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ヒロイン失格?上等だ

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ヒロイン失格?上等だ

6 - 本音なんて知らない

♥

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2025年06月11日

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及川 徹

朝霧さん、マネージャーやってみない?

突然の提案に、葵はペンを止めた。

声を掛けてきたのは、バレー部主将・及川徹。

いつも軽く、でも鋭く、

誰かの懐に入り込む天才のような男だった。

朝霧 葵

え?なんで私?

及川 徹

だって、岩ちゃんが

及川 徹

葵、手ぇ早いし気が利く

及川 徹

って褒めてたからさ〜

朝霧 葵

岩泉君そんなこと言ってたの?笑

及川 徹

んー、半分。あとは俺の観察眼かな?☆

おどける様にウインクを飛ばす及川に葵は苦笑いした。

朝霧 葵

考えとく。

その場では曖昧に笑ったけど、放課後の体育館、その言葉を反芻していた。

(マネージャーか…)

人と関わるとこが怖いわけじゃない。

でも関わった先で傷つくのが嫌だった。

前に進んで、裏切られたことがある。

努力して届かない場所を知っている。

だから、距離を保つことで、自分を守っていた。

朝霧 葵

でも…

声にならない独り言をこぼす。

体育館の隅で、黙々とモップをかけている岩泉の背中を見ながら、

葵はふと思った。

(この人達、本気で笑ってるのかな?)

青葉城西バレー部。

いつも騒がしくて、時にうるさくて、

でも、嘘がないように見えた。

誰かの陰口も、裏での評価もなく、

ただ、真っ直ぐにバレーをして、

ぶつかって、笑っていた。

(そんな世界が本当にあるの?)

岩泉 一

…んだよ。ぼーっとすんな。怪我すんぞ。

不意に岩泉が近ずいてきて、葵の額にぽんとタオルを当てた。

朝霧 葵

え、ちょ、何?

岩泉 一

汗。お前、ほっとくと倒れそうなくらい頑張るタイプだろ。

葵は返す言葉を失った。

(なんでそんなにわかるの?)

岩泉 一

お前さ、本音で話したこと、あんのか?

朝霧 葵

…えっ?

図星だった。

岩泉 一

全部ニコニコして、スルッとかわしてさ。そんなん、長くやってら苦しくなるだろ。

朝霧 葵

…わかってるよ。そんなの…

おもわず声が震えた。

笑いたくないのに、笑って、誰にも嫌われないように演じて。

それでも嫌われて…

(それでも私は嫌われなくないって思ってる。)

朝霧 葵

本音で話して嫌われるのが怖いんだよ。

ポツリと落ちたその言葉はまるで体育館に響くボールの音のように

静かに空気を打ち抜いた。

岩泉は少しだけ目を細めて、素っ気なく答えた。

岩泉 一

なら、俺が聞いてやるよ。お前何が好きなんだ?

朝霧 葵

え…?

岩泉 一

趣味とか食いもんとか、好きなテレビとかなんでもいい。

岩泉 一

そういうのからでいいだろ。

本音を話す。

それがこんなにも些細な1歩から始まるなんて_

朝霧 葵

ラーメン、好き。あっさり系。

岩泉 一

お!俺も。塩派。

二人の間に小さく笑いが生まれた。

演じる笑いじゃない。

初めて、本物の笑いだった。

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