〜彼方 side〜
みんなに挨拶だけして、 教室を去った
彼方
彼方
1年生
廊下を歩きながら思い出していると、 不意に背後から声をかけられた
そこには、制服を着崩して、 赤いニット帽を被った男子が1人
先輩って呼ばれてるし、1年生かな?
1年生
1年生
彼方
1年生
1年生
目を輝かせて、 そう聞いてきた1年生の子
その質問に、 クスリと笑ってから答え始めた
彼方
彼方
そこは、俺も少し 苦労したところだけどね
例えば、木之下さんと通じている人が 20人いたとする
この20人が出す手を共有しないと、 イカサマにはならない
けど、彼女を観察した限り、 投票される手に規則性はなかった
かと言って、あらかじめ順番を決めて 覚えておくっていうのも大変
だから何を出すべきかは、 その場で決められていたことになる
問題は、どうやって共有していたのか
最初のチップが無くなるまで 観察してたけど、木之下さんは 特に合図はしていなかった
なら音? ……それも違った
だとすると、残りの答えは一つ
彼女の代わりに、 誰かが指示を出している
この考えが正しければ、 みんなの視線を集める人が必ずいる
そう思って観察してたけど、 特に怪しい人物は見つけられなかった
……けど、ふと気づいたんだよね
俺への視線は、 ギャンブルの当事者だし、あって当然
その考えが間違っていた
みんなの視線は俺じゃなくて、 俺の後ろにいる人物に向けられている
一回教室全体を見回した時に 気づいたけど、そこにいたのは、 いつも木之下さんと仲良くしてる女子
その子が代理で、手で合図してるのが 視界に入ったんだよね
彼方
一通り説明を終えると、 一層キラキラした目を向けられていた
1年生
1年生
1年生
彼方
1年生
キラキラした目から、 唖然とした顔に変わった
1年生
彼方
あれは、本当にただのラッキーだった
1年生
1年生
1年生
リスクを負うのが楽しい……か
彼方
彼方
絶対に勝つ勝負も、絶対に負ける 勝負も、俺はどっちも嫌い
だってそれは、ギャンブルであって、 ギャンブルではないから
1年生
最後はまたキラキラの笑顔に戻って、 尊敬の眼差しを向けてきた 赤ニット帽君
彼方
1年生
コメント
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赤いニット帽くんはもしかして……!?