テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
17
#何でも許せる人向け
ゆっきーな
557
灰猫
42
344
彰人
彰人は、泥のような眠りから無理やり引き摺り出されるように目を覚ました
彰人
まふゆに言われた「消えたいのはお前も一緒だ」という言葉が、呪いのように耳の奥で反響している。それを振り払うように起き上がり、リビングへと向かった
テーブルの上には、母が用意したラップのかかった晩御飯が二人分
彰人
絵名の分が手付かずなのを横目に、自分の分をレンジに入れる。機械的な回転音だけが、深夜のキッチンに響いていた
絵名
背後からした声と、共に漂ってきたのはツンとしたペンキの臭い。そこには、髪を適当に結び、ジャージに絵具の汚れをつけた姉・絵名の姿があった
彰人
絵名
絵名の声は疲れ果ててはいたが、その瞳には、自分の「描きたいもの」を見つけた時特有の、瑞々しい光が宿っていた
彰人は、それが眩しくて、思わず視線を反らした。絵名は彰人の隣に座ると、冷めたおかずを口に運びながら、思い出したように切り出した
絵名
彰人
絵名
その言葉は、彰人の心臓を直接掴まれたような痛みを伴った。かつて共に夢を見た杏やこはねたちが、今もあの光り輝くストリートで前進している
自分はそこから逃げ出し、ナイトコードの「夜」に縋っているというのに
彰人
絵名
絵名はそれ以上深入りしなかった。弟が抱えているのが、単なるスランプではないことを、同じ表現者として察していたのかもしれない
彰人
彰人は食べ終えた食器を乱暴に片付け、再び自分の部屋へと戻った
絵名
絵名
窓の外には、遠くシブヤの街の光が見える。けれど、今の彰人にとってそこは、もう自分の居場所ではない「荒野」のように思えた
彰人
ふと、雪の言葉が脳裏によぎる
雪
彰人
自分を「正しい」場所へ連れ戻そうとする姉の言葉を背に、彰人はまた一つ、自分の心の鍵を深く閉ざした
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!