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蘇枋と付き合い始めた時、 彼から明かされた秘密は、 桜の心をギュッと掴んで離さなかった。 2人で帰る帰り道。 空はオレンジ色に染まっており、 真っ黒に変わる準備をしている。 商店街も、段々と店仕舞いを始めており、このにぎやかな場所が少しずつ 静まって行くのを感じた。

蘇枋

桜君、俺ね、泣けないんだ。

蘇枋

飼っていた猫が死んだ時も、
涙なんて一滴もでなかった。
あんなに大好きだったのにね、

蘇枋の顔は、どこか苦しそうで、 それでも務めて明るく話そうとしてくれている。 この話を聞いたのは、 ほんとに些細なきっかけで、 成り行きで、 どうして蘇枋がこんな話をしたのかはわからない。

蘇枋

悲しいは悲しいんだけど、
涙までは出ないっていうか、

蘇枋

人よりも悲しみの感情が
疎いのかな。

涙は大事な物だ。 感情の整理をするのにも、 前に進む為にも、 心をスッキリさせる為にも。 桜自身、涙を流す事等あまりないが、それは流すだけ無駄だと言う考えがあるからだ。泣いた所で、何も始まらないしすすまない。時間等止まりもしない。 でも、蘇枋は、きっとそういう意味で言ったんじゃない。 蘇枋は、全部全部、 背負い込んでしまっているのだろう。 明るく笑って見せる蘇枋の姿が、 悲しくって、 切なくって、 俺が出来る事は無いかと考えた。

泣きたいのかよ。

蘇枋

いや…?別に、

蘇枋

君みたいな格好良い人に、
そんな姿を見せたくないしね。

わからない。 蘇枋の考えている事が、 泣きたいのか、 泣きたくないのか、 いつも遠回しな言い方ばかりで、 本心をしっかり伝えてくれない。 そう考えて、それは自分も同じかと、 桜は小さくため息を着いた。

じゃ、俺がお前を泣かせてやるよ。

蘇枋

うん……って…ん!?

1度素直に頷いた蘇枋は、 1泊間を置いて、 言葉の意味を理解したのか、 驚きの声を口にした。 赤い隻眼は、大きく見開かれており、 キョとりとした様顔をしている。

蘇枋

ど、どういう事……?

桜もどういう事など、 しったこっちゃない。 ごちゃごちゃ考えるよりこうした方が 簡単で、自分らしいと思ったからだ。 蘇枋を泣かせる。 それが、てっぺんになるという桜の目標に追加された。

とにかく泣かす。ぜってぇ泣かす!

蘇枋

えぇぇ、、、

桜の急な行動に、 蘇枋は眉を八の字に下げ、 困った様な顔をした。 カーカーとなくカラスの声が、 今のマヌケそうな顔をした 蘇枋とあっている。

蘇枋

おはよう桜君。

蘇枋

えっと、何してるの?

ガヤガヤ騒がしい教室の中、 登校してきた蘇枋に 早々桜は近ずいた クラスメイト達は、 少し様子の変な桜を 暖かく見守っている。 外から聞こえる鳥のさえずりも、 今この場所が平和であることを示していた。

くすぐってる。

そっと蘇枋の背後に回った桜は、 蘇枋の脇腹をこちょこちょと くすぐっている。 くすぐられている本人である蘇枋は、 顔色1つ変えず、 困り顔で桜を見つめている訳だが。

蘇枋

なんで??

笑いすぎたら涙出る時
あんだろ?あれだあれ。

俗に言う泣き笑いと言う奴だ。 桜の中では、 泣かせればなんでもOKという ルールらしい。 それでも蘇枋の顔色は ちょっとも変わっていない。 まるで高難易度ゲームしている様だ。 ただでさえゲームが苦手な桜に、 こんな物クリアできるのだろうか。 桐生が稀に口を出して 言うゲーである。

蘇枋

適当だなぁ…

蘇枋と桜を見ているクラスメイト達は、 あの桜が自ら蘇枋に触れている!? しかも顔が赤くない!! 等と、保護者の様に騒いでいた。 それに気づいた桜は、 顔を赤く染め、 猫が飛び退く様に素早く蘇枋から離れた。

蘇枋

あっ、惜しいなぁ、
もうちょっと触ってくれてて良かったのに。

なっ!!!

今回の勝負は、 蘇枋の勝ちらしい。 果たして、桜は、 この攻略不能なゲームを クリアすることが出来るのだろうか。

楡井

あの二人、何やってるんでしょうね…

桐生

ほんとにね~

ぜってぇ泣かす!!

蘇枋

えーん桜君が酷いー!
いじめてくるー!

なっ!お、思ってもねぇ事言うな!!

1日目、 敗北。

星降る涙を掬いたい。

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