一通りの注文を済ませ
静かに待っていると
店内に見覚えのある
人物を見かけた。
小春
アレは...
小春
小春
椿か?
そこにいたのは
サイケデリックな花屋を営む
燐堂 椿だった。
アタシが不思議そうに
見ていると向こうが気付き
こっちに来やがった。
椿
あら、また会ったわね
小春
あー、さっきはどうも。おかげでご先祖様も喜んだと思うわー
椿
棒読みでアナタが私をどう思っているのかがよく分かるわ♡
小春
キメェ...
小春
てか口調、プライベートだからか?
椿
今日は私の気分が乗らないから午後の営業はお休みなの。だから苦手な敬語も使わないわ
小春
どっかの誰かさんも似たようなこと言ってたなァ...
小春
ま、タメの方が気が楽だから今後もそれで頼むわ
小春
で、アタシに何の用だ?
椿
用も何も素敵な花が見えたから気になって来ただけよ。誰かへのプレゼントかしら?
小春
ちげーよ、実は...
椿
なるほど、そういうことだったのね
椿
ちなみにその花、アナタの態度を見る限り要らなそうだから私が貰ってもいいかしら?
小春
ああ、欲しけりゃくれてやるよ
椿
ありがとう♡
小春
さて、それじゃあ用も済んだし元の座席に戻れよ。アタシはオムライス食うからさ
椿
まだ用事はあるわ。あ、でもオムライスを食べながらでいいわよ
小春
何だよ、面倒だなァ...
仕方なしにアタシは
オムライス優先で彼女の話を
聞くことになった。
椿
ねぇ、突然だけど...
椿
椿
アナタは“運命”って信じるかしら?
小春
...は?
小春
...運命?少女漫画の読み過ぎには気を付けた方がいいぞ
椿
あら、ご忠告ありがとう。でも私はそんなもの読んでないわ
小春
じゃあ何だよ
椿
私ね、運命は必ず存在すると思うの
椿
例えば今日、アナタとここで出会うことも運命だったんじゃないかって思うのよ
小春
あ、脈なしなんでパスで
椿
でもね、中にはその運命に抗おうとする人間がいるのよ
椿
よくアニメや漫画であるでしょう?死ぬ未来を変える為に奔走する展開...
椿
私はそれが死ぬほど嫌いなの
椿
だから私はそんな人間を潰すのが趣味なの♡
小春
いや、趣味なの♡とか言われても突然のヤバイ暴露話で食欲失せるからやめろ
椿
あと、それだけじゃないわ
小春
話聞けよ
椿
人は長い人生においてコツコツ努力をして生きていくわよね?
椿
そしてその努力がようやく実る‼︎...っていう瞬間に私はそれを全て崩したくなるの
椿
つまり、あと一歩のところで人を“絶望させる”ことも私の趣味なの♡
小春
だから趣味なの♡じゃねーよ、聞かされてるこっちの身にもなれよ
椿
あら、気持ち悪いって思うのなら無理やりにでも私を追い返せばいいのに
小春
今オムライスに集中してるから、それは無理だ
椿
今までこの話を聞いてくれた人は全員私を追い返したのよ?
椿
でもアナタは私を追い返さなかった
椿
もしかしたら、アナタと私は何か通ずるものがあるのかもしれないわね♡
小春
あ?テメェと一緒にされたかねーよ
椿
ふふっ、照れちゃって可愛い♡
小春
ダメだ、コイツ話通じねーわ
小春
てか用件はもういいかァ?何か頭痛くなってきたわ
椿
それはお大事にね
小春
一番の原因が何言ってんだ
アタシはさっさと
オムライスを食べ終えると
会計を済ませ、一度も
振り返ることなく帰った。