誰が念殺者なのか、誰一人知ることがなかった。

例え自分が念殺者だったとしても

知ることができなかった。

だからこそ

みんな、他人に対して優しくするようになった。

戦争はもちろん。いじめや浮気、DVなど

様々な社会問題が解決された。

それがとある国の狙いだった。

しかし

自分から念殺者を名乗り出る者が現れ始めた。

自分の正体を知るきっかけなんて

考えればいくらでもある。

飛んでいるうざったい蚊に「いなくなってほしい」

そう思った次の瞬間蚊が消えていたら、

自分が何者であるかは一瞬にして悟られる。

念殺者は、皆から慕われるようになった。

いつからか

世界の権力を握るのは

念殺者へと化していった。

みおうは、2年間連続でクラスが同じの

大親友！

まただ。

また、念殺。

念殺のせいで引きこもりの生徒が増えて

ただでさえ生徒数が全校30人くらいなのに

毎月毎月

念殺によって誰かが殺される。

念殺なんて、間違っている。

はやくこんな細胞なくしてしまえばいいのに。

念殺は、念じれば簡単に人を殺せてしまう。

だから警察は、動機さえそろえば逮捕することができる。

例えその人が念殺者ではなくても。

私は、本当に念殺なんてしていないけれど、

体内から細胞が発見されたらそこまでだよね。

念殺者に疑われたら最後

今後人を殺さないように、死刑されてしまう。

タッタッタッタッタッ…

泣きながら、風を切る。

最後。全部全部最後。

なにもかも、今日でおしまい。

みおうがしゃがんだとき、前から自転車が走ってきた。

キィィィィィ

ドンッ

念殺者は本当に危険な存在だから、

警察に引き渡せば賞金が貰える。

フードを深く被っているからよく分からないけれど

多分あの人、男の人だ。

次の瞬間

みおうはバラバラになった。

目玉が弾け飛んで

指がバラバラになって

足が勢いよく吹っ飛んで

とにかく

死んだ。

その人は、自転車に乗って消えていった。

そこでやっと気がついた。

あの人、知ってる。