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主
主
あれから二人は思い出を作ったり
病の治し方を調べたり
辛い時は寄り添ったりしてくれた
それは嬉しかった、でも痛みか大きくなるにつれ
優しさで誤魔化せなくなってきた
また同じことになってしまう
本当はしたくないのにな
脳はその快感を覚えている
ごめんね、二人とも、
やっぱやめられないや
大森元貴
大森元貴
これは痛み止め
前回はこれをたくさん飲んでるのをバレて怒られたっけな
一回始めたらやめられないんだよな
今度はバレないようにしないと
ピンポーン
あれ、荷物頼んだっけ
まぁいいや居留守使おう
今は到底出られる状況じゃないから
ピンポーン
うるさいな、いないって言ってるじゃん
ピンポーン
うるさいうるさいうるさい
ヘッドホンでも付けようかな
スッ(装着)
よし、これでやっと飲める
痛みから逃げられる
パシッ
大森元貴
何、何が起きたの?
薬が地面に飛び散る
この出来事の主の方向に振り向く
大森元貴
あぁまたバレちゃった
ヘッドホンをしているからか涼ちゃんが何を言ってるのかわからない
きっと起こってるんだろうな、悲しんでるんだろうな
だって涙が溢れてるもん
ごめんねって謝りたかった
でもヘッドホンを取って涼ちゃんの言葉をまともに聞いてしまったら僕がまた壊れてしまいそうで怖かった
無理だった
涼ちゃんが膝から崩れ落ちる
後ろから若井も来る
何を言ってるかはわかんない、けど心配したり怒ってくれたり、悲しんでくれたりしてるのは嫌というほど伝わってくる
僕のために、動いてくれてる
いや、動かされてる?
前回は僕のせいで二人が死んだ
あれ、全部僕のせいじゃんか
僕が宝石病になって
僕が二人の周りにずっといて
僕が襲われて
僕が監禁されて
僕が暴力を振るわれて
僕が助けられて
僕のせいで二人が死んだ
僕が、殺した…?
あれ?全部始まりから終わりまで僕のせいじゃん
僕のせいで二人が巻き込まれた
僕が初めから二人のそばを離れていたら何も関係なかったんじゃない?
今からその運命に変えれるかな?
その方がきっと幸せだよね
そう思ったから僕はヘッドホンを外して謝った
いや、謝ったふりをした
二人に最後まで辛い思いをさせたくなかったから
僕にも二人にも心残りを作りたくなかったから
大森元貴
藤澤涼架
そんなのもう聞き飽きた
藤澤涼架
藤澤涼架
言えるわけないじゃんか
藤澤涼架
僕のせいで「心配してる」って錯覚してるんじゃないの?
馬鹿みたい、二人を振り回して二人を錯覚させて
意味わかんないや
全部全部僕のせい
僕が宝石病になんかなったから
そもそも僕なんてものが存在してたから
存在していちゃだめなものはすぐ消えないとね
これはもう僕の中で決まったこと
決行は……
明日にしようか
とりあえず二人には帰ってもらわないとね
そう思った僕は正真正銘最後のハグをした
この行動でまた二人を錯覚させる
僕が反省したって、もうこんなことしないって
これでいい…これでいいはずなんだ
そう自分をも錯覚させる
これは僕が望んだことなのになんで僕の目からは涙が止まらないんだろう
本当に意味わかんないや
二人は僕が泣き止むまでそのままでいてくれた
その頃には外はもう暗くなり始めていて
涼ちゃんが「帰るね」と言った
やっとだなんて思ってた、思いたかった
本当はもっといて欲しかった
でももっといたらきっと僕の意思が歪んでしまう
そんなのは許さない
だから二人を素直に見送った
これも最後の見送りだろうね
最後まで僕は笑顔で見送った
涼ちゃんもそれに応じて笑顔になった
でも若井は何処か引っかかりがあるような、笑顔ではない表情だった
きっと僕を心配してくれてるんだろう
きっと僕がどう取り繕ってもずっとこのままなんだろうな
最後の別れは笑顔のほうが良かったと思ったけど
若井とならどうしてもこうなるんだろうな
そんな事を考えてたら涼ちゃんがもうドアを開けてた
これももう最後なんだ
そう思うと寒くもないのに体が震えてきた
バレてしまわないように心にムチを打って、できる限りの笑顔で言う
大森元貴
藤澤涼架
若井滉斗
若井滉斗
大森元貴
答えられないままドアが閉じた
若井には最後までかなわないや
きっと僕の些細な違和感に気づいている
そんな若井の優しさのせいでまた膝から泣き崩れる
涙が溢れて止まらない
さっきたくさん泣いたのにね
体にまだ二人のぬくもりは残っていた
でももうあの二人とは会えない
二人が本当に大切な人なんだって再認識したよ
ありがとう
そしてさようなら
僕の
「Best Friends Forever」
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