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小鳥たちの囀りが聞こえ、気温が上がり始める
朝が苦手な僕にはこの時間が苦痛でしょうがない。
いつもならスクールバッグ一つの身軽な状態で登校するが、
今日は背中に楽器を背負っている(意外と重い)
休み時間にでも吹こうと思って持ってきたのだ。
にしても…、
またあのピンク頭に出会わないといいけど…
吹奏楽部には入らないって決めてるし…
人は嫌いだけど、楽器は好き、僕はもっぱら吹奏楽には向いていないのだろう
青
そうだ…楽器…せっかく持ってきたし、朝練してみようかな…
青
朝早いと…静かだな
いつも賑やかなはずの一年棟は窓から入ってくる静かな風しか聞こえなかった
毎日の様に遅刻ギリギリな僕には違和感しか感じない
でも、所々生徒はいる、きっと勉強をしてるのだろう
まぁ…邪魔だけはしないでおくか……
青
探してみると意外とないものだ
出来るだけ人に見られない場所…
ワンチャン屋上とか空いてないかな…
一か八か行ってみるかぁ、
重い鉄の扉を勢いよく開ける…
すると、ふわりと風が僕の頬をかすった
青
普通なら立ち入り禁止に、なってもおかしくない場所なのに
意外と校則緩いんだな〜
青
青
青
早速、背中に背負っていた楽器ケースを静かに下ろし、ファスナーを開ける。
中から顔を出したのは珍しい銀メッキのソプラノサックス
僕の家には2台サックスがあって、1台が主に吹いているアルトサックス、
もう一つがこのアルトサックスより高い音の出るまっすぐなソプラノサックスと言う楽器だ。
これは中学時代に父に買ってもらった(与えられた)高価な物だ
リードをセットし、マウスピースに取り付ける
そして楽器を咥え音を出す、
青
滑らかなビブラートが耳に残る
青
僕はこの楽器が好きだ。
この特徴的な音色と見た目がどうも僕の心から離れない。
何より、自由で楽しい
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アルトサックスは父わ中学時代の事を思い出してしまう原因だが、
これは好きなように吹いて、好きな曲をやっても誰にも邪魔されない
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…僕……、ホントはオーボエがやりたかった……
好きなアニメの中に出てくるオーボエに憧れてた。
この楽器はオーボエに音が少し似ている。
だから好きなのかもしれない。
青
青
楽器から口を離し、一息つく
この時間だけが僕の癒しとなりそうだ、
青
一人事を言って、楽器にスワブをとおす
そして慣れた手付きで相棒をケースにしまう
重い気持ちを引きずりながら朝のホームルームへ一歩を踏み出す。
たまに早起きするのも悪くないかもしれない
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